スラブ研究センターニュース 季刊 2012 年秋号No.131 index

研究の最前線

◆ シレジンスカ-アダムチャクさんの滞在 ◆

 国際交流基金フェローとして、ポーランドのアダム・ミツキェビッチ大学研究員のシレジンスカ-アダムチャク、アンナ(Sledzinska-Adamczak, Anna)さんが2012年9月3日~2013年2月28日(約6ヵ月)の予定で滞在中です。滞在中の研究テーマは「アジア・太平洋地域の国際関係を背景とした日露関係」です。
[岩下]

研究の最前線

◆ 専任セミナー ◆

ニュース前号以降、専任セミナーが以下のように開催されました。
[家田]
 2012年7月27日:宇山智彦 
①「総論〈東〉と〈西〉:特にロシアと東方との関係について」塩川伸明、小松久男、沼野充義、宇山智彦編『ユーラシア世界1〈東〉と〈西〉』東京大学出版会、2012年 
②“Introduction: Asiatic Russia as a Space for Asymmetric Interaction,” in Uyama Tomohiko, ed., Asiatic Russia: Imperial Power in Regional and International Contexts (London, Routledge, 2012) 
③「ロシア帝国論」ロシア史研究会編『ロシア史研究案内』彩流社、2012年
コメンテータ:長縄宣博(センター)
 今回の専任セミナーの報告論文と討論者を見て、「おや」と思われた方も少なくないのではないでしょうか。これまでの専任セミナーは基本的には「過去一年以内に執筆した研究論文一編、センター外の専門家による討論者」というスタイルでしたが、今回は論文が三つ並び、討論者もセンター内の長縄氏でした。これは今年度から専任セミナーのルールを少し緩和し、概説を含む複数の関連する論文でも可であり、討論者についても、最もふさわしい専門家がセンター内にいる場合は、センター外という枠にこだわらなくてもよいとしたためです。 今回の宇山セミナーはこの新方式による第一回目の研究会でした。三つの論文はいずれも研究史や研究動向などを扱った概論的な性格をもつものです。言い換えれば、宇山氏の研究方法論や問題関心に密接に関わるものでした。具体的には、長縄氏の整理によれば、ロシア研究と東洋学、帝国論、環境・生態、ロシア史における専制権力論、身分制論、革命・内戦史、あるいは文化研究と歴史研究など、宇山氏がこれまでおこなってきた幅広い研究テーマを、ある意味で総括したのがこの三編だったといえるのかもしれません。 新方式による第一回の専任セミナーは、ルールとしては緩和されたものですが、中身としては従来方式よりもハードルが高くなったのではという声も聞かれました。

研究の最前線

◆ 研究会活動 ◆

ニュース130号以降、センターでおこなわれた北海道スラブ研究会、センターセミナー、新学術領域研究会、GCOE研究会、世界文学研究会、北海道中央ユーラシア研究会、及び昼食懇談会の活動は以下の通りです。ただし、今号で特に紹介したものは省略します。
[大須賀]
8月 25日 寺尾萌(首都大学東京・院)「現代モンゴルにおける民族音楽研究の現状と課題:生成/消滅の語りと『創作歌謡』の位置づけをめぐって」(北海道中央ユーラシア研究会)
9月 7日 高田映介(京都大・院)「チェーホフ『谷間』の歴史社会的背景をめぐって」(鈴川・中村基金奨励研究員報告会)
9月 18日 基盤研究(B)「近代ロシア・プラトニズムの総合的研究」研究会
堀越しげ子
((札幌大・北大・非)「プーシキンとプラトン:20世紀の研究より」;
下里俊行(上越教育大)「論戦するロシア神学者:20世紀初頭のロシア正教弁証論の問題意識」;
北見諭(神戸市外国語大)「ベルジャーエフにおけるプラトニズムとアンチプラトニズム」
9月 28日 野町素己(センター)「岐路に立つマイノリティ:多言語社会を生きるバナト・ブルガリア人とその言葉」(センター公開講演会)
10月 8日 S. シフツェフ=ドッル(国営サハ・フィルム、ロシア)、P. シフツェワ=マクシーモワ(北東連邦大、ロシア)
「永久凍土の国、東シベリア、サハ共和国の民族映画制作と伝承文学」(北海道スラブ研究会)
10月 16日 J. クズミコヴァ(スロヴァキア文学研究所)「スロヴァキアの戦争文学に描かれるロシア人の特徴」(比較大国論セミナー)
10月 27日 王中忱((清華大、台湾)「間宮林蔵は北の大地で何を見たのか:清朝期の東北地域における民族移動と多民族的混交」;
ナヒヤ(武蔵大・和光大)「蒙民厚生会の設立とその文化・教育支援事業」(SRC新学術セミナー)
10月 29日 野部公一(専修大)「旧ソ連諸国における農業構造および農業生産の変容の比較分析:カザフスタンを主な事例として」(客員研究員セミナー)

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