研 究 の 最 前 線

◆ 1997年度冬期研究報告会・科研費重点領域研究 ◆

公開シンポジウムの開催

センター恒例の冬期研究報告会は、1月29日(木)〜30日(金)に開かれます。今年度は、センターを中心におこなってきた重点領域研究「スラブ・ユーラシアの変動 − 自存と共存の条件 −」の最終年度に当たります。そこで、今年度の冬期研究報告会は、重点領域研究の公開シンポジウムを兼ねておこなうことになりました。プログラムは次のとおり、会場はセンター内です。公開シンポジウムですので、この重点領域研究に直接関わらなかった方々の参加を大いに歓迎いたします。[田畑]

1997年度冬期研究報告会
スラブ・ユーラシアの変動
− 自存と共存の条件 −

1998年1月29日(木)


15:15〜15:30 開会の辞 領域研究の視点:皆川修吾(北大)
15:30〜17:30 第1セッション スラブ・ユーラシア地域固有の価値体系とはなにか
報告者: 家田修(北大)「東欧・ロシアにおける地方社会の自画像 − 政治社会学的世論 調査に基づいて −」
望月哲男(北大)「現代文学における『空虚なロシア』のイメージをめぐって」
宇山智彦(北大)「地域構造の長期変動と文明史 − 中央アジアを中心に −」 
コメンテーター: 川端香男里(中部大)、木戸蓊(神戸学院大)


18:00〜20:00 懇親会 会場:札幌アスペンホテル
1月30日(金)

9:30〜11:30 第2セッション 共存(国家・社会・民族)の条件とその検証の成果は
報告者: 横手慎二(慶応大)「装置と政策にみるロシアの国境観」
佐々木史郎(国立民族学博物館)「極東先住民族のエスニシティと文化表象」
西村可明(一橋大)「旧ソ連・東欧諸国の〈自存〉と〈共存〉の諸問題 − 経済の観点から −」
コメンテーター: 木村汎(国際日本文化研)、加藤九祚(創価大)

13:00〜15:00 第3セッション 何のための体制変換なのか、そしてその展望は
報告者: 大津定美(神戸大)「市場化と格差拡大 − ロシアの場合 −」
田畑伸一郎(北大)「ロシアの体制変換と経済循環の変化」
塩川伸明(東大)「『体制転換の目的』は『西欧化』か?」
コメンテーター: 佐藤経明(横浜市立大名誉教授)、伊東孝之(早稲田大)

15:15〜17:15 第4セッション パネルディスカッション:スラブ研究の未来
司会: 原暉之(北大)
パネラー: 岡田裕之(法政大)、木村崇(京都大)、林忠行(北大)、和田春樹(東大)

17:15〜17:30 閉会の辞 研究成果と今後への期待:皆川修吾(北大)

◆ 2月19日に外国人研究員セミナー開催 ◆

今年度は冬期研究報告会が重点領域研究の公開シンポジウムを兼ねておこなうことになりましたので、例年冬期研究報告会でおこなわれていた、センター滞在の外国人による報告が2月19日〜20日におこなわれることになりました。プログラムは次のとおり、会場はセンター内です。こちらについても、皆様の参加をお待ちしています。[田畑]

1998年2月19日(木)

14:00〜15:30 M. アルトシューラー(ヘブライ大/イスラエル)
「第三千年紀前夜のCISのユダヤ人」(露語使用)
討論者:高尾千津子(早稲田大)
16:00〜17:30 V.A. ポトゥルニツキー(ウクライナ科学アカデミーウクライナ史料学研)
「ロシア政治思想におけるウクライナおよびウクライナ人のイメージ
(1860〜1945年)」(英語使用)
討論者:佐々木照央(埼玉大)

2月20日(金)

10:00〜12:00 O.T. ボゴモーロフ(ロシア科学アカデミー国際経済・政治研)
「ロシア、CIS、東中欧における政治改革と経済改革の相互関係」(英語使用)
T. エルドス(ハンガリー科学アカデミー経済学研)
「移行期におけるインフレとその主要な影響」(英語使用)
討論者:西村可明(一橋大)
13:30〜15:00 B.N. ミローノフ(ロシア科学アカデミーロシア史研)「古い問題への新しい アプローチ:身長データで見るロシア人の福祉(1821〜1961年)」(露語使用)
討論者:佐藤芳行(中部大)

◆ 1998年度の鈴川基金奨励研究員の募集(予告) ◆

1998年度も鈴川基金奨励研究員の募集をおこないます。助成対象者は原則として博士課程の大学院生で、助成期間は1週間以上3週間以内です。募集の開始は2月中旬、締切は月末を予定しています。募集要項・応募用紙をご希望の方は、センターに申し込んで下さい(連絡先:Tel.:011-706-3156 Fax.: 011-706-4952 E-mail: src@slav.hokudai.ac.jp。 この基金による奨励研究員制度は、鈴川正久氏のご寄付により、1987年から始まりました。毎年、スラブ・ユーラシア関係の若手研究者がこの制度を利用してセンターに滞在し、センター及び北大図書館所蔵の文献資料の利用、センターで開催されるシンポジウム・研究会への参加、センターのスタッフとの意見交換などをおこない、大きな成果を挙げております。

かつては1年に10人程度の奨励研究員をお迎えできた時期がありましたが、金利低下のために、ここ数年は5人程度の採用になっております。この情況は最近、さらに深刻になり、基金の元金以外の部分がほとんどなくなり、採用人数をさらに絞り込まざるを得ないような環境にあります。しかし、この制度が、若手研究者にとってもセンターにとっても非常に重要であるという認識には変わりなく、何とか財源を確保しようと思っておりますので、ふるってご応募下さい。[村上]

◆ 1998年度COE非常勤研究員の募集について ◆

センターでは、1995年度から卓越した研究拠点(Center of Excellence)形成に係わる「中核的研究機関支援プログラム」により、非常勤研究員を雇用しています。1998年度については、以下の要領で募集する予定です。 応募資格:人文・社会科学の諸分野でスラブ地域を研究する者。1998年4月1日現在、35未満で、博士の学位を取得した者、またはそれに相当する能力を有すると認められる者。正規の勤務をもつ者、大学院生、研究生等は対象外となるので、院生の場合は採用前に退学届けを提出してもらうことになります。 勤務条件:非常勤講師待遇。原則として週20時間(週5日で毎日4時間)の勤務。職務内容は、共同研究補助。給与は月30万円前後。通勤手当と雇用保険の対象となりますが、その他の手当、保険、および赴任手当等の対象とはなりません。雇用は1年更新ですが、合計で2年間の勤務が可能です。 募集人数:1名ないし2名を予定していますが、現時点では確定していません。 応募希望者は、1998年2月16日までに履歴書、研究業績一覧、主要論文等3点(コピーでもよい)をセンター事務掛宛に郵送してください。なお、応募書類は返却しません。決定は1998年3月上旬におこない、審査結果を応募者に通知します。また、この件についての問い合わせも事務掛宛(Tel.: 011-706-3156)でお願いいたします。[田畑]

◆ ゴールドバーグ氏の滞在 ◆

文部省研究留学生、ゴールドバーグ(GOLDBERG, David Benjamin)氏が1997年10月より2年間、センターに滞在することになりました。ゴールドバーグ氏はカールトン大学(カナダ)で昨年、国際関係学を修め(修士号取得)、センターでは「日露関係」、とくに両国間の領土画定問題と信頼醸成プロセスについて研究する予定でいます。指導教官は皆川修吾教授です。[皆川]

◆ 専任研究員セミナー ◆

10月から12月にかけて、センターでは4回の専任研究員セミナーが開催されました。10月23日には、林忠行教授が重点領域研究の成果発表の一環として準備したペーパー「スロヴァキア外交とロシア − 東西の狭間で − 」に基づき討議がおこなわれました。コメントは、北大法学部の中村研一教授にお願いしました。林先生のスロヴァキア論は、先生の学問体系において(チェコを太陽とするならば)月のような、つまり非常に重要な位置を占めるものです。スロヴァキアが、東欧体制変動の結果、かえって我々の視野から落とされる危険性があること(その点で、ウクライナやベラルーシと同様の位置にあること)は十分に納得されました。ただ、スロヴァキアが知られざる国であることが過度に意識されているのか、ペーパーが「広く浅く」のスタイルをとっていることは議論を呼びました。 12月8日には、井上紘一教授が「フランツ・ボアズおよびジェサップ北太平洋調査団百年シンポジウム」(11月13-17日、ニューヨーク)のために準備した英文ペーパー “L. Sternberg and B. Pilsudski: Their Scientific and Personal Encounters”に基づき、谷本一之道立アイヌ民族文化研究センター所長のコメントを受けて討論がおこなわれました。ポーランド再興の立役者であったユゼフ・ピウスツキの兄で、サハリンへの流刑をきっかけとしてアイヌとギリヤークの研究に憑かれた人類学者のブロニスワフ・ピウスツキの人生と学問は、井上先生がライフワークとされているテーマです。このペーパーでは、「ピウスツキはアイヌ研究に優れ、ステルンベルクはギリヤーク研究に優れていた」という一般の認識に反して、ギリヤーク研究においてもステルンベルクがピウスツキに依拠していたことが明らかにされています。総じて「研究者そのものを研究する」ことの学問的な意味を教えられるペーパーでしたが、井上先生の個性的な論文作法そのものが賛否両論を呼びました。 12月10日には、COE非常勤講師である大須賀史和氏が提出したペーパー「ソヴィエト期哲学の『再評価』に向けて」に基づき、原暉之教授のコメントを受けて討論がおこなわれました。従来、ベルヂャーエフ研究を進めてこられた大須賀氏ですが、ソヴィエト期哲学の概括という新しい、野心的なテーマに取り組まれ、しかも新分野での処女作であるにもかかわらず、かなり精緻な発表がなされました。ソヴィエト期をロシア史の中にいかに位置づけるかが重要であるというのは誰しも感じていることでしょうが、この作業をおこなうためには、革命前夜、ソヴィエト期、そしてポスト・ソヴィエト期の思想状況を知っていることが必要であり、大須賀氏がこの多大な要請に応えようとしていることは注目されます。 12月19日には山村理人教授が提出したペーパー「移行経済における企業 − 実態調査に基づいたロシアおよび中欧4カ国の比較分析」に基づき、上垣彰西南学院大学教授のコメントを受けて討論がなされました。このペーパーは、山村教授が中央大学石川晃弘教授などと過去4年間推進してきた国際学術研究の成果です。足、口、耳、目を徹底的に使って、イデオロギーや先入観に拘束されない実証研究をしておられることはペーパーを一読すれば明らかですが、せっかく集められた情報がやや消化不良気味ではないかという意見も出されました。 以上の4報告のうち2報告が、当該報告者が従来やってきたこととは異なるテーマであることは、絶えず前進し、挑戦するセンターの基本姿勢をも示すものであると言えましょう。[松里]

◆ 研究会活動 ◆

ニュース71号以降の北海道スラブ研究会とセンター特別研究会の活動は以下の通りです。[大須賀(み)] 10月28日O.T. ボゴモーロフ(ロシア科学アカデミー国際経済・政治学研)“Outcome of Reformation in Russia”(特別研究会) 10月30日L.E. フェチソヴァ(ロシア科学アカデミー極東諸民族歴史・考古・民族学研究所)「アムール川流域地方と沿海地方におけるロシア伝統文化と移住者の順応」(特別研究会) 11月28日Z.A. メドヴェーヂェフ(生化学者/ロシア)“Russian Nuclear Energy Programme after Chernobyl”(特別研究会) 12月10日兎内勇津流(センター)「沿海州の図書館との交流を考える: AAASSプレコンファレンス報告」(昼食懇談会) 12月15日G. アイギ(詩人/ロシア)“Russian Avant-garde and Contemporary Poetry”(北海道スラブ研究会)

学 界 短 信

◆ AAASS年次大会に参加して ◆

AAASS(米国スラブ研究促進学会)の第29回大会が昨年11月20〜23日にシアトルで開催された。 このところ毎年のようにこの大会に参加している筆者は、今回も久保庭真彰氏(一橋大)の組織した“Great Adjustment of Output and Price Proportions in Russia”というパネルに加わり、Evgeny Gavrilenkov氏(Higher School of Economics, Moscow)とともに報告者の1人となった。経済関係では、米国人の研究者に加えて、バーミンガム大学ロシア・東欧研究センターからPhilip Hanson氏らのグループ、OECDからSilvana Malle女史、フィンランド銀行からPekka Sutela氏が参加し、お互いに報告を聞き合うこととなった。ロシアを研究する経済学者の関心は、ロシアの現在の経済状況をどう評価するかということに集まっており、ロシア経済の問題点の認識においては共通の理解があったように思われた。我々のパネルを含めて、経済についてはマクロ的な分析が依然として多かったが、Hanson氏らのグループをはじめとして、ロシアの地方に関する研究が多くの聴衆を集めていたことが印象に残った。 このほかのパネルでは、West Wind Blows Eastと題されたパネルが興味深かった。これは、米国を中心とするSovietologyがソ連・東欧にどのような影響を及ぼしたのかをテーマとするもので、司会をGregory Grossman氏が務め、Andrzej Brzeski、Oldrich Kyn、Vladimir Tremlの各氏が報告した。このうちTreml氏の報告は、Sovietology研究書が東側でどれだけ翻訳され、上層部で読まれたかを丹念に調べ上げたものであった。年輩の研究者による、これまでの米国の研究を総括するようなパネルであったが、討論者として、現在米国のロシア経済研究をリードするRichard Ericsonが登壇したことも印象的であった。[田畑]

◆ 日本国際政治学会開催される ◆

昨年10月18〜19日に那覇市の沖縄県女性総合センターを会場にして、日本国際政治学会の秋季大会が開催された。初日午前に部会「欧州の変動と安全保障構造の再編」(司会:百瀬宏氏、津田塾大)が開催され、広瀬佳一氏(防衛大)が「NATO東方拡大と中欧の安全保障」、大島美穂氏(津田塾大)が「北欧における下位地域協力と安全保障」、植田隆子氏(国際基督教大)が「欧州の再編と重層的安全保障構造」という報告をおこない、林忠行(センター)が討論者としてこの部会に参加した。スラブ研究センター常連による部会なので、「新鮮さにかける」という意見もあったが、このテーマは学会の注目するところのようで、報告者の後ろ側(!)に椅子を入れてもなお立ち見が残るほどの盛況だった。 この部会以外には、分科会で三村洋史氏(青山大院)が「ソ連/ロシアの政治体制の変容と対日外交 − 『2レヴェルゲーム』 − 」という報告を、また宮脇昇氏(松山大)が「冷戦期の東西欧州間の人的接触 − CSCEの人権レジーム、東西ドイツ、ポーランド − 」という報告をおこなった。[林]

◆ JSSEES第12回シンポジウムに出席して ◆

JSSEESの第12回研究大会が昨年11月8日、「東欧の概念と法文化をめぐって」の共通論題のもとに東京の工学院大学において開催され、全国から集まった会員を中心に熱心な討議が繰り広げられた。 共通論題は「東欧の概念は有効か?」そして「東欧の法文化」という二つのセッションで討議された。前者では柴理子「東欧概念の再検討 − ポーランドの視点から − 」、篠原琢「中欧概念の新しい意義」そして寺島憲治「バルカン概念の複合性」の三つの報告がなされ、後者では宮島直機「法文化の違いの前提 − カトリック教会圏と東方正教圏」、鈴木輝二「ローマ法継受過程の法学と大学」、伊藤知義「バルカンの法文化」そして早坂真理「バルト諸国・ウクライナ等の法状況」の四つの報告がなされた。東欧地域はユーラシアに大きな変動が起こる度にその名称を変えてきた。その意味で東欧は明らかに自律的な概念ではなく、他律的な概念であり、複合的な文化ないし文明を重層的に抱え込んだ地域といえる。したがって「東欧の概念は有効か」とう論題は東欧史のいつの時点においても成立しうる訳である。つまり社会主義時代においてもこの種の議論は可能であった。ところが安易に社会主義体制によりかかって東欧概念を使ってきたため、そのつけが体制崩壊後の今になって回ってきた、という感じである。もっとも東欧概念の再検討で忘れてならないのは、日本の東欧研究者のうちに潜んでいた東欧モデル論の克服である。こうしたことも含めて、今回の特集は様々な問題が提起された。一番大切なのは提起しっぱなしで終わらないことであろう。 さて今回の研究大会では東欧特集と平行して(したがって筆者は出席できなかったが)、「ロシア・ウクライナ・ヨーロッパ」と題されたセッションが設定され、岸慎一郎「キエフ・ロシアの建国とハザールおよびマジャール」、柳沢秀一「ソ連政府の対ユニエイト教会政策」そしてスラブ研究センター外国人研究員のボリス・ミローノフ“Russia and the West − From the 18th Century to the Beginning of the 20th Century − ”の三報告がなされた。 今回の大会では、一昨年度にスラブ研究センター客員研究員だったロシアのバルカン研究所研究員アンドレイ・エデムスキー氏の顔も見られた。彼は現在、日本語の修得もかねて東京外国語大学に滞在中である。 大会後の懇親会では大会組織者の外川継男先生および会場の世話係りの今井義男先生を中心に議論がいっそう盛り上がった。[家田]

◆ 日本トルストイ協会結成1周年 ◆

1996年12月15日の発会以来、日本トルストイ協会は活発に活動を続け、1周年を迎えた。 この会は、トルストイ研究者の組織として日本で初めて全国的な規模になったものであり、また、学術研究者のみならず、現代日本の子供たちに日々接している教育関係者も参加している点に特色がある。 これまでのところ、数度の講演会、トルストイによって書かれた初等教科読本の日本語版出版、トルストイの生地とトルストイ理念に基づいて運営されている学校を訪ねる旅などが実施された。さらに、目下ロシア・アカデミーで進行中の、新たなトルストイ全集編纂事業への協力も、大きな役割である。なお、事務局の設置場所は下記の通り。[藤田] 〒154-0004 東京都世田谷区太子堂1-7 昭和女子大学学園本部トルストイ室

◆ イリノイ大学1998年サマー・リサーチ・ラボラトリー ◆

毎夏おこなわれるイリノイ大学サマー・リサーチ・ラボラトリーの今年の開催期日は6月15〜8月7日、大学院生のほかロシア・東欧にかかわるビジネスマン、ライブラリアンも参加可能。有数の資料を擁する図書館の利用権があたえられる。1998年4月1日までに申し込むと、無料で宿舎に滞在も可能。7月20日にはワークショップ“Russia beyond the Ring Road: Society and Politics in the Provinces”が予定されている。応募用紙と詳細は: Vicki Retzolk, Russian and East European Center, Univ. of Illinois, 104 International Studies Building, 910 S. Fifth St. Champaign, IL 61820 USA. Tel. 217-333-1244; Fax. 217-333-1582; E-mail: reec@uiuc.edu [大須賀(み)]

◆ 学会カレンダー ◆

TD> 1998年2月19〜20日 スラブ研究センター外国人研究員セミナー。
6月5〜7日 比較経済体制学会第38回大会。於北陸大学(金沢市)。
共通論題は「市場移行国における政府の役割とは」。
連絡・照会先:〒920-1154 金沢市太陽が丘1−1北陸大学法学部叶秋男研究室。
7月7〜10日 ICCEESの太平洋地域大会。於メルボルン。
7月23日〜8月2日 国際ドストエフスキーシンポジウム1998。於コロンビア大学、ニューヨーク。
連絡・照会先:Robert L. Belknap, Slavic Dept. 708 Hamilton Hall, Columbia Univ. New York, NY 10027 USA.
Tel. 212-854-3941; Fax. 212-854-5009;
E-mail: dm387@columbia.edu
9月10〜12日 European Association for Comparative Economic Studies第5コンファレンス“Economies in Transition and the Varieties of Capitalism: Features, Changes, Convergence”。於バルナ、ブルガリア。ペーパー募集中(締め切りは3月1日)。連絡・照会先:Prof. Mitko Dimitrov, Institute of Economics, BAS, 3, Aksakov St. BG-1040 Sofia Bulgaria. Fax. 359-288-2108
9月24〜27日 AAASS(米国スラブ研究促進学会)第30回年次大会。於フロリダ。

編 集 室 便 り

◆ 『スラヴ研究』 ◆

3月発行予定のセンター和文紀要『スラヴ研究』No. 45号は、以下の14点の論文がエントリーされています(執筆者五十音順)。数多くの若手の研究者による力作が寄せられました。また、今号は『スラヴ研究』が正式にレフェリーズ・ジャーナルとなって最初の号です。執筆者、レフェリー、編集者の間で手に汗握る緊迫したやりとりがなされました。 次号No. 46号への執筆申込を受け付けています。申込締め切りは6月末、原稿締め切りは8末です(例年より1ヵ月繰り上がっておりますのでご注意下さい)。執筆希望の方は編集部までご一報下さい。申込書と執筆要項をお送りします。[松里・大須賀(み)]

相沢直樹「ロシアにおけるシューベルト − 歌曲王生誕200周年に寄せて − 」

青木恭子「出稼ぎと財産と世帯分割 − 農奴解放から革命までのロシア農民家族に関する最近の研究 − 」

赤塚若樹「戦闘的シュルレアリストの賭け − ヤン・シュヴァンクマイエルの『ボヘミアにおけるスターリン主義の終焉をめぐって』 − 」

岡奈津子「ロシア極東の朝鮮人 − 農業集団化と強制移住 − 」

北見諭「フレーブニコフの言語創造の理念と未来派の前衛精神」

金成浩「ブレジネフ政治局と政治局小委員会 − 対アフガンと対ポーランド外交政策決定構造の比較 − 」

沢田和彦「I.A.ゴンチャローフとペテルブルク在留二人の日本人」

塩川伸明「(書評)富田武『スターリニズムの統治構造』」

中村逸郎「ロシア連邦制と『北方領土』1992-97年 − 連邦構成体としてのサハリン州と南クリル地区の地方自治 − 」

野村政修「シルダリヤ下流域の潅漑農業と自然環境の保全 − クジルオルダ州を中心に −」

松里公孝「19世紀から20世紀初頭にかけての右岸ウクライナにおけるポーランド・ファクター」

松戸清裕「60年代ソ連の農業管理体制 − 地区の農業機関と党機関の関係を中心に − 」

松村岳志「19世紀前半の右岸ウクライナにおける国有地農民の改革 − 負担金納化の農業史的意義 − 」

山本明代「アメリカ合衆国におけるハンガリー系コミュニティの形成とコッシュート像建設運動」

◆ Acta Slavica Iaponica ◆

スラブ研究センター欧文紀要 Acta Slavica Iaponica の最新号(第15号)が発行されました。内容は以下の通りです。

Nodari A. Simonia Grzhdanskoe obshchestvo i gosudarstvo
Kimitaka Matsuzato Obshchestvennaia 'i voenno-prodovol'stvennaia sistema Rossii v Gody Pervoi mirovoi voiny
Evgenii V. Anisimov Narod u zshafota
Hisako Kubo Sektantskie motivy v Chvenzure Andreia Platonova
Viktor Ivanov & Akifumi Takeda K interpretatsii stikhotvoreniia Velimira Khlebnikova 'Mnevidny -Rak,Ove....'"
Stephen Kotkin Robert Kerner and the Northeast Asia Seminar
Irina P. Kozhevnikova Znamenatel'naia vstrecha Vasiliia Golovnina i Takadaia Kakhei:
Davniaia stranitsa russko-iaponskikh otnoshenii
Sergei A. Arutiunov "The Russian Empire and Its Typologidal Analogies(Idle Thoughts Looking at the World Map)
Evgenii V. Anisimov "Koiti Toekava.Orenburz u orenbuzskoe kazauesmvo vo vremia vossmanuia Puzacheva 1773-1774
Naoko Hirooka "Hiroshi Okuda. Voruga no Kakumei: Sutarin Tochika no Noson. Tokyo, 1996"

次の第16号は、今年秋発行の予定です。執筆希望者は係まで御一報のうえ、執筆計画を早めに提出してください。原稿提出期限は3月末日です。分量は、A4版用紙(1枚に30行程度)25枚(書評の場合は3枚)を標準とします。なるべくパソコン・ワープロで作成し、フロッピーを添えて提出してください。原稿はあらかじめネイティヴ・スピーカーの校閲を受けたものでなければなりません。原稿の採否は、複数のレフェリーの審査を経て編集委員会が決定します。論文・書評とも、積極的な投稿をお待ちしています。[宇山・大須賀(み)]

◆ センターニュース英語版の発行 ◆

年1回発行の英文ニュースレターの第5号が昨年12月に発行されました。創刊当初はセンターの活動を簡単にまとめたほんの数ページのものだったのが、最近では外国人研究員の力作エッセーも人数分載せているため、日本語ニュースレターと見劣りしないほど立派な一冊となっています。 同じものがセンターのホームページ(アドレスは最終ページ参照)の英語ページの方に掲載されていますので、関心のある方はそちらを見てください。写真がカラーで載っています。[大須賀(み)]

◆ 1997年度公開講座報告書の出版 ◆ 

1997年5〜6月に開いた第12回公開講座の報告書が、『北海道大学スラブ研究センター公開講座 ロシア文化の新しい世界』と題して、社団法人北海道開発問題研究調査会から出版されました。内容は、望月哲男「ロシア文化は『ポストモダン』か?」、鈴木正美「現代ロシア美術」、宇山智彦「中央アジアから見たロシア文化」、廣岡正久「ロシア正教会はどこへ向かうのか」、坂内徳明「民衆文化・民族文化から見たロシア」、井桁貞義「ロシア映画の現在」です。講義をもとにしたものですが、独立した論考としても読めるものになっています。 センターにはあまり部数が残っていませんが、先着順でお分けしますので、希望者は事務係までお申し込みください。[宇山]

み せ ら ね あ

◆ センターのクリスマス ◆
去る12月19日に当センター関係者のクリスマス・パーティが開催されました。このパーティは、もともとふるさとを離れて札幌に住む外国人との団らんの場を設けるという趣旨から出発しました。センター教職員、外国人研究員、留学生、アルバイトなど40人ほどが参加しました。おそらく、これ程の盛大なパーティは今回が最後になるかも知れません。というのは、重点領域研究の最終の年にあたり、1998年度からはアルバイトの人数が少なくなるからです。しかし、外国人は増える傾向にあり、毎年多くの人々が楽しみにしていますので、結構盛り上がると思います。[村上]
祖国の歌を思いを込めて
景品はつつましくても、つい熱心になってしまうビンゴ
◆ センター代表電話番号・ファクシミリ番号の変更 ◆

1997年12月1日からセンターの代表電話・ファクシミリの番号が以下のように変更されました。 電 話:011-706-2388  ファクシミリ:011-706-4952 なお、従来の代表電話(726-8782)は1998年3月31日まで、ファクシミリ(709-9283)は1998年9月30日まで使うことができます。[大須賀(み)]

◆ 人 物 往 来 ◆

ニュース71号以降のセンター訪問者(道内を除く)は以下の通りです。[林] 10月30日フェチソヴァ(L.E. Fetisova)氏(ロシア科学アカデミー極東諸民族歴史・考古・民族学研) 11月28日メドヴェージェフ(Z.A. Medvedev)氏(生化学者/ロシア) 12月15日アイギ(G. Aigi)氏(詩人/ロシア) 12月19日閔維芳氏(北京大/中国)他4名

◆ 研究員消息 ◆

林忠行研究員は、1997年10月29日〜11月16日の間「東中欧諸国における内政と外交の調査」のため、チェコ・ハンガリー・スロヴァキアに出張。 田畑伸一郎研究員は、11月19日〜25日の間「米国スラブ研究促進学会(AAASS)」での研究成果発表のため、アメリカ合衆国に出張。 井上紘一研究員は、11月12日〜25日の間「Jesup調査団100年記念シンポジウム」での研究成果報告および「米国人類学会年次大会」出席のため、アメリカ合衆国に出張、および12月17日〜1998年3月16日の間「ブロニスワフ・ピウスツキの業績と生涯の調査研究」のため、ポーランドに出張。 兎内勇津流研究員は、11月18日〜22日の間「米国スラブ研究促進学会プレコンファレンス会議」出席のため、アメリカに研修旅行。 松里公孝研究員は、12月18日〜28日の間「沿海地方行財政調査」のためロシアに渡航。 家田修研究員は、12月14日〜1998年1月10日の間「中欧における地域協力に関する海外学術調査」のため、ハンガリー・スロヴァキアに出張。 山村理人研究員は、1月7日〜17日の間「中東欧における経済・社会変動の調査」のため、チェコ・スロヴァキア・ロシアに出張。[加我]