「サハリン大陸棚石油・天然ガスの『開発と環境』に関する学際的研究」

ユジノ・サハリンスク全体会議
1998年8月25日

サハリン州国家環境保護委員会環境安全課 課長
G. A. コスチェンコ報告(要旨)

1)サハリン州国家環境保護委員会は、大陸棚開発に関して@水文・気象等の環境調査、 A事故対策に対してどのようにかかわってきたか、Bモニタリングをどのように 実施しているか、という視点から26のフィールドワークを含む研究を行ってきた。

2)ボーリング段階で環境委員会が行うことは、すべてのプラットフォームに国のインスペクター が同乗し、チェックしている。ボーリング実施時に原油流出対処の船が待機することを 義務づけている。また、すべてのプラットフォームには自前の流出原油回収システムの搭載を 義務づけている。

3)国家環境委員会には事故の場合動員できる回収装置がどこにストックされているかの データーベースがある。昨年、ノグリキで原油の流出時に設備をどう使うかの訓練が行われた。 原油流出を想定したセミナーも開催された。開かれた海域での油回収は可能であるが、 岸に到着した場合、手で集め、燃やすこと以外に効果的な方法がないことが明らかにされている。

質問1)サハリンの北では陸上の原油流出が基準の200倍の汚染があるのに、大陸棚で厳しいのは行政として 不適切ではないのか?
 どこに200倍もの基準を越える汚染があるのか指摘して下さい。確かに原油流出はあるが、 早急に除去するように命じている。モニタリングも行っている。

質問2)油の回収装置では何を勧告しているのか?船による回収設備は誰がどこで管理しているのか?
 管理者は石油による海洋汚染除去サハリン管理局。連邦予算で運営されている。ここに所属する回収船が ナホトカ号事故で派遣された。各地の貿易港、漁港では油の除去船をもつことが義務づけられている。 「サハリンモルネフチェガス」は独自に「バイダグプスキー」という名前の油回収船を持っている。 この船が最大。
 標準設計で1リットル中に15mg以上の油を含んではいけないという基準があり、ブイで集め、スキーマー で油と水を吸い上げている。
 「ネフチ サルベント」という商品名の吸着剤(ピートモスと製紙工場の廃棄物)が製造されている。
 海岸が沼と湿地であるので、陸上から人が入れず、ヘリには限界があり海岸での油回収は困難。 演習は海岸に到着する前のことを前提としている。

質問3)回収船はどこにあるのか?
 一部はボーリング現場、ホルムスク港およびコルサコフ港。サハリン〜T、Uともボーリング 計画のなかに必ず流出原油除去設備を持つことが義務づけられている。コルサコフ、ホルムスク から現場に二昼夜以内に到着できる。
 ノグリキにはエクソンの器具倉庫があり、フェンス、吸着材、拡散剤、小型船、ホーバークラフト が装備されている。1995年にエクソンがノグリキに15億ルーブル(当時)をかけて保管した。

質問4)サハリン州は何も用意していないのか?
 連邦のサハリン管理局は必要な船舶、資材をコルサコフに持っている。

質問5)今後ボーリング数が増えたらどう対応するのか?
 管理局の予算は彼らでないと解らない。財政困難ななかで株式会社「エコ シェリフ」を設立させた。 この会社の目的は除去作業をコマーシャルベースで行うことである。
 ライセンス料および罰金で構成される「環境基金」の運用規定で常に予算の5%をリザーブしておいて 、災害の時に投入することになっている。
 一番大きな負担は開発側。保険がかけられている。

質問6)流出防止の対策は?
 毎年ボーリングの前にモニタリングに関し、州側と合意が必要。どのようなパラメーターかは 関係するすべてのセクション、出先(極東極東水文・気象研究所、太平洋漁業・海洋学センター 、サハリン漁業・海洋学研究所etc)の意見を聞いて作られる。
 「SMNG シェリフ」がT、Uともにモニタリングを実施している。

質問7)本格的な生産になればどうするのか?
 冬場にも生産を行う。「Molikpaq」の耐氷性は連邦レベルの国家技術検査局、ゴスストロイ、 非常事態省の技術アセスメントをクリアしている。


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