スラブ研究センターニュース 季刊 2013年冬No.132 index

新学術領域研究

◆ 新学術領域研究「ユーラシア地域大国の比較研究」総括シンポジウム開かれる ◆

開会の辞を述べる田畑領域代表
  
総括討論のパネリスト
 2008 年12 月に開始された新学術領域研究「ユーラシア地域大国の比較研究」は、今年度が最終年度です。そこで、これまでの研究 成果を総括し、このような研究の今後の可能性について議論するために、総括シンポジウム「ユーラシア地域大国の比較から見える新 しい世界像」を1 月26 日(土)に早稲田大学国際会議場井深大記念ホールで開催しました。プログラムは3 部構成となっており、午前 の若手セッションでは、本研究にプロジェクト研究員として参加した若手の研究者の方々が、研究成果を3 つの報告として発表しまし た。午後のセッションでは、本研究において6 つ設けられた計画研究から1 人ずつが報告しました。 以上の9 つの報告は、扱う地域から見ても、ディシプリンから見ても、非常に多彩なものとなりましたが、ユーラシア地域大国の比較 という視点の有効性を示すことができたように思います。
 最後の総括討論「ユーラシア地域大国比較の成果と可能性」では、初めに、司会の天児慧氏(早稲田大学現代中国研究所)と 討論者の小長谷有紀氏(国立民族学博物館)から本領域研究に対する評価や期待が質問をともなうの形で提起され、 各計画研究の代表者がそれに答えるという形で進行しました。世界の将来像の明確化や学際性の重視など、今後の研究の取りまと めにとっても大変有益な議論ができたと思いました。
 この総括シンポジウムは、スラブ研究センターの今年度の冬期シンポジウムを兼ねて開催されました。 早稲田大学現代中国研究所には共催者となっていただき、運営面でも多大な支援を受けました。なお、当日は、107 人の参加者がありました。
 本研究の成果は、日本語ではミネルヴァ書房から、「シリーズ・ユーラシア地域大国論」全6巻として刊行されます。 第1巻、第2巻は今年3月に出版され、その後、夏頃までに順次出版される予定です。
[田畑]

新学術領域研究

◆ 第4班と南京大学共催の国際ワークショップ◆
Reconsidering Empires and De-Colonization 開催

南京でのワークショップ
 2012年12月21日、南京大学ホプキンズ南京センターで、新学術領域研究第4班と南京大学国際関係研究院の共 催により、国際ワークショップReconsidering Empires and De-Colonization が開かれました。帝国の衰退、脱植民地化、 冷戦といった別々に研究されがちな問題群をまとめて、中国と日本の研究者で議論することを目的とし、南京大学出 身でアメリカのオーバーン・モントゴメリー大学で教鞭を取るチアン・ジャイ教授(2012年1月の新学術領域研究国際シンポジウムに参加) が中心的に企画してくださいました。ジャイ氏のほか、南京大学、華東師範大学、廈門大学、中国外交学院に属する中国人8名、 日本人3名(秋田茂・大阪大教授、菅英輝・西南女学院大教授と宇山)が報告者・司会者として参加しました。 取り上げたテーマは、時代的には冷戦期を中心としながらもボーア戦争から現在まで、地理的には東アジア、東南アジア、 南アジア、アフリカ、アメリカにわたる幅広いものでした。現在の微妙な日中関係とは別次元で、国際関係史について冷静で学問的な議 論をすることができたのは大きな成果だったと思います。
[宇山]


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