スラブ研究センターニュース 季刊 2008 年春号 No.113 index

人事の動き


野町素己氏を准教授として採用

センターは、グローバルCOE を推進すべく、北大の 全学運用教員枠からの援助も受けて、スラブ・ユーラシ ア地域と隣接地域に跨って「広域的・比較分析的研究を おこなう能力と語学力」を有する准教授候補を公募しま した。2008 年2 月8 日の締切りまでに、32 名の応募が ありました。これに先立つ2007 年12 月28 日のセンター 協議員会において選考委員会が選出されていましたが、 慎重に業績を審査し、若干名には面接もおこなわれたた め、選考に2 ヵ月を要しました。その結果、選考委員会 は、野町素己氏(東京大学大学院人文社会系研究科博士 課程院生)を准教授候補として3 月26 日の協議員会に 推薦し、4 月3 日の協議員会がこれを満票により承認し ました。野町氏は、5 月1 日に赴任しました。

野町素己氏
野町素己氏

野町氏は1976 年4 月5 日生まれ、2000 年3 月に東京 大学文学部言語文化学科スラヴ語スラヴ文学専修課程を卒業、同大学大学院人文社会系研究 科の修士課程(欧米系文化研究専攻)に進学しました。2002 年3 月に修士号を取得、博士課 程に進学すると同時に、セルビアのベオグラード大学に留学し、4 年後には同大文学部スラ ブ語スラブ文学科博士課程の博士論文提出資格を得ました。なお、その期間中、2003 ~ 05 年にかけて、東京大学とワルシャワ大学の間の学術交流協定に基づいてワルシャワ大学東洋 文化研究所日本学科に講師として派遣され、日本語を教えるかたわら、ポーランドの言語学 者の指導も受けてスラブ言語学の研究に従事しました。

留学・派遣期間中、現地の研究集会に活発に参加し、その成果を主に現地語で発表してき ました。これまでの野町氏の業績19 点を執筆言語で分類すると、ロシア語が11 点、セルビ ア語が4 点、ポーランド語・スロヴェニア語・英語・日本語がそれぞれ1 点です。これら論 文の分析対象は、東スラブ語、南スラブ語、西スラブ語のすべてに及んでいます。また、ロ シア語、ポーランド語、セルビア語のような大言語だけではなく、日本ではほとんど研究さ れていないスロヴェニア語や、カシュブ語のような非国家語をも含んでいます。

上記にも示されているように、野町氏は、野心的な研究目標を立て、それを猛烈なバイタ リティで実現してゆくタイプの研究者です。本選考にあたって面接した際も、ザグレブで調 査中だったのを呼び戻し、面接が終わると現地にとんぼ返りするというスケジュールでした。

センターに赴任後の野町氏は、何よりもまず、博士論文を東大に提出し、今年度中に学位 をとることが求められています。また、これまでの業績・研究人脈が東欧に偏る傾向があっ たので、日本や欧米の研究者との共同研究や日本・欧米での業績発表が期待されます。

[松里]

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