北方海域技術研究会 講演会報告
サハリン大陸棚における石油・天然ガスの開発と環境

*以下は北海道技術士センター・北方海域技術研究会講演会の
内容を加筆したものである。(2000年6月1日現在)


(表-1)サハリン大陸棚石油・天然ガス開発プロジェクトの概要
1998.7.1現在
プロジェクト名 契約当事者 開発対象鉱床埋蔵量 開発経緯 生産計画

サハリン〜T
投資総額
150億ドル
・SODECO(日本) 30%
・エクソン(米国)   30%
・サハリンモルネフチェガス(ロシア)23%
・ロスネフチ(ロシア)  17%
・チャイウォ鉱床
・オドプト鉱床
1974.10.1
1975.1.28
1977.1
1979
1982
1983.12
1987
1993.12
1994.9
1995.3.29
1995.5
1995.6.30
1996.6.10
1996〜1997
SODECO(サハリン石油開発協力梶j設立
サハリン大陸棚探鉱・開発基本契約調印
オドプト1号井出油に成功
チャイウォ1号井で油・ガス層を発見
チャイウォ鉱床のF/S着手
第1次探鉱期間の終了
オドプト鉱床を含む総合開発F/S着手
エクソン参加、アルクトゥン・ダギ鉱床を追加
技術・経済計算承認
新SODECO設立
4社によるコンソーシアム形成
PSA(生産物分与協定)調印
コメンセメント・デート宣言
アルクトゥン・ダギ鉱床で4坑の評価井掘削
・第一段階
 1998 アルクトゥン・ダギ鉱床で2坑の 評価井掘削
 21世紀初頭に石油生産開始
・第二段階
 アルクトゥン・ダギ鉱床の埋蔵量いかんによって
 採算性が明らかになる
 2005年を目処に天然ガス開発開始
 ピーク時生産 石油2011年日産6万3000t
         天然ガス2020年年産150億m3
・開発は33年間(総生産量石油2億4,500万t;
          天然ガス2,860億m3

サハリン〜U
投資総額
100億ドル

Sakhalin Energy
Investment Co. Ltd.
三井物産(日本) 25%
シェル(オランダ)   62.5%
三菱商事(日本)12.5%

・ピルトゥン・アストフ鉱床

・ルンスコエ鉱床

1984〜1986
1986.1

1988
1991.2
1992.3
1992.9
1994.3
1994.4

1994.6.22
1996.5.21
1996.6.15
1996〜1997

1997.4
1997.7
1998.9
1999.7.5
1999.9.21
2000.6

ソ連が鉱床発見
三井物産、マグダーモットがピル、トゥン・アストフ鉱床、
ルンスコエ鉱床で共同作業開始
ソ連石油工業省と開発協力覚書調印
MMMコンソーシアム設立
ロシア政府とFSA締結
シェル、三菱商事開発参加
開発のプロトコール調印
5社連合が Sakhalinn Energy Investment社
設立(本社バミューダ)
PSC(生産分与契約)調印
コメンセメント・デート宣言
ロシア側受託,発効,評価作業開始
ピルトゥン・アストフ鉱床で評価作業実施,アム-ルスク
造船所でリグ改造
マグダーモット、自社の株式シェアを売却し、撤退
ピリトゥン・アストフスコエ鉱区第1段階開発計画を承認
「モリクパック」の据付作業完了
アストフスコエ鉱区における石油生産開始
原油初出荷
マラソン自社の株式シェアを売却、撤退

・第一段階
1998.10 アストフ鉱区にMolikpaq据え付け
1999   FSO,2kmパイプライン設置,180日間
      沖取り(日産1万2000t,5年間)
第一段階で12坑の開発井,2本の注入井掘削

・第二段階
〜2005 ピルトゥン・アストフ鉱床に2基のリグ設置
      ルンスコエ鉱床にリグ1基設置
2005  石油生産ピーク時日糧約18万バレル
      LNG年産900万t

サハリン〜V

探鉱投資額
ブロック〜T,U
3億ドル
ブロック〜W
1.51億ドル

テキサコ,モービル,エクソン

・ブロック〜T
東オドプト鉱区 エクソン
・ブロック〜U
アヤシ鉱区 エクソン
・ブロック〜V
ヴェニン鉱区
応札者なし
・ブロック〜W
キリンスキー鉱区 モービル
テキサコ

1993.3.1
1993.7.12
1993.12.23
1996.5

ロシア政府指令で国際入札表明
デンバー入札説明会に28社参加
入札結果発表
エクソンPSC開発計画案を連邦政府、サハリン州
政府に提出
モービル,テキサコ開発交渉完了の覚書調印

1997夏 PSCが議会を通過、信頼できる法・
      税制ができれば探鉱に移行
6年間の探鉱権(探鉱・企業化調査の実施権利)
19年間の開発権(探鉱の結果経済性があれば
開発に移行)

サハリン〜W
 
サハリン湾シュミット鉱区

1994.9.27
1995.3
1995.1
1998.3
2000

デンバーで国際入札説明会
21社が関心を示したがエクソンのみ応札
エクソン60:40の生産分与要求、ロシア側却下
ARCO協力協定調印
ARCO撤退
 
(出所)各種資料によって作成(村上)

 

(表-2) 生産物分与協定分野における連邦水準の規範・法文書一覧

採択日 番号 名称 備考
1995.12.30 N225-ФЗ 「生産物分与協定に関する」連邦法 法律は1995.12.6に下院で採択され、同年12月19日,上院で承認された。
1996.4.1   「石油会社の活動改善に関する最優先措置」に関する大統領令 ロスネフチに対して「生産分与協定による炭化水素の国家取り分の販売
保証」に関する独占権が強化された。
1996.6.16 ГТК РФ N01-15/10319 「ロシア連邦領土内、ロシア連邦の大陸棚および経済水域内にある
燃料・エネルギー、鉱物資源の地域別・鉱床別地下資源に関する
情報の輸出手続について」の文書
 
1997.4.8 N 408 「ロシア連邦領域内で開発される石油(ガスコンデンセートを含む)の
物品税差別料率に関する」ロシア連邦政府決定
 
1997.7.21 N 112-ФЗ 「生産物分与条件で提起する地下資源鉱区および利用権に関する」
連邦法
1997.6.24ロシア連邦下院ФСで採択された。
1997.7   「『生産物分与協定に関する』法律実施についての措置に関する」
大統領令
 
1997.9.2   「生産物分与協定の締結と実施にあたってのロシア連邦の権利と利益
保証措置に関する」政府決定
 
1998.3.4   「生産物分与協定に関するロスネフチのオペレーター機能の廃止に
関する」大統領令
 
1999.1.7 N 19-ФЗ 「『生産物分与協定に関する』連邦法の変更・追加導入に関する」
連邦法
 
1999.2.10 N 32 「『生産物分与協定に関する』連邦法から生じるロシア連邦の法的文書
の変更・追加導入に関する」連邦法
 
1999.5.31 N 106-ФЗ 「生産物分与条件で提起される地下資源の鉱区、利用権に関する」
連邦法
ルギネツキー、フョードロフその他石油ガスコンデンセート鉱床
1999.7.3 N 740 「生産物分与協定実施にあたっての支出償還の構成と手続きについて
の総則承認に関する」ロシア連邦政府決定
 
1999.7.8   「生産物分与協定実施にあたっての清算フォンド形成と利用手続きに
関する」ロシア連邦政府決定
 
1999.11.1 N 1213 「石油鉱床において運転されないで、制御され、一時停止中の坑井の
稼動開始に関する」ロシア連邦政府の決定
 
1999.11.20 N 199-ФЗ 「生産物分与条件で提起される地下資源鉱区、利用権に関する」
連邦法
プリオビ(北部ライセンス区域)石油鉱床、1999.10.20の下院ФСで採択
1999.11.20 N 198-ФЗ 「生産物分与条件で提起される地下資源鉱区、利用権に関する」
連邦法
「北部領域」の地下資源区域、1999.10.20の下院ФСで採択