ITP International Training Program



ライティング・セミナーに参加して

高田 洋平

(京都大学大学院 アジア・アフリカ地域研究研究科)


 今回のライティング・セミナーでは、英語での研究発表や学術論文投稿に関する基本的な手順や方法、考え方についての講義を受けた。講義を受けるなかで特に有意義だった点と改善すべき点について、簡単に述べたい。


 <有意義だった点>
まず有意義だった点として、英語での発表に関して基本的な考え方やノウハウの知識を得ることができたことが挙げられる。英語で論文を執筆しようとする際、受験英語とは異なる知識が必要となる。それは、アカデミックな単語や言い回しなど、英語を母語としない者にとってはいちいち頭を悩ませなければならないものの類である。この単語は話し言葉なのか、書き言葉なのか、ここのコンマやスペースは適切なのか、不適切なのかといった瑣末だが重要な部分が、執筆の障害となるということがしばしばある。
 こうしたことについて、セミナーでは非常に細かい部分にまで言及されていた。先に述べたコンマの打ち方、スペースの取り方から、アカデミックな言い回しなどという具体的な事例とともに講義がなされていったため、講義の受け手としてもとてもわかりやすかった。英語論文執筆の際に直面する、小さな疑問の1つ1つが氷解していくようで、一層の関心を持ちながら講義を受けることができた。
 次に有意義だったのが、事前に提出された個々の論文に対する個人指導である。1人30分という比較的長い時間での指導は、突っ込んだ内容で講師とやりとりすることができ、具体的な改善方法や方向性(私の場合であれば、質的調査に関する参照すべき最新の論文の紹介、など)について指導を受けることができた。この個人指導によって、英語の学術論文発表に向けてのより具体的なイメージができた。
 全体として、一般的なルールや方法を学ばせる全体講義と、提出された論文について行われる個人指導という大きな二部構成そのものが、セミナーの質を高めていたように思う。その点で非常に満足することができた。


 <改善すべき点>
 改善すべき点としては2点挙げられる。1つは、講師の専門領域の偏りについてである。限られた費用と時間のなかでは致し方ないことではあるが、個人指導のなかで講師と自分の専門領域の隔たりによって、意志の疎通が困難である部分が生じた。個人指導は講師2名体制だったので、それぞれ異なる領域の講師を呼び、受講生と講師の領域ができるだけ近いような組み合わせにして頂くと、より有意義な時間になるのではないかと思う。もう1つは、セミナー会場の案内についてである。当日、セミナー室までの案内板が少なく、2日とも建物内で迷ってしまった。その他、休憩場所の案内など、会場案内でわかりにくいところがあったので、そこを改善頂けるとさらによいかと思う。



[Update 12.09.13]

[戻る] ▲Page Top▲




Copyright ©2008-2011 Slavic Research Center   |  e-mail: src@slav.hokudai.ac.jp