1999年度点検評価 報告用資料

図書整備の方針


 センターは総合的なスラブ地域研究のために必要最低限の蔵書を完成させることを目的として、1981年度から概算要求 項目の一環として「基本図書整備計画」を作成し、資料収集にあたってきた。同計画は第1次(1981〜1985年度:総額9600万円)、同追加 (1986〜1988年度、総額4680万円);第2次(1989〜1993年度:総額7210万円);第3次(1994〜1998年度)と引き継がれ、 現在第4次基本図書整備計画(1999〜2003年度)がスタートしたところである。この間センターの総蔵書数は、4万6千冊(1980年度)から13万 6千冊(1998年度)に増加している。

 センターが基本図書整備計画の目安としたのは、アメリカにおける主導的な研究施設であるイリノイ大学ソ連東欧研究センターの蔵書(1980年当時 55万冊)の5分の1の規模(11万冊)であった。18年間の整備計画の遂行によって、センターは所期の目的を一応達成することができたが、同時に80年 代中盤からのスラブ地域での政治・社会・文化変動、特に1989年の東欧革命、1991年のソ連邦の崩壊、ユーゴスラビアやチェコスロバキアの連邦解体と も関連して、スラブ地域研究の基礎資料の絶対数は飛躍的に増加することになった。当初のモデルとしたイリノイ大学ロシア東欧研究センター(ソ連東欧研究セ ンターから改称)の現在の蔵書数が77万点であることから言えば、当初の目標値にはかなり近づくことが出来たと言えるが、彼我の差は依然として大きい。ま た、イリノイ大学のロシア・東欧コレクションの充実度は全米で3位と評されているが、これと比較することの意味も考慮されるべきだろう。

 センターの蔵書構成は、早い時期からロシアだけでなく東欧にも目配りして基礎的な文献を精選し、限られた資源の中で味のある選択を積み上げてきた ことを感じさせるが、国内のスラブ地域研究の大きな発展と、現地情勢の変化の両面において、現時点として見た場合、スラブ研究と言う看板を背負うにしては ロシア中心、ロシアの中ではモスクワ、ペテルブルク中心であることは否めず、そこからとりこぼされた諸地域についてコレクションを充実させることは急務と なっている。また、1993年に新設された民族環境部門の資料の蓄積は非常に不足しているのが現状である。

 センターはこうした弱点を早期に解決するため、1999年度の概算要求事項として第4次基本図書整備計画(1999〜2003年度)を申請し、先 ず、ロシア以外の旧ソ連諸国およびシベリアなどロシア諸地方の基礎的資料の充実をはかる計画である。