新センター長から


 新千年紀を迎えて、国立大学はその創設以来最大の転機にさしかかっています。当然のことながら全国共同利用施設としてのスラブ研究センターも、大きなうねりの中で地域研究の在り方とその存在が問われることになります。
 2000年という区切りの良い年は、スラブ研究センターが発足してから45年にあたります。このような印象的な年に、センター長を仰せつかるということは、将来この時を振り返ってみるのには好都合でしょう。しかし、国立大学を取り巻く環境を考えれば、大学の研究、教育および管理経験の乏しい今の私には、責任の重い役をこなせるのか不安でもあります。
 スラブ研究センターは、ご承知のようにわずか11人の専任教官と3人の事務スタッフ、3人の情報資料部スタッフから成る、全国の国立大学の研究所の中でも特に小さな組織です。小さいながらも、国内外では良く知れ渡っていて、いろいろの方面の人からお褒めの言葉をいただくにつけ、ちょっと買かぶりではと思ったりもしていました。しかし、もはや暢気に考えてはいられなくなりました。
 学内では独立行政法人化の激しい嵐の中で以前にも増して多くなる会議が待っていますし、全国的なレベルでみれば、研究所の存在理由が問われ、地域研究の在り方が議論されています。スラブ研究センター自身にも大きな変化が起こりつつあります。北海道大学大学院文学研究科の歴史地域文化学コースにスラブ社会文化論という専修講座をもち、この講座をスラブ研究センターの11人の選任教官で受け持つことになりました。本年度からいよいよ大学院教育が始まったわけです。研究面でも、重点領域研究が終了して3年が経過し、いよいよ本腰を入れて研究体制を再検討する時機にさしかかっていると思います。
 これまでのスラブ研究センターは地域研究として、スラブを社会主義国である旧ソ連・東欧諸国と同一視することで、アイデンティティが保たれたように思います。ヨーロッパ社会主義圏が崩壊しておよそ10年が経過し、旧東欧の一部の国はEUへの接近を強め、旧ソ連構成共和国の一部はイスラムに接近し、ロシア離れを起こしております。肝心のロシアも大国意識だけが先行して、体制転換を実現できない状態が続いています。
このような客観的な情勢でありながら、依然としてこの地域はスラブの特異性が強いのも事実です。とかく騒々しい周辺ですが、研究の継続性、普遍性も大切だと思います。我々の研究環境に何が必要か、長期的な視点に立って物事が考えられればと思っています。

村上 隆

研究の最前線 

◆ 大学院教育の開始について ◆


 スラブ研究センターは、今年度から、懸案であった大学院教育を開始しました。文学部の大学院重点化にともない、新しい大学院文学研究科の歴史地域文化論専攻の中に、スラブ研究センターの研究部専任研究員全員で構成される協力講座が設置され、教育組織の単位としては「スラブ社会文化論専修」という名称で教育をおこなうことになりました。ここではディシプリンという境界を越えた総合的なスラブ地域学の教育を目差します。
 今年度の学生募集は旧制度の枠組みでおこなわれたので、スラブ社会文化論専修という単位での募集は出来ませんでしたが、それでも旧制度の西洋史学とロシア文学の枠で合格した修士課程の学生3名がスラブ社会文化論専修に移籍したので、今年度からセンターも学生を持つことになりました。来年度の入試についてはセンターと文学研究科のホームページを参照してください。[林]

◆ 2000年度夏期国際シンポジウム ◆
《ロシア文化:新世紀への戸口に立って》開催予告


 7月12日(水)〜14日(金)の3日間、恒例のセンター夏期国際シンポジウムが開催されます。今回の総合テーマは「ロシア文化:新世紀への戸口に立って(Russian Culture on the Threshold of a New Century)」。新時代のロシア文化の特徴と意味を、思想、表現、コミュニケーションの諸ジャンルの視点から、多面的に解読しようというねらいです。使用言語はロシア語か英語ですが、報告者の顔ぶれからロシア語主流の会になりそうです。現段階で予定されている催しは以下の通り。

 7月12日(水)午後(北大クラーク会館ホール)
特別公演・パフォーマンス「詩の言葉・音楽の言葉」
 D.プリゴフ(ロシア/詩人);B.グレベンシチコフ(ロシア/歌手)

 7月13日(木)・14日(金)報告(仮題も含む、時間割未定、会場はすべてセンター)
第1セッション「ロシア文化のパラダイム」
 K.アイメルマッハー(ドイツ/ルール大)「ロシア文化の新パラダイム?」
 D.プリゴフ「ヨーロッパの4大社会文化プロジェクトの完成」
第2-1セッション「小説の可能性」 
 B.ラーニン(ロシア/教育学アカデミー)「現代文学における歴史オールタナティヴ」
 沼野恭子(東京外語大)「地上の女シャマーラ、天上の女ドゥーロチカ」
 亀山郁夫(東京外語大)「現代ロシア文学の身体」
第2-2セッション「現代音楽」
 鈴木正美(稚内北星学園大)「セルゲイ・クリョーヒンと1980-90年代の前衛音楽」
 安原雅之(山口大)「ウストヴォーリスカヤとロシア音楽」
 梅津紀雄(東京大)「ショスタコーヴィチとシュニトケ」
第3セッション「映像と文化」
 V.アルセーニエフ(ロシア/NTV映画)「ロシア映画・テレビの現在」
 西周成(全ロ国立映画大院卒/映画監督)「ロシア映画製作の現状」
第4セッション 「演出される言葉」
 V.ソローキン(ロシア/作家)「文学の言葉、劇の言葉」
 楯岡求美(神戸大)「変異する言葉:演劇と演出の位相」
 V.グレチコ(ドイツ/ルール大)「アヴァンギャルドの言語思想実践」
第5-1セッション「新環境の中の文学」
 井桁貞義(早稲田大)「インターネット上の芸術表現:ロシアの場合」
 V.スモレンスキー(会津大)「ロシアのネット文学」
 E.ヴラーソフ(北海道開発問題調査会)「文学テキストへのマルチメディア版注釈」
第5-2セッション「言語と現代思想」
 大須賀史和(東京外語大)、北見諭(早稲田大)「シンボル論と言語哲学」
 柿沼伸昭(東京大)、木部敬(東京外語大)「神話と論理」
第6セッション 「ロシアとアジア」
 A.ゲニス(アメリカ/評論家)「ロシア文学における老子:現代文化の東方戦略」
 S.ラコヴァ(アブハジア/人文科学研)「フレーブニコフと東洋」
 中村唯史(山形大)「90年代ロシア文学におけるコーカサス」

 なおプログラムの最終決定は5月初旬になる見込みです。[望月]

◆ センター1999年度冬期シンポジウム 


 1月28、29の両日、センター冬期シンポジウム「変移する境界:スラブ・ユーラシア世界の3世紀」が、センター会議室を会場に開催されました。9セッションに別れて19報告が発表されましたが、その内容を、時代で見ると18世紀から現在まで、地理的には極東国際関係からバルカン問題まで、専攻領域では言語学、文学、民族学、歴史学、政治学、経済学という拡がりがあり、発表言語で見ると、9報告が英語、5報告がロシア語、5報告が日本語でした(プログラムは『センターニュース』No.80をご覧ください)。
 夏期シンポジウムとの比較で、冬期シンポジウムは纏まりに欠けるという批判をよく耳にします。夏期シンポは設定されたテーマに基づいて、国際シンポジウム経費などに

 

セッション5-1のようす
よって内外の専門家を招聘して開催されるのに対して、冬期シンポジウムは滞在外国人研究者の研究成果報告を中心とするプログラムと、センターが進めているいくつかの共同研究プロジェクトの成果報告を中心とするプログラムが混在するので、その内容は、よく言えば多彩、悪くいえば雑多な印象のものにならざるを得ません。「もうひと工夫あってもいいのでは」という思いもありますが、滞在外国人と共同研究プロジェクトによる研究成果の発表の場をほかに見つけることは困難であり、当分、この形が続きそうです。
 シンポジウム当日は最高気温マイナス5度以下という寒さでしたが、125人(うち外国18人)もの研究者が手狭なセンターの会議室に集まり、熱い議論をかわしました。報告の内容もさることながら、こうした議論がセンターのシンポの売り物であることには変わりありません。報告の内容はセッションごとにセンター研究報告シリーズ、紀要などに発表されることになります。[林]

◆ 公 開 講 座 ◆
《新千年紀を迎えたユーラシア、体制転換10年》


 平成12年度のセンターの公開講座は、社会主義諸国の崩壊後10年を経た今日、スラブ・ユーラシア地域の経験を概観する意味で、下記の講義日程が組まれています。4月28日まで受講募集をおこなっています。[皆川]

第1回 5月 8日(月) エリツィン後のロシア政治
  皆川修吾 (センター)
第2回 5月 11日(木) 負けそうで負けないクチマ:ウクライナ政治と1999年大統領選挙
  松里公孝(センター)
第3回 5月 15日(月) 第2次チェチェン戦争の行方:コーカサスにおける文明の衝突?
  北川誠一(東北大学)
第4回 5月 18日(木) ロシアは世界経済にどう組み込まれるのか
  田畑伸一郎(センター)
第5回 5月 22日(月) バルカンに砲声止む日は来るのか:コソヴォ空爆とクロアチアの政変
  千田善(ユーゴ研究者)
第6回 5月 25日(木) 中国の大国化、ロシアの混迷の下で極東の安全保障はどうなる
  岩下明裕(山口県立大学)
第7回 5月 29日(月) 「イスラーム原理主義」は中央アジアを席巻するか   宇山智彦(センター)

◆ 2000年度COE短期外国人研究員の紹介 ◆


 2000年度のCOE [Center of Excellence] 短期外国人研究員として、以下の3氏がセンターに滞在することになり、受け入れ準備が進められています。
マイケル・ヒッキー(ブルームスバーグ大学歴史学部/米国・ペンシルバニア州)
 研究テーマ:革命のスモレンスク:1917〜1918年の地方の政治と社会、1880〜1945
 年のスモレンスクのユダヤ人
 滞在期間:6月15日〜11月1日
スタニスラフ・ラコバ(アブハジア人文科学研究所/ロシア・アブハジア共和国)
 研究テーマ:ポストソビエト期(1991〜1999年)のアブハジアにおけるロシアの政策
 滞在期間:6月20日〜11月20日
イリーナ・ブスイギナ(ロシア科学アカデミー・ヨーロッパ研究所/モスクワ)
 研究テーマ:アイデンティティを求めるロシアの地域
 滞在期間:12月15日〜2001年3月15日

 以上の3名は、計52名の応募者の中から選ばれました。ヒッキー氏は新進気鋭のロシア史研究者です。ラコバ氏は、ロシアとグルジアの間で紛争が生じているアブハジア共和国在住の歴史学者で、1990年代前半にはアブハジア議会の副議長を務められた方です。ブスイギナ氏は、現在若手で注目されている政治地理学者です。これらの方々との研究交流をご希望の方はセンターまでご連絡下さい。
 なお、センターでは、来年度滞在されるCOE短期外国人研究員についても、次の要領で公募をおこなう予定です。
 滞在期間:2001年6月から2002年3月までの間の3ヵ月から5ヵ月の期間
 応募締切:2000年9月30日 
 採用通知:2000年12月下旬(最終的には2001年3月)
 応募用紙は5月末までに準備されます。応募要領は、センターのホームページでもご覧になれます。[田畑]

◆ 2001年度長期外国人研究員公募締め切る ◆


 3月31日に2001年度の外国人研究員の公募が締め切られました。応募件数は45件で、ほぼ昨年並みでした。今年は、国別に見ても、分野別に見ても、かなり偏った応募になっています。国別では、ロシアが17名と全体の4割近くを占め、旧ソ連全体で28名でした。ロシアに次ぐのはチェコの5名で、東中欧全体で14名でした。このほかの地域からは、中国の2名とドイツの1名だけでした。分野別では、歴史の18名が他を圧倒しており、とくに、ロシアからの応募者17名のうち、実に13名が歴史でした。これに次ぐのが文学(言語、哲学を含む)の11名、経済(地理、環境を含む)の9名で、政治(国際関係論を含む)は5名、民俗は2名に留まりました。これから審査がおこなわれ、7月までに候補者3名が決定されます。
 なお、今年度の長期外国人研究員であるアルバハン K.マゴメドフ(ウリヤノフスク国立工科大学歴史・文化学部/ロシア)、ルオネ・ルキッチ(ラヴァル大学歴史学部/カナダ)、ボリス A.ラーニン(ロシア教育アカデミー高等教育研究所)の3氏は、いずれも6月1日から来年3月31日まで10ヵ月滞在の予定で、現在受け入れの最終準備がおこなわれています。[田畑]

◆ サハリンの『開発と環境』に関するMONBETU-2000シンポジウム ◆
紋  別  で  開  催


 センターは、2000年2月7日(月)、北大低温科学研究所、オホーツク氷海研究グループ等と協力して北海道紋別市において、サハリンの石油開発にともなう原油流出の可能性とその対応策についてシンポジウムを開催しました。このシンポジウムの趣旨は、文部省科学研究費「サハリン大陸棚石油・天然ガスの『開発と環境』に関する学際的研究」(研究代表者 村上隆)によって、万が一原油が流出すれば最も大きな被害を受けるだろうと想定されるオホーツク海沿岸の住民に対して、学術的視点に立って情報を提供し、住民と共に対応策を検討しようということです。

シンポジウムの様子

 シンポジウムでは以下の報告があり、約200名の市民が参加しました。[村上]
1) 「アラスカ北極圏における海底油田開発:誰がリスクを背負うのか」
 G. アーマオガク(アラスカ州ノース・スロープ・バロー郡長)
2) 「『ナホトカ』からの警告」佐尾和子(海洋工学研究所)
3) 「サハリン沖における油汚染:問題と解決」E. カリーニン(サハリン石油・天然ガス研究所)
4) 「オホーツクの海を守ろう」赤井邦男(紋別市長)
5) 「オホーツク海における油汚染に関する政治的、経済的問題と現況」村上隆(センター)
6) 「バレンツ海における油汚染の現況」北川弘光(北大工学部)

◆ ノヴィク氏、ボグダノヴィチ君が滞在 ◆


 ユリア・ノヴィク(Julia O.Novik)氏(カムチャツカ教育大学社会人文科学科講師)は国際交流基金短期フェローとして、2000年4月1日から5月31日までの予定でセンターに滞在中です。専門は文化人類学で、地元の原住民(コリヤーク、イテリメン、エウェン)の研究に従事しておられますが、センターではエスニック・アイデンティティ、クロスカルチュラル社会心理学の諸問題をめぐって調査研究を進めています。
 トム・ボグダノヴィチ(Tom J.Bogdanowicz)君は2000年4月6日に来札、国費留学生として北大で2年間勉学に励む予定です。4月から留学生センターで始まる半年間の日本語集中コースを履修する一方、センターでは研究生として「アイヌの自己アイデンティティに関する民族学的研究」に従事することになっています。1994年ロンドン大学心理学部卒。その後、東南アジア、オーストラリア、日本を歴訪し、今回の来日直前までの2年間はBBC映像記録部に勤務して映像管理技術を修得。なおトム君は英国人ですが、両親が50年代に英国へ移住したポーランド人のためポーランド語にも堪能。5月には、日本人のパートナーとの間に二世が誕生する予定。[井上]

◆ 専任研究員セミナー ◆


 2000年になってから、以下の通り専任研究員セミナー・非常勤研究員セミナーがおこなわれました。
 2月17日 宇山智彦「中央アジアにおけるイスラーム信仰の多様性と過激派の出現(増訂版)」 討論:小山皓一郎(北大文学部)
 3月8日 井上紘一 “‘Dear Father!’ B. Pilsudski's Letters from the Petro-Pavlovsky Fortress”討論:沢田和彦(埼玉大)
 3月16日 望月哲男「ドストエフスキー文学の現代的変奏をめぐって」 討論:大西郁夫(北大文学部)
 3月27日 上田理恵子「1926年日本民事訴訟法成立過程におけるオーストリア1895年民事訴訟法の影響」 討論:高見進(北大法学部)
 3月30日 林忠行「チェコスロヴァキアにおける農業の転換:土地法と協同組合転換法の立法過程をめぐって」 討論:佐藤雪野(東北大)
 4月13日 山村理人「移行経済諸国におけるコーポレート・ファーミングと土地問題」 討論:柳村俊介(酪農学園大)

 日本人拉致事件が起きた1999年夏の現地調査を足がかりにイスラームと政治の複雑な関係を探った宇山報告、資料(書簡)紹介によってピウスツキ(兄)の生涯を執念深く追い続ける井上報告、多数の作品を分析しながらドストエフスキーの存在の大きさと現代文学のおもしろさを明らかにした望月報告、法律制定過程の背後に見える日本の法文化の問題に迫った上田報告、共に移行経済諸国の農業を扱いながら、法律面に着目した林報告と農業経営の面に着目した山村報告、と多様なペーパーが揃いました。しかしいかんせん年度末の駆け込みが多すぎ(1本は年度をまたいだ)、出張ラッシュとも重なって十分な出席者が得られないケースが目立ちました。2000年度はこのようなことがないよう心がけたいものです。[宇山]

◆ 研究会活動 ◆

1月 31日  L.I.ガリャモワ(ロシア科学アカデミー極東支部極東諸民族歴史・考古・民族学研/ウラジオストク)「ロシア極東の社会経済発展(19世紀後半〜1917年)(ロシア語使用)」(センターセミナー)
2月 14日  T.ドウハ(農業経済研/チェコ)“Reform of the Czech Agriculture: Historical Background, Socio-Economic and Policy Implications”(センターセミナー)
2月 18日  リュー・クイリ(劉魁立)(中国社会科学院少数民族文学研/センター客員教授)「中国の少数民族としてのロシア人:東北部アルグン川流域の場合(ロシア語使用/通訳つき)」(北海道スラブ研究会)
2月 23日  M.エルマン(アムステルダム大/オランダ)“The Destruction of the Soviet Economic System 1985-91”(センターセミナー)
3月 6日  Z.マンスフェルドヴァー(チェコ科学アカデミー社会学研)“Social Dialogue and Industrial Relations: Actors and Strategies in the Czech Republic”;P. マホニン(同)“Theory of Modernization and the Czech Experience”(センターセミナー)

人事の動き

◆ 本年度のCOE非常勤研究員 ◆


 本年度のCOE非常勤研究員については3名という枠が認められました。センターではこの公募をおこない、応募者の中から慎重な審査をおこなった結果、次の方々が本年度のCOE非常勤研究員に採用されました。
 坂井弘紀(さかい・ひろき)
東京外国語大学大学院博士後期課程単位取得退学 中央ユーラシア=テュルク口承叙事詩
 塚崎今日子(つかざき・きょうこ)
早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学 東スラヴのフォークロア、民俗学
 畠山 禎(はたけやま・ただし)
名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程単位修得退学 ロシア近現代史

 上記の方々はこれまでと同様にセンターの共同研究にかかわる補助業務を担当しながら、それぞれの研究を進めていただくことになります。
 なお、昨年度に非常勤研究員として勤務された上田理恵子氏は熊本大学教育学部講師、久保久子氏は稚内北星学園大学情報・メディア学科助教授、楯岡求美氏は神戸大学国際文化学部講師として赴任され、研究・教育活動に携わることになりました。[大須賀]

 客員教授・昇任 


2000年度は次の方々に客員教授をお願いすることになりました(敬称略)。
岩下明裕(山口県立大学・国際文化学部)
 研究プロジェクト:国家形成期の東アジア:ロシア・中国・日本の関係を中心に
田畑理一(大阪市立大学・経済学部)
 研究プロジェクト:ロシア地域経済の実態の研究:地域間比較分析
豊川浩一(明治大学・文学部)
 研究プロジェクト:ロシア民族政策史の研究:バシキーリアの征服から同化まで

*   *   *

松里公孝助教授は、2000年3月1日付けで教授に昇任しました。[大須賀]

 

学界短信

◆ 比較経済体制学会第40回全国大会 ◆

 今年度の比較経済体制学会の全国大会、6月1日(木)〜6月3日(土)に名古屋学院大学「栄サテライト」 (名古屋市中区栄4-1-1中日ビル7階)で開催される。プログラムは以下のとおり。
6月1日(木) 14:00〜16:15 数量経済研究会
 武田友加(東京大・院)「ロシアの不平等と貧困」;道上真有(大阪市立大・院)「ロシアにおける現物経済化(バーター経済)」;中村靖(横浜国立大)「ロシアにおける家計の貯蓄行動」
6月2日(金)
 9:45〜12:00 自由論題
  第1分科会 藤田整(大阪経済法科大)「北朝鮮社会主義経済の半世紀と今後:ソ連・ 中国・朝鮮の比較」;田中雄三(龍谷大)「『京都議定書』とロシア」
  第2分科会 金秀日(京都大・院)「リベラリズム再考:ハイエク、レプケ、山田盛太郎」;家本博一(名古屋学院大)「EU正式加盟問題の現実とその基本性格:ポーランド」
  第3分科会 影山摩子弥(横浜市立大)「福祉国家と福祉協同化ネットワーク」;小林甲一(名古屋学院大)「西欧福祉国家の転換と経済社会体制の問題」

14:15〜17:15 共通論題T 「市場移行経済と外資導入」
 基調報告 盛田常夫(野村総合研究所)「体制転換諸国への直接投資の現状と課題」
 関連報告 笠原清志(立教大)「移行経済下での運動とコーポラティズム:ポーランドの場合」;筧武雄(横浜銀行)「中国対外直接投資から見た移行経済」;和田正武(帝京大)「中欧における産業構造の変化と外国直接投資」

 6月3日(土) 共通論題U 「市場移行経済とセーフティ・ネット」
9:30〜11:30 基調報告
 西村周三(京都大)「リスクシェアリングとしてのセーフティネットと資産・所得分配」;堀林巧(金沢大)「『1989年』以後の社会と社会政策:中欧を中心として」

12:30〜17:30 パネル・ディスカッション、全体討論
 パネリスト 堀江典生(富山大)、水田明男(大阪外語大)、田口雅弘(岡山大)、吉井昌彦(神戸大)、木崎翠(横浜国立大)、小林甲一(名古屋学院大)

 連絡・照会先:〒480-1298 瀬戸市上品野町1350番地 名古屋学院大学総合研究所
 家本博一教授(電話 0561-42-0353 E-mail hiro@iemoto.com)
 なお、より詳しいプログラムは、最近開設された同学会のホームページを参照されたい  (http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/comparative/index.html)。[田畑]

◆ 第12回西日本地区ロシア・東欧研究者集会開催される 

 3月4日に大阪大学大学院言語文化研究科の会議室で西日本地区ロシア・東欧研究者集会が開催された。同日午後1時から、仁井田崇氏(京都大・院)の「ニーチェ/正教/建神主義:ルナチャルスキーの政治思想的考察」、村知稔三氏(長崎大)の「ロシア共和国における『全員就園・無償・国営』の保育制度構想:1917-1928」、セルゲイ・トルストグーゾフ氏(広島大・院)の「帝政ロシア・ペレストロイカ・幕末日本の大変革の比較研究:財政の観点から」という報告と討論がおこなわれ、午後6時から場所を移して懇親会が持たれた。翌日恒例のエクスカーションでは、大阪大学の藤本和貴夫氏らの案内で国立民族博物館などを見学した。
 西日本のロシア・東欧研究者の親睦と交流を目的とするこの研究会は関西、中・四国、九州の3地区の持ち回りで開催されており、次回の開催地は高知を予定している。[林]

◆ 第13回ハプスブルク史研究会開催される 

 3月21、22両日、東北大学川内北キャンパスでハプスブルク史研究会が開催された。渡辺竜太氏(東北大・院)の「チェコスロヴァキアにおけるドイツ人社会民主党と1928年のスミーホフ合同大会」、藤田恭子氏(東北大)の「マイノリティ文学としてのブコヴィナ・ドイツ語文学:その歴史と主要ドイツ語圏における受容状況」、兼子恵美氏(早稲田大・院)の「19世紀後半のオーストリアにおけるドイツ人自由派と反ユダヤ主義をめぐる問題」、佐藤勝則氏(東北大)の「統合ヨーロッパの一源流:ハプスブルク帝国」という報告と討論がおこなわれた。次回開催地は未定。問い合わせは大津留厚氏(神戸大)まで。[林]

◆ 学会カレンダー ◆

2000年6月1〜3日 比較経済体制学会第40回全国大会(詳細は記事参照)

6月28〜30日

“Central and Eastern European Economic Summit 2000”於Salzburg, Austria
主催:World Economic Forum ホームページ:http//www.weforum.org/regional_netw.nsf/Documents
6月29日〜7月1日 “Three Centuries of Russian Humour and Satire”於The University of Nottingham, UK Eメール:lesley.milne@nottingham.ac.uk

7月13〜14日

スラブ研究センター2000年度夏期国際シンポジウム“Russian Culture on the Threshold of a New Century” オルガナイザー: 望月哲男 tetsuo@slav.hokudai. ac.jp
7月29日〜8月3日 ICCEES(中・東欧研究世界学会)第6回大会 於タンペレ

11月9〜12日

AAASS(米国スラブ研究促進学会)第32回全国大会 於コロラド州デンバー市アダムズ・マーク・ホテル

 センターのホームページ(裏表紙参照)の学会カレンダーにはこの他にも多くの海外情報が掲載されています。[大須賀]

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