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修了者の声 秋月準也(2017年度博士課程単位取得退学)

「スラ研」について

秋月準也

 この文章はおそらく「修了者の声」に載ると思われるのですが、だとすれば、私はまず自分が完全で明白な「修了者」ではないということから説明しなければなりません。これは「修了者の声」ではなく、正しくは「スラブ・ユーラシア研究センターで修士課程を修了し、そのまま博士課程に進学したものの博士論文を提出せず単位取得退学をし、まだ博士論文を提出する権利を有しつつ、いったんスラブ・ユーラシア研究センターのそばから離れる者の声」になります。以下には、研究センターの院生がどういった環境で研究をすることになるか、そして私自身がお世話になった方々へのお礼などが書かれますが、読者のみなさまはくれぐれも「修了者の声」としてではなく、あくまで「スラ(中略)から離れる者の声」であることを念頭に置きながら読んでいただければと思います。

 まず、「スラブ社会文化論専修」はスラブ・ユーラシア研究センター内に院生研究室がある専修になりますが、ここに所属する大学院生の多くが北大からの内部進学ではなく、日本国内、あるいは世界各国の様々な地域の大学から進学してくる学生です。私自身もその一人で、学部生のころは郊外から都内の大学に片道一時間くらいかけて電車で通う典型的な大学生だったと思います。このような学生が北大の大学院に進学し、まず戸惑うことはすべてが「近くなる」ということでしょう。私の場合、そして他の多くの院生の場合もほぼ同様だったと思いますが、自宅、院生研究室、大学の附属図書館、札幌駅がすべて徒歩10分圏内に固まっている状態でした。そもそも北大の立地がすばらしいうえに、札幌駅の北口方面は学生にとって手頃な家賃で部屋が借りられることもあって、「研究室で研究したい派」の院生にとっても、「自宅で研究したい派」の院生にとっても、研究環境は申し分ないものだったと思います。

 院生研究室についてもう少し詳しく書いていきます。「スラブ社会文化論専修」に入学すると、修士課程、博士課程を問わずすべての院生に個人用の机と本棚が割り当てられます。この割り当てられた範囲に関しては完全に個人用のスペースになりますし、24時間使用可能なので(*夜間は多少出入りが不自由になります)、院生研究室を勉学の拠点にする院生は多かったように思います。また、スラブ・ユーラシア研究センターは北大附属図書館と一階部分が通路で直接つながっているので、例えば外が猛吹雪であったとしても、研究室で論文を書いている場合であれば、室内履きすら履き替えることなく、トロツキーの公式演説なりハルムスの全集なり、図書館にあるものであればなんでもすみやかに原典にあたることができます。

 研究センター内には院生の他にも研究員、教員など、スラブ・ユーラシア地域に関する様々な分野の研究者が在籍しています。またシンポジウムや研究会、資料収集等で外部からも多くの研究者がセンターを訪問されます。ですから、個人的な意見としては、最初はなるべく院生研究室に入り浸って、センターで開かれる研究会に積極的に出席して、自分の前を通り過ぎていく人たちと少しずつ話しをしていくようにするとよいと思います。そうするだけでも、いろいろな分野でどのような研究者がどういったテーマで研究をしているか、今現在のおおよその状況が把握できることでしょう。

 次に、スラブ・ユーラシア研究センターを離れるにあたり、これまでお世話になった方々について書かせていただきたいと思います。私は大学院にミハイル・ブルガーコフの文学を研究するために進学したわけですが、修士課程、博士課程の長い期間指導にあたってくださった望月哲男先生にまずお礼を申し上げたいと思います。望月先生には授業時間の他にも先生の研究室で翻訳や論文を長い時間にわたって指導していただきました。例えば私が拙い翻訳などをたずさえ、途方に暮れながら研究室を訪問した場合でも、あたたかく迎えてくれて一緒によりよい翻訳案を考えてくださるような先生でした。

 また、センターでは特に修士課程の時期に、極東経済については荒井先生、中央アジア諸国の政治・文化については宇山先生、スラブ諸言語については野町先生と、様々な分野について書かれたロシア語の読み方を一応ですが学習することができました。結局、文学とはこういった様々な領域の集合体("ごった煮"と言ったほうがいいかもしれません)なので、早い時期に多様なロシア語にふれる機会に恵まれたことが、文学作品の翻訳の際に役立ったのだと思います。ありがとうございました。他にも、センターの助教の方々、研究員として滞在された方々、研究センターの事務の方々、そして院生研究室でともに過ごした院生のみなさん、この文章を書いている間にも数え切れないほどの人たちの顔が浮かんできます。研究に関すること、研究以外のこと、本当にいろいろな面でたくさんの方々にお世話になりました。私がこの研究センターに来て最も深く実感したのは、「世界はとても広いけれども、意外とせまい」ということです。お別れの挨拶っぽいことを書いてはいますが、どこかでばったり顔を合わせることもあるでしょう。そのときはまたよろしくお願いします。

(2018年4月24日)


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