ITP International Training Program



欧米の雑誌が身近になった

濱本真実

(人間文化研究機構[東京大学拠点]研究員)


 私はこれまで国際学会で英語で報告する機会を2回与えてもらったが、その報告を準備するのにも、報告後、出版用に文章をまとめるのにも、2度とも大変な苦労をしている。このような私にとっては、英語の雑誌に論文を投稿するなど、夢のまた夢だった。今回の英語ライティング・セミナーには、私の惨憺たる英語執筆能力の向上を期待して参加させていただいたのだが、思いがけなく、英語雑誌の編集者のお二人による、英文雑誌への投稿についての非常に具体的な解説を聞くとができて、英語での論文執筆、および、英語雑誌への投稿が、一気に身近なものになった(ような気がする)。特に、私が研究を始めた当初から慣れ親しんでいる Slavic Review の編集者を長く務められたコーエンカー氏の講演が、英語雑誌への投稿は別世界のお話である、という私の認識を大きく変えてくれた。


 ライティングの指導においては、我々のペーパーから多くの例を取り出し、日本人が誤りやすい部分を一覧にして説明してもらった点(この資料の準備にかかった時間を考えると、講師の先生方に頭が下がる思いである)、また、書き言葉と話し言葉の区別について、フランス語起源の言葉は大概書き言葉だというわかりやすい指標を教えていただいた点が、私にとっては有益であった。自分のペーパーについて、文法的な誤りだけでなく、より明確に、優雅な文章になるよう修正してもらったことも、これまで受けてきたネイティヴチェックとは異なる、すばらしい経験だった。ただし、ペーパーを準備する期間は、もう少し長くとっていただきたかった。


 現在、私の研究対象は、18世紀から19世紀のタタール商人の活動である。この研究を進めていく過程で大きな研究成果が得られたならば、Central Eurasian Studies Society 等の国際学会で成果を報告した上で、英語を許容する学術雑誌の中では19世紀以前のロシア史の論文を掲載することが比較的多い Jahrbücher für Geschichte Osteuropas に投稿できれば、と考えている。



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