スラブ研究センターニュース 季刊 2004年 夏号 No.98 index

2004年度スラブ研究センター夏期国際シンポジウム

21世紀のシベリア・極東:
「アジア共同体」のパートナー

2004年7月14日(水)–7月16日(金)

ルネッサンス札幌ホテル

7月14日(水)
15:30–17:30 オープニング・セッション「シベリア・極東の再定義」

挨 拶:  村上隆(センター)

司 会: 荒井信雄(センター)

基調講演 1 クレショフ V.(ロシア科学アカデミーシベリア支部)


「21世紀最初の数十年におけるシベリア・極東の経済統合」

基調講演 2 ローズマン G.(プリンストン大/米国)


「現れつつある北東アジア地域へのシベリア・極東の包摂」



7月15日(木)
9:30–11:45 第1セッション「シベリア・極東の地域経済」

—1— シルベルストフ V.(経済産業生産組織研究所/ノボシビルスク、ロシア)


「シベリア・極東における地域経済:統合は国を越えるか?」

—2— 殷剣平(中国黒龍江省社会科学院シベリア研究所/ハルビン)


「シベリア・極東と中国東北の経済協力:現実と可能性」

—3— 高橋浩(ロシア東欧貿易会)


「ロシア極東における日本企業のプレゼンス:期待と失望の歴史」

討 論: ベロフ A.(福井県立大)

司 会: 田畑伸一郎(センター)



13:15–15:30 第2セッション「アジアにおける安全保障の十字路」(ラウンドテーブル)

—1—
セヴァスチヤノフ S.(国立経済大/ウラジオストク、ロシア)


「ロシア極東における安全保障の展望:困難と機会の交錯」

—2— 中野潤三(鈴鹿国際大)


「日本の安全保障とロシア極東」

(副報告) 倪孝銓(中国社会科学院ロシア東欧中央アジア研究所/北京)


チョン・ジェホ(ソウル国立大/韓国)

司 会: 岩下明裕(センター)



15:45–18:00 第3セッション「北東アジアにおけるエネルギー問題:協力か対立か」

—1— カラシニコフ V.(経済研究所/ハバロフスク、ロシア)


「ロシア極東におけるエネルギーセクターの発展と北東アジアの協力戦略」

—2— ペク・クヌク(英国王立研究所)


「北東アジアにおけるパイプラインの地政学:対立か協力か?」

—3— 十市勉(日本エネルギー経済研究所)


「日本のエネルギー政策と北東アジアの地域協力」

討 論: 杉本侃(経団連日本ロシア経済委員会)

司 会: 藤本和貴夫(大阪経済法科大)



18:30–20:30 懇親会(ルネッサンス札幌ホテル)



7月16日(金)
9:30–11:30 第4セッション「サハリン(樺太)とクリル(千島)の歴史」

—1— ヴィソコフ M.(サハリン国立大/ユジノサハリンスク、ロシア)


「サハリン州史の新しい教科書」

—2— 長谷川毅(カリフォルニア大/米国)


「太平洋戦争時のスターリン、トルーマン、そしてクリルにおけるソ連の軍事作戦」

討 論: 松井憲明(釧路公立大);横手慎二(慶応大)

司 会: 原暉之(センター)



13:00–15:15 第5セッション「チェーホフ・サハリン・日本」

—1— ツペンコワ I.(A.P. チェーホフ「サハリン島」博物館/ユジノサハリンスク、ロシア)


「現代のチェーホフ:ロシア極東の文化空間にて」

—2— ダーキン A.(インディアナ大/米国)


「罪とサハリン:チェーホフ『殺人』におけるドストエフスキー的意味」

—3— 望月恒子(北大)


「チェーホフのサハリン旅行:旅の歴史的コンテクスト」

討 論: 木村崇(京都大)

司 会: 望月哲男(センター)



15:30–17:45 第6セッション「日ロ漁業関係:過去・現在・未来」

—1— マンドリク A.(歴史・考古学・民族学研究所/ウラジオストク、ロシア)


「1860年代から21世紀にかけての日露の漁業関係」

—2— 神長英輔(東京大)


「北洋の構築:漁業問題のレトリック分析」

—3— 荒井信雄(センター)


「日露間水産資源貿易統計における不一致」

討 論: 長谷川健二(三重大)

司 会: 鈴木旭(北大名誉教授)



主催:
21世紀COEプログラム「スラブ・ユーラシア学の構築」;
北海道大学スラブ研究センター
後援:
財団法人札幌国際プラザ;地域研究コンソーシアム

 冒頭のプログラムのとおり2004年度夏期国際シンポジウム「21世紀のシベリア・極東:『アジア共同体』のパートナー」 が間もなく開催されます。日本の隣国であるにもかかわらずロシアに対する私たちのまなざしはいまだに弱いままです。 けれども国境に隣接するロシアの「シベリア・極東」の動向は、日本の政治・経済の将来に直接的な影響を及ぼします。 「シベリア・極東」は今後どのように変貌を遂げていくのでしょうか?
 本シンポジウムは、このような問題設定に基づき、21世紀に展望される「アジア共同体」に「シベリア・極東」 が平等なパートナーとして参入しうるかどうかを、多角的に検証しようとするものです。 ロシアの各地はもとより米国、中国、および韓国からも一級の専門家が参加し、 「シベリア・極東」を総合的かつ徹底的に議論します。テーマもまた、朝鮮半島の動静をにらんだ国際関係、 パイプラインに代表されるエネルギー問題、その他、漁業・文学・歴史など多岐に及びます。
 本シンポジウムはまた、「シベリア・極東研究」に関しては世界をリードする水準にある日本の研究を海外に発信する役割をも担っています。

[岩下]



北海道大学スラブ研究センター

2004年北東アジア次世代ワークショップ

2004年7月17日(土)–7月19日(月)

スラブ研究センター4階大会議室(423号室)

7月17日(土)
第1セッション:北東アジア(ロシア極東)におけるフィールドワークの経験
1)10:00–11:00 井澗裕(センター)

「1905年–45年の南樺太における都市の形成:豊原の場合」
2)11:10–12:10 白石英才(フローニンゲン大/オランダ)

「サハリンの消滅の危機に瀕する諸言語をフィールドワークする」
3)14:00–15:00 山下亮(在ユジノサハリンスク日本総領事館)

「サハリンにおけるコリアン・ディアスポラ」
4)15:10–16:10 杉本侃(日ロ経済委員会)

「シベリア・極東における日ロ経済協力の歴史」
5)16:20–17:00 聴講者によるディスカッション


7月18日(日)
第2セッション:歴史の視点から
1)10:00–12:00 シルベルストフ V.(経済産業生産組織研究所/ノボシビルスク、ロシア)

「シベリア・極東の地域経済の発展:歴史的なアスペクト」
2)13:00–15:00 ヴィソコフ M.(サハリン国立大/ユジノサハリンスク、ロシア)

「ロシア帝国による極東の統合:インフラストラクチャー建設の歴史」
3)15:10–16:10 原暉之(センター)

「住民形成と商品流通の歴史から見たロシア極東」
4)16:20–17:00 聴講者によるディスカッション


7月19日(月)
第3セッション:北東アジアのエネルギー資源と安全保障
1) 10:00–12:00 カラシニコフ V.(経済研究所/ハバロフスク、ロシア)

「北東アジアにおける安全保障とロシアのエネルギー資源」
2)13:00–15:00 セヴァスチヤノフ S.(国立経済大/ウラジオストク、ロシア)

「北東アジアにおける安全保障とロシアの役割」
最終セッション:「21世紀におけるシベリア・極東経済の発展」
15:10–17:00 クレショフ V.(ロシア科学アカデミーシベリア支部)


主催:
21世紀COEプログラム「スラブ・ユーラシア学の構築」;
北海道大学スラブ研究センター
後援:
財団法人札幌国際プラザ;地域研究コンソーシアム

 上記のプログラムのとおり「2004年北東アジア次世代ワークショップ」が間もなく開催されます。 21世紀COEプログラム「スラブ・ユーラシア学の構築」の基本的概念である「中域圏」のうち、「シベリア・極東」 は隣接する諸国・諸地域である「北東アジア」と密接な関係を持っています。北東アジア地域に関する関心は、1990年代から、 研究者はもとより民間企業、地方行政、NGO、さらに社会科教育に関わる現場の関係者の間で高まっています。 COEプログラムの一環としての教育機能の強化を趣旨として、主としてさまざまな立場から北東アジア地域の研究に、 すでに携わっているか、あるいは、今後携わる次世 代の研究者(広義での)を聴講者とし、3つの分野、すなわち、 「北東アジア(ロシア極東)でのフィールドワークの経験」、「歴史の視点から」、「北東アジアのエネルギー資源と安全保障」について、 日本及びロシアの研究者によって3日間で合計10タイトルの講義がおこなわれるとともに、聴講者とのディスカッションが組織されます。 夏期国際シンポジウム「21世紀のシベリア・極東:『アジア共同体』のパートナー」の翌日から連続して実施することにより、 シンポジウムで得られる知見を、より広範な若い世代の代表者にトランスファーする効果も期待されます。

[荒井]


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