平成14年度 北海道大学スラブ研究センター公開講座

「米国同時多発テロ後のユーラシア:国際関係とイスラーム」


 

● 開講にあたって

 昨年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロは、世界を大きく揺るがしました。またその後の空爆とターリバーン政権崩壊は、忘れられていた国ア フガニスタンを世界の注目の的にし、この国とイスラームに関する情報が日本のマスコミでも洪水のように流されました。
 事件から半年が経ちマスコミの熱狂は冷めましたが、今こそ事件の意味を冷静に考えられる時だと言えます。テロは国際政治をどう変えたのでしょうか。「対 テロ戦争」は、中東・南アジアの直面する問題の解決に役立っているのでしょうか。一般のイスラーム教徒と「原理主義者」たちは、それぞれどのような意見を 持っているのでしょうか。また日本ではあまり知られていませんが、「対テロ戦争」はロシアや中央アジアにも非常に大きな影響を与えています。
 今回の公開講座は、スラブ研究センターの従来の守備範囲である旧ソ連・東欧という枠組みを越えて、中東や南アジアを含むさまざまな地域を扱う、冒険的な 試みです。しかし同時に、旧ソ連とイスラーム圏双方の第一線の研究者を集めた、センターにしか組織できない贅沢な講座であると自負しています。皆様の積極 的なご参加をお待ちしています。

(スラブ研究センター)


 

● 開講日程

毎週月・木曜日 午後6時30分〜午後8時30分
日  程 講 義 題 目 講   師
第1回 5月13日(月) テロリズムの権力政治 北海道大学大学院法学研究科
  教 授       中 村 研 一
第2回 5月16日(木) 「テロとの戦い」は中央アジアに何をもたらしたか 日本貿易振興会アジア経済研究所
 研究員        岡  奈津子    
第3回 5月20日(月) 「イスラーム原理主義」と「聖戦」の論理 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
  助教授       飯 塚 正 人
第4回 5月23日(木) ロシアにとっての同時多発テロ 秋田大学教育文化学部
  教 授        中 村   裕
第5回 5月27日(月) 「ならず者」から「悪の枢軸」へ:イランの視角から 北海道大学大学院文学研究科
 助教授       森 本 一 夫
第6回 5月30日(木) 反テロ同盟と中ロ関係 北海道大学スラブ研究センター
 助教授        岩 下 明 裕
第7回 6月3日(月) ターリバーン後のアフガニスタンとパキスタン 大阪外国語大学外国語学部
 助教授        山 根   聡