◆ ロシア・東欧学会第26回大会のご案内 ◆

溝端佐登史(京都大学経済研究所)


 本年度の大会は97年10月4日(土)〜5日(日)、京都大学、京大会館にて開催されます。 本年度は二つの共通論題を設定しています。ひとつは、ロシア(旧ソ連邦)、中東欧諸国におけ る脱社会主義過程を民主化、市場化、市民社会の変化から検証するものです。もうひとつは、 社会主義とは何であったのかをあらためて考えようというものです。いずれも本学会のこれま での蓄積のうえに設定されたテーマです。報告者と報告論題は以下のようになっています。

10月4日(土)(9:30〜17:40)
共通論題【脱社会主義過程の検証:ロシア・中東欧の市場と社会】にもとづいて、政治、経 済、社会の三つのセッションで報告、討論がおこなわれます。このテーマは不安定なポスト社 会主義社会を総合的に分析することにより、旧社会主義システムからの離脱の度合を明らかに することを狙いとしたもので、ロシアと中東欧の事情をそれぞれ対比して検討します。
第1セッション 政治
 
報告者 ロシア:改革の循環とリーダーシップ―ロシアの場合」下斗米伸夫(法政大)
中東欧:「東中欧諸国の『構造転換』―プロセスと構造の関連の比較分析」
仙石学(西南学院大)
座 長 西村文夫(宇都宮大)  討論者 上野俊彦(日本国際問題研)
第2セッション 経済
報告者 ロシア:「ロシア移行期経済の比較分析と諸問題」吉井昌彦(神戸大)
中東欧:「中欧移行期経済の比較分析と理論的諸問題」 田口雅弘(岡山大)
座 長 福田亘(神戸大)  討論者 山村理人(北大)
第3セッション 社会
 
報告者 旧ソ連邦:「独立後ウクライナにおける国民統合」中井和夫(東大)
中東欧: 『ポスト社会主義』の東欧社会」羽場久尾子(法政大)
座 長 木村明生(青山学院大)  討論者 藤本和貴夫(阪大)

10月5日(日)(9:30〜17:00)

午前中、次の三つの分科会で自由論題報告がおこなわれます(討論者は省略)。 第1分科会のテーマはロシアの地域経済と産業動向で、次の報告がおこなわれます。 (1)「ロシア・バイカル湖地域開発の展開と公害·環境問題」(徳永昌弘:京大・院)、(2)“Recent Regional Data and an Empirical Analysis on Russian Regions: for Further Studies from the Viewpoint of Regional Science”(雲和広:京大・院)、 (3)「ロシア石油企業の経営戦略」(小森吾一:日本エネルギー経済研)、(4)「ロシア繊維産業における企業結合」(藤原克美:大阪市立大・院)。

第2分科会は、東欧経済および経済理論がテーマで、次の報告が含まれてます。
(1)「ポーランドのEU加盟と産業再編」(津久井陽子:京大・院)、 (2)「新生アルバニアの資源·エネルギー産業」(中津孝司:大阪商大)、 (3)「社会主義経済計算論争の発展―ミーゼス派対ハイエク派論争を中心に−」(吉田靖彦:青山学院大)。

第3分科会は人文·歴史関係で次の報告があります。
(1)「ソ連西方地域のソヴィエト化:西ウクライナを中心に」(柳沢秀一:上智大・院)、(2)「ロシア人女性の労働と家庭に関する意識状況」(五十嵐徳子:阪大)、 (3)「ロシアにおける新しい“国民的理念”の探求をめぐって」(阿部軍治:筑波大、コンスタンチン・ジューコフ:筑波大 客員研究員)。

午後からは、準共通論題【社会主義とは何であったのか:社会主義体制崩壊のアポリア】を テーマにして、次のパネラーによって討論が繰り広げられます。本年はロシア革命から80年に なりますが、この間の体制移行を踏まえたうえで、社会主義体制が崩壊した要因を探り、社会 主義とは何であったのかを考えようとする課題が設定されています。この問題に関しては主に 政治、社会、経済、歴史、文化の側面から接近されます。


座 長 宇多文雄(上智大)
報告者 「体制転換の見取り図」塩川伸明(東大)
「動員しきれなかった動員体制―比較政治体制論の視点から―」伊東孝之(早大)
「ソ連型命令経済体制とは何であったのか?―スターリンの成功とゴルバチョフの失敗―」丹羽春喜(大阪学院大)
「歴史はどこまで書きかえられるのか−第二次大戦前夜のソ連の国際環境―」
斎藤治子(帝京大)
「社会主義リアリズムとは何か?―スタニスラフスキー・システムの命運―」
中本信幸(神奈川大)

本学会に関しますお問い合わせは下記の大会準備委員長までご照会下さい。

ロシア・東欧学会第26回大会準備委員長 溝端佐登史
(〒606-01 京都市左京区吉田本町京都大学経済研究所気付)
Tel.075-753-7144または075-753-7140/ Fax.075-753-7148/Email:mizobata@kier.kyoto-u.ac.jp