1999年度点検評価報告書 外部評価委員会報告

5. 研究予算

 センターの年間総予算額(国立学校特別会計、委任経理金、科学研究費補助金の合計)は、1998年度の場合約1億4666万円である(参考文献 4)。1995年度から1997年度までの3年間は、科学研究費による重点領域研究が実施されたため、それぞれ2億円を超える予算規模となっていた。専任 研究員(教授・助教授)定員11人の小規模な研究組織でありながら、これは大きな学部に匹敵するほどの予算規模である。このようにセンターは財政的に恵ま れているといえるが、それはセンター自身の努力と実績に依るところも大である。
 このうち国立学校特別会計については、センターの全教官ポストが実験講座として扱われていることの他、1998年には、文部省のCOEプログラムの対象 機関に認定されたことにより、財政基盤を強化した。後者は、研究の一層の高度化を図るために特色ある研究機関の支援を目的としたものであるが、センターは このプログラムに基づく「中核的研究機関支援プログラム」の対象となり、「高度化推進経費」、「非常勤研究員経費」、「外国人研究員招聘経費」、「国際シ ンポジウム開催経費」を認められている(参考文献4)。
 科学研究費補助金の受給額も、他の研究機関に比べてかなり大きい。特に1995年度から1997年度までの3年間は、センターの専任研究員を中心に重点 領域研究「スラブ・ユーラシアの変動」に取り組み、年間8000万円前後の補助金を得ている。そのほかにも年間数件の研究が科学研究費の支給対象として採 択されている。1998年度の場合は、国際学術研究2件、基盤研究(A)1件、基盤研究(B)3件、一般学術図書刊行1件の合計7件が採択されている (3700万円)が、これは教官現員12人の半分以上に当たる数字であり、極めて高い採択率である。ただ1997年度で重点領域研究が終了したため、1億 円前後あった科学研究費総額が、1998年度は3600万円強に減少している(参考文献4)。
 財政的に恵まれているとはいえ、国立大学の予算が減少傾向にある中で、これまでの予算規模を維持するためには、科学研究費、COE予算、委任経理金と いった不確定の収入源に頼る比率が高くならざるをえない。それらを確保するために、センターはこれまでの努力を今後とも継続し、研究実績の蓄積を重ねてい く必要がある。