サハリン北東部大陸棚の石油・ガス開発と環境W

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序 文

 本報告書は、文部省科学研究費基盤研究(A)「サハリン大陸棚石油・天然ガス開発にともなう『環境と開発』に関する学際的研究」(研究代表者村上 隆、課題番号10309002)をテーマとする研究の一成果物である。

 平成11年度に実施された合計5回の研究会は、研究課題の性格上広く情報の公開、共有が重視され、民間研究所、地方自治体、政府機関、NGO、市民等の参加を得ることができた。

 サハリン大陸棚では1999年7月からサハリン〜Uと呼ばれるプロジェクトがアストフスコエ鉱区で生産を開始したが、その直後貯蔵タンカーへの積み込み中に原油流出事故が発生した。幸い軽微に終わったが、この事故は、開発を進める限り原油流出事故は発生するものだという教訓をまざまざと我々の前に示してくれたといえる。そこで、第4回研究会では宗谷海峡を通過する原油タンカーからの原油流出を想定して、流出油がどのような漂流軌跡を辿るのかを報告していただいた。もちろん、まだまだ検討を重ねる余地があることを痛感したが、具体的な研究会での議論は今後の流出油対応策に生かされるものと思っている。

 第4回の研究会ではノルウェーの油流出防止対策とロシアとの協力関係が紹介され、日本がロシアに対してどのように取り組むべきか検討された。日本では英国、ノルウェー、カナダおよびアラスカの油濁防止対策が十分に紹介されておらず、この面でも本研究会報告が重要な役割を果たせるという確信を得ることができたと思う。

 来年度も研究会を重ね、サハリン沖の石油開発にともなう開発と環境の問題点を明らかにし、克服策を検討してみたい。

 本報告書が我が国の石油流出に関わる防災対策の一助となれば幸いである。

平成12年3月
研究代表者 村上 隆
北海道大学スラブ研究センター・教授


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