スラブ研究センターニュース 季刊 2008 年春号 No.113 index

研究の最前線


武田友加(この4 月より早稲田大学政治経済学部助教)

実践的な英語を学ぶという英語合宿の役割を超えて、日本のスラブ・ユーラシア研究の将 来を担うことになる若手の間に緩やかな連帯感を生じさせたことは、今回の英語合宿の成果 の一つであると思われます。研究関心や学問領域は様々であるとしても、スラブ・ユーラシ アという同一の地域を研究対象とする同世代の知の連帯感を育むことは重要だと思います。 日本のスラブ・ユーラシア研究者の国際的な競争力と国際的プレゼンスを高めるためには、 個々人が日々研鑽するだけでは恐らく足りないでしょう。アカデミックな場においてもグロー バリゼーションが進行しています。グローバリゼーションの中では、情報の伝達も非常に早 く、研究のスピードも一層必要になってきます。また、グローバリゼーションの荒波の中で 新たな知見を拓くためには、個々人の能力だけでなく知の連帯と協力が必要になり、組織的 な研究も多くなってきています。スラブ・ユーラシアの研究を目指す同世代が集った真駒内 英語合宿は、英語合宿という枠組みを超えて、若手の間に緩やかな連帯意識を芽生えさせた と思われます。このような点において、今回の真駒内英語合宿は日本のスラブ・ユーラシア 研究の将来の発展に役立つものになった、と感じられました。また、先生方の授業の進め方が、 緩やかな連帯感を参加者の間に生む一助になったように思われました。

英語による報告の際に役立つ実践的な英語(パフォーマンス)を学ぶという点においても、 参加者にとって有益な合宿であったと思われます。録画することによって自らの報告を客観 的にチェックしたり、英語での報告スタイルや配布資料の常識について学んだり、CV の美 しい書き方について学んだり、バランスよく実践的な英語を勉強できたと思います。これは、 先生方が毎日ミーティングを重ね、何が必要かを探求する努力を惜しまなかったお陰だと思 います。


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