スラブ研究センターニュース 季刊 2010 年夏号 No.122 index

研究の最前線


専任研究員セミナー

前号以降、次の専任研究員セミナーが開催されました。

・5 月10 日 ウルフ、ディビッド「Stalin: Man of the Borderlines」
センター外コメンテータ:横手慎二氏(慶応大学)

この論文でウルフ研究員は、第二次世界大戦末期から戦後世界形成期におけるスターリン の外交政策を取り上げ、国境問題という切り口を通して対東欧外交、対中国外交、対イラン・ トルコ外交を比較分析しました。スターリンが「国境線の変更」をどのように実現しようと したのか、また「国境線の変更」を通して何を実現しようとしたのか、スターリンの歴史意識、 ナショナリズム観などを通してこうした問題が論じられています。討論者としてこの問題領 域で日本の第一人者である横手慎二氏(慶応大学)に参加していただき、活発な議論がおこ なわれました。


・5 月12 日 宇山智彦「Changing Religious Orientation among Kazakh Intellectuals in the Tsarist Period: Between Sharia, Secularism, and Philosophical Search」
 センター外コメンテータ:坂井弘紀氏(和光大学)

この論文は宇山研究員にとっての研究の出発点ともいえるカザフ知識人論をイスラム及び 文学という視点から発展させたものであり、ドイツで出版される本の一章となる予定の論考 です。本論文では様々な作家の文学作品論を通してカザフ知識人の19 世紀後半から20 世紀 初頭にかけての思想的な足跡がイスラーム、ナショナリズム、世俗化、哲学的探究をめぐっ て分析されました。討論者にはセンターの研究員でもあった坂井弘紀氏(和光大学)が招かれ、 熱のこもった議論が展開されました。

[家田]

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