山村 理人(やまむら りひと)

A)個人研究活動 (うち主要学術研究業績一覧
B)共同研究活動
C)受賞など
D)学歴と職歴
E)「私のスラブ研究センター点検評価」
F)専任研究員セミナーでの外部コメンテーターのコメント集


A)個人研究活動

1.研究主題:比較経済制度論、農業経済・農村社会論、ロシア・東欧経済

2.研究領域

自らのこれまでの研究活動の内容をふりかえってみると、次のように特徴づけることが 出来るだろう。

1)ロシア・東欧などの移行経済諸国の農業問題などを中心とした経済分析がテーマで あるが、その内容は「比較制度研究」の色彩が非常に強く、経済における「組織」や「制 度」の問題への強い関心がある。

2)研究手法的には、フィールドワークを通じた経済組織やミクロレベルの経済・社会 関係の分析が中心となっている。

こうした研究の特徴点は、もともとは旧ソ連の農業経済の研究者であったという学者と しての自らの出発点と深く結びついているように思われる。

農業というのは、単なる経済の一部門とは異なる特異な問題領域であり、農業経済学も 一般経済学とは異質のものを含む。たとえば、ロシアにおける農業経済研究の伝統がチャ ヤーノフなどの「組織・生産学派」にさかのぼることはよく知られているが、その特徴は、 1)農民経済は資本主義とは異質の原理によって支配されているという理解、2)そこから 出発して、通常の市場経済分析とは異なる「オールタナティブな理論」への指向と「非資 本主義的経済組織」への理論的関心、3)フィールドワークや家計調査資料などミクロレベ ルのデータの分析の重視、という点にある。

意図して「現代の組織・生産学派」を目指していたわけでは決してないのだが、今ふり かえってみると、結果的に、自分の研究における方向性と重なるものが多いことに、驚か される。農業問題の研究だけをとってみても、農業内部の社会関係の研究と農業組織の問 題の研究が中心であり、この点でも「組織・生産学派」的である。無論、1つの産業分野と しての分析とか「食料問題」の研究というのもやってはいるのだが、どちらかというと副 次的な位置にとどまっている。

たとえば、体制転換後の時期を中心としたロシア農業の研究書として1997年に『ロシア の土地改革:1989-1996年』を出しており、これが現在までのところ自分の主著となってい るわけだが、その内容は、上に述べた方向性に完全に沿ったものとなっている。ロシアで 土地改革が始まった1990年前後からの時期が対象となっており、この時期はロシア農村で 本格的なフィールドワークが出来るようになった時期でもある。ソ連時代における文献中 心の研究からフィールドワーク重視へという、自分の研究スタイルにとっても大きな転機 となるものでもあった。

その後、重点領域研究のプロジェクトが始まる少し前から、体制転換後のロシア・東欧 の工業企業に関する研究を始め、重点領域研究の中でもr経済システム転換期における企 業の動態分析」というプロジェクトを担当した。これは、農業分野ではないという意味で は、従来の自分の研究とは異なる新しい方向のものにも見えるが、基本的には、フィール ドワーク重視の「比較制度」的視角からのミクロ分析という点で、従来の研究の延長線上 にあるものである。また、この研究プロジェクトの中で、欧米などの学者による移行経済 研究にしばしば見られる新古典派的アプローチに対し常に批判的なスタンスをとってきた のも、農業問題研究の時からの一貫したものである。もし、自分が産業研究としての農業 問題や食料問題を中心にやっている研究者であったとしたら、このような研究展開はあり えなかったであろう。

また、上記プロジェクトの中で新たな方向性として出てきたのは、従来のロシア中心の 研究から東欧を含めた国際比較的な研究へののひろがりである。この時期から、ロシアだけ でなく東欧諸国でのフィールドワークも行うようになり、この方向は次に関わった研究プ ロジェクトである「東欧ロシア地域における農村経済構造の変容」での研究に引き継がれ、 さらに現在では中央アジアでもフィールド調査をやるようになっている。これは、ロシ アでの研究をやりつくしたので未知の地域に研究調査対象をひろげているという意味では なく、研究手法として国際比較が重要であるという認識にたったものである。基本的に、 ロシア農業、ロシア経済の専門研究者であることには変りはなく、むしろ、ロシアの問題 を相対化し、より深く多面的な視角から捉えることが出来るようにするためにも、こうし た国際比較アプローチは有効であると考える。

3.現在進行中の研究

1)東欧ロシア地域における農業構造問題の研究

これは、「東欧ロシア地域における農村経済構造の変容」という科研費・研究プロジェ クト(1999年度~2001年度)やその他の委託調査プロジェクトに関連して実施してきたも のである。農業生産組織、農地制度、農村における所有関係や社会関係の変化などについ て、フィールド調査を中心とした研究作業を行った。東欧諸国の中でこれまでに現地調査 を実施したのは、チェコ、スロバキア、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、旧東ドイ ツ地域である。既に農業生産組織や農地制度のような特定の問題について、これらの国々 の調査研究の成果を刊行物として発表している。また、以上のようなフィールド調査の成 果を踏まえて、東欧などの移行経済諸国における農業構造問題の全般的特質、歴史的意味、 展望などについてについて論じた英語報告を国際ワークショップ、国際シンポジウムで2度行っている。

また、これと並行して、ロシアにおける農村調査を2000-2001年、シベリアと中央黒土地 帯で実施し、ロシアの農業構造における近年のいくつかの注目すべき新たな変化・動態に ついて分析を行っている。これは、1997年の著作、『ロシアの土地改革:1989-1996年』で 行われた研究の発展・継続という意味も持っている。

2)中央アジアにおける環境問題と農業

2001年度より、京都大学などの研究者グループ(土壌学、植物生態学等の自然科学系の 学者グループ)と連携して、カザフスタンでフィールド調査を始めている。これは「環境 問題と農業」というテーマのものであるが、この問題の社会・経済的側面について分析す るという役割が与えられている。地域的には北カザフスタン4州、南カザフスタン2州が 調査対象となり、また、これと関連して、ウズベキスタンでも調査を行う予定となってい る。既に北カザフスタンでの調査により、この国の穀物地帯で起きつつある特異なプロセ ス(穀物商社による垂直統合)に着目し、それが農業技術や環境に与える影響を分析して いる。

3)その他

同じ、農業問題関連でも、上記の研究とは別の流れの研究もある。たとえば、1999年に 「体制移行期ロシアの食料市場一需要と輸入の分析を中心として一」という論文を『スラ ヴ研究』誌に発表しているが、これは家計調査データなどを用いた需要分析であり、いわ ゆる食料問題論の系譜に属するものである。構造問題だけでなく、こうした問題について も研究を継続し、認識を深め、農業問題を多面的な形でとらえられるようにしなければな らないと考えている。

このように、現在では、重点領域研究の時期に、やや手薄になっていた農業問題の研究 に再び専念するようになっているといえよう。これは非農業分野のミクロ分析に関心を失 ったからというわけではなく、フィールド調査を中心とする手法のために、同時にやるの は物理的に困難という事情も関連している。

4.主要学術研究業績一覧

1)著作

(1)単著

(3)編著

2)学術論文

(1)単著

(1)共著

3)その他の業績

(4)その他


B) 共同研究活動

1.共同研究の企画と運営(代表者として)

1)科研費などの研究プロジェクト

1996.1~1998.3「経済システム転換期における企業の動態分析」

2)学会などでのパネル組織

なし

3)その他の共同研究活動の企画と組織

なし

2.共同研究への分担者としての参加

(1)1996.1~1997.3「ロシア極東における農村社会の変貌に関する調査研究」
(2)1999.4~2002.3「東欧ロシア地域における農村経済構造の変容」
(3)2001.4~「中央アジアにおける砂漢化防止対策としての新土地利用戦略」

C)受賞など

1998年・日本農業経済学会・学術賞 (著作『ロシアの土地改革:1989-1996年』多賀出版、1997年に対して)

D)学歴と職歴

学歴: 1954年生まれ、1980年東京大学農学部農業経済学科卒、1987年東京大学大学院農 学研究科博士課程修了、1988年東京大学農学博士号取得
職歴:1987年茨城大学農学部助教授、1992年北海道大学スラブ研究センター助教授、1996 年同教授

E)「私のスラブ研究センター点検評価」

1992年から約10年間、センターに勤務してきたが、自分自身の研究およびセンター全体 の活動に最も大きな影響を与えることになった出来事は、やはり、重点領域研究のプロジ ェクト実施であったろう。重点領域研究の前と後では、センター全体の研究活動のあり方 ががらりと変わったという印象を受ける。特に重点領域研究を契機として共同研究の形で の活動が重視されるようになった。

重点領域研究前には、実質的な意味を持った共同研究というのは、センターでは殆ど行 われていなかったという印象がある。確かに、ニュースレターなどを通じて全国の研究者 に情報発信を行い、我が国でトップの水準を誇るスラブ地域研究関係図書資料を整備し、 和文・欧文の紀要をレファリー付きの学術雑誌として全国の研究者に開放するなど「全国 共同利用施設」としての機能は十分に果していたといえる。しかし、個々の研究員の研究 活動は、良し悪しは別として、あくまで、個人的なものが中心であった。年2回開催され るセンター主催のシンポジウムには、全国から多数の研究者が参加してきたが、それは共 同研究プロジェクトと結びついていたわけではなかった。 これに対し、重点領域研究以後は、常に数本の共同研究プロジェクトがセンターで動く ようになり、それを核として、冬夏2回のシンポジウムや各種研究会が実施されるように なった。センターの研究予算という面でも、共同研究がらみの大型の(人文社会科学とし ては〉科学研究費補助金の占める比率が多くなり、現在では、人件費や旅費などの多くの 支出が科研費でまかなわれようになっている。現在、国からの大学・研究機関への予算配 分が、センターのような大学内の研究所にとって不利になるよう変わりつつあり、科研費 のようなr競争的」資金への傾斜が強まってきている中で、共同研究中心の活動という方 向性は不可避のものだろう。結果的に、重点領域以降のセンターの活動の変化はこうした 時代の流れを先取りしたものだったと言えそうである。 ただ、共同研究偏重による弊害が起きないようにする工夫も必要となってくる。共同研 究ばかりだとシンポジウムや研究会も毎回同じような顔ぶれになりがちだし、科研費によ る共同研究にはなじみにくい部門やテーマの研究者とは疎遠になってしまう。たとえば、 年2回のシンポジウムのうち少なくとも1回については共同研究に直接関わらない分野や テーマの研究報告数を増やしたり、「講師等旅費」といった招聘旅費をそうした目的に優 先的に使うなどの気配りが必要であろう。 共同研究重視という変化の次にセンターにとって大きな出来事となったのは大学院教育 を始めたということであろう。「文学研究科」の協力講座として発足したわけだが、自分 が経済を専門とするということもあり、将来的、こうした形のままでいいのかという疑問 が無いわけではない。また、センターは学部学生とのつながりも弱く、北海道外の他大学 からの院生採用の比率が大きくならざるを得ないし、またそうしなければならないが、東 京の大学に比べてどうしても条件的に不利な立場に置かれているような気がする。また、 とにかく定員割れを防ぐために、「質」はともかくも院生の数だけは確保しようという「ノ ルマ第一主義」的な動機づけが強まりそうな気配も感じないわけではない。となると、ス ラブ地域研究者を育成するというセンターにとって大学院教育の主要な目標が本当に達成 出来るのか疑問も出てくることになる。しかし、大学院教育が始まって未だ間も無く、こ の問題についての評価を下すのは未だ時期早尚であろう。
F)専任研究員セミナーでの外部コメンテーターのコメント集

1996年度

「体制転換期における土地改革と農業生産協同組合~ロシアと東中欧諸国の比較」(1996 年12月18日開催)
コメンテーター:柴崎嘉之(釧路公立大学〉


1997年度

「移行経済における企業-実態調査に基づいたロシアおよび中欧4力国の比較分析」 (1997年12月19目開催)
コメンテーター:上垣彰(西南学院大学)


1998年度

「ロシアの食糧事情:畜産物の需要と輸入の分析」(1999年3月5日開催)
コメンテーター:野部公一(農林水産省農業総合研究所)

1.本稿の意義

本稿は,世界食料需給の動向に大きな影響を与えるロシア農業,その現状および今後の 予測を行った極めて貴重な研究であるといえる。

本稿の「1.はじめに」にでも述べられているように,国際農産物・食料市場におけるロ シアの行動は,ソ連時代のそれと比べて大きく様変わりしている。それは,とりわけ穀物 市場に関してあてはまる。

かつてソ連は,最盛で年間で4000万トンにも達する穀物を恒常的に輸入し続けていた。 ところが,ロシアは,近年の不作にもかかわらず,穀物輸入をほとんど行っていない。周 知のように1998年の穀物生産は,4780万トンに止まった。これは,1951年の4750万トン に次ぐ低い水準であり,かつ1928年一全面的集団化の直前一の5000万トンをも下回って いる。だが,にもかかわらずロシアの1998/99年穀物年度(1998年7月1日~1999年6月 30日)の穀物輸入量は,USDAの推定によれば,約500万トンに止まる見込みである。

この結果,世界穀物市場に対するロシアの影響カ--かつては,世界穀物市場は,アメ リカでの生産高とソ連の輸入量によって規定されていた--は,失われた。

では,ロシアは,世界の食料需給を考える上ですでに無視してよい存在になったのか。 そうではない。まず,ロシアの食料依存度は逆に上昇しており,町中には輸入食料品であ ふれている。とりわけ畜産物がそうである。これは,近年の輸入構造が,かつてのソ連で 行われていた飼料穀物の輸入から,いわばrその完成品である畜産物」の輸入へと転換した ためである。すなわち,ロシアは世界穀物市場の動静に対する決定的影響力を失ったが, より広範な,本稿の表現に従えば「国際農産物市場・食料市場」への影響力をもつにいたっ たのである。

さらに,ロシアの畜産物輸入は,本稿にも述べられているように,アメリカとの間でブ ロイラー輸入に関する貿易摩擦を発生させている。また,EU内部の政策的な連関を強めて いる。ロシアは,国際農産物市場・食料市場内部の不可欠の構成要素となってきており,質 的にも多くの国々に対しより強い波及力を持つようになっているのである。

このようにロシアは,世界食料需給の動向に大きな影響力をもっているのであり,本稿 で行われた,ロシアの食料市場の状況分析,今後の動向の予測は,重要な知見を提供した ものとして評価できる。

2.本稿における新たな成果

すくなくとも次の2点をあげることができる。

まず,表2「家計の購買力の変化」の有効な活用である。同指標自体は,すでにかなりまえ から目にしてきたものであるが,これを有効に使ったのは,本稿が最初の事例であると思 われる。これをもとに,3頁では,以下のように論じている。「ただし,家計の購買力が急 激に落ち込んだといっても,1980年代当時の水準に戻ったに過ぎないと見ることもできる。 その意味で,1992年におきた『ショック』は...購買力と供給のギャップを短期間で修 正するものであったといえよう」。

ロシアでの食肉消費の低下については,経済改革にともない各種補助金が廃止されたこ と,消費者の購買力が低下したため,という説明がいまや一般化している。ただし,この 説明は,あまりにも明確かつ説得力があるがため,この現象に関する分析をそこでストッ プさせるという効果をももたらしてきた。

本稿では,表2という具体的なデータを提示し,かっ過去との比較の上で1980年当時の 水準に戻ったという極めて重要な指摘を行っている。これは,極めて重要な成果である。

なお,著者は,食料品消費に関連する多くの表で1992年-経済改革開始の年-以降のデ ータのみならず,1980・1985年のデータを掲載している。これは,手間がかかるわりには注 目されない作業であり,その真摯さに敬意を払いたい。

つぎに,表6があげられる。ロシアでの食肉消費の低下の要因については,すでに記し たものの他に,「今までが食べすぎていた。いまも一人当りGDPで同水準の国に比べると 消費量は多い」という趣旨の指摘がある。この指摘自体は,かなり早い時期に行われていた が,それ以上の具体的な分析は,行われていなかった。

それを本稿では,新たに,極めて広い諸国の対象として,回帰式に基づき肉消費の理論 値を算出し「残差」を測定するという先行研究にないより洗練された方法により,まったく 新しい成果を生み出している。

3.その他の点

・3ページの最終部分では,畜産物の価格と生産コストの大きなギャジプの処理は,農業 企業が加工企業に対して生産コストを大幅に下回る価格で売却するという形で「吸収」され たとしている。だが,同時にこのことにより,農業企業の畜産分野は恒常的赤字部門とな り,それが生産の拡大をさまたげる最大の要因の一つとなっていることを加えると,読者 にとってより親切になるのではないか。

・本稿では,穀物の需給状況と見通しに関しても言及されている。例えば,8~9ページ では,現状の畜産生産水準では,穀物の大量輸入の再開は考えがたいこと,「おわりに」で は,ロシアの穀物輸出国としてのポテンシャルが論じられている。この点は,本論文の大 いなるメリットでもあるが,タイトル「ロシアの食料市場:畜産物の需要と輸入の分棉と の整合性が気にかかる。

・11ページの牛肉の輸入を論じた点。本稿では,ロシアはウクライナから1995~1996年 に16~18万トンを輸入し,これは牛肉の総輸入の4割前後を占めた,とある。しかし,こ れは表8に上げられた数値と整合していない。1997年も同様である。これは,肉のカテゴ リーの違い(生肉か,冷凍肉か)等の技術的要因によって発生したものと推察されるが, このことについて,本文内に説明を加えることが必要である。

・肉加工業者の輸入原料依存に関しては,価格問題に焦点があてられている。しかし, 国内原料に依存した場合には,供給が不確実になるという要因は考えられないか。1995年 にコメンテーターがモスクワ郊外の食肉加工工場で行ったインタヴューによれば,その点 が強調されていた。同種の報道は当時の新聞などにも見られている。この点はどう思うか。

・乳製品の輸入に関して。本稿では,バター,チーズの事例が検討されている。ところ で,最近の報道の中で,ロシアの加工業者は,原材料用として輸入ドライミルクの依存を 強めているとの記事を見た。この真偽をどう考えるか。

・本稿では,もっぱらロシア側の要因が検討されているが,供給国側の事情の言及も欲 しい感を持つ。例えば,EUではCAPの下で,農産物が一定の価格を下回ると政府が買い 付けを行っている。このため,EU内部では畜産物は過剰基調であり,政府在庫も増大して いる。このような条件の下で,ロシアは有力な輸出先と位置づけられ,各種の輸出奨励措 置が行われている。また,膨らみ過ぎた政府在庫に関しても,人道的援助として処理しよ うとする意図が明らかである。また,アメリカのブロイラー生産に関しても,明らかにロ シアヘの輸出を行うことを前提に生産が行われている。

このような構造は,中長期はともかく2~3年というような短期的には調整不可能であろ う。従って,短期的にはEUおよびアメリカは,いかなる事情があろうとも,農産物をロシ アに「引き取って」もらわなくてはならないし,実際にもそのような政策がとられている(ロ シア向け「人道的援助」の決定およびその特恵的な条件)これは,ロシア畜産に大きな影響を 与えるものと考えられるが,どうか。

1999年度

「移行経済諸国におけるコーポレート・ファーミングと土地問題」(2000年4月13日開催)
コメンテーター:柳村俊介讐(酪農学園大学)

2000年度

「ポスト社会主義農民経営分解論:ロシア中央黒土地帯と西シベリアの事例に基づく考察」 (2001年6月4日開催)
コメンテーター:松井憲明(釧路公立大学)