スラブ研究センターニュース 季刊 2010 年冬号 No.120 index

編集室だより


スラブ・ユーラシア叢書第8巻の刊行

基盤研究(A)「ユーラシア新秩序の形成」及びグロバールCOE プログラム「境界研究の拠点形成」の成果として、日本の国境問 題を網羅した『日本の国境・いかにこの「呪縛」を解くか』が北 大出版会から「スラブ・ユーラシア叢書」シリーズの一つとして 刊行されました。これは前著『国境・誰がこの線を引いたのか: 日本とユーラシア』の続編にあたるもので、日本の問題により焦 点が絞られています。本書は、ボーダースタディーズに関心をも つ専門家のみならず、国境問題にかかわる実務家や一般の読者を も対象としており、北方領土・竹島・尖閣に特化されやすいナショ ナリズムの「領土問題シンドローム」を克服すべく、日本の「知 られざる国境問題」にも焦点をあてています。12 月21 日には、(エッ セイ執筆陣を除く)著者全員が一堂に会し、根室でブックトークをおこない、100 人を越え る市民の前で議論をおこないました。なお、本書は現在、北大博物館で開催されているグロバー ルCOE ブース展示「知られざる北の国境」(樺太国境標石2 号及び香月泰男「シベリヤ・シリー ズ」の代表作「業火」の習作などの現物展示)のバックボーンともなっています。

序章 岩下明裕 「辺境」からの問いかけ
第1部 海洋国家日本:「呪縛」との闘い
第1章 山田吉彦 海に広がる国境の島々
第2章 長嶋俊介 離島と国境:行政概史と経営戦略
第3章 黒岩幸子 北辺国境地帯「北方領土」
第4章 原貴美恵 北方領土問題解決試案:北欧のオーランド・モデルから
<エッセイ> 工藤信彦 国境幻想:樺太で生まれ育ったものとしての
<エッセイ> 須藤真哉 北方領土問題の打開へ:カギ握る戦略的「四島交流」
第2部 国境イニシアチブ:「辺境」からのまなざし
第5章 田村慶子 国境島嶼を考える:小笠原国境シンポジウムから
第6章 古川浩司 国境地域の挑戦:自治体主導の「国際政策」にむけて
第7章 山上博信 「屋敷まわり」としての小笠原
第8章 佐藤由紀 国境島嶼・小笠原の位置どりと国境意識:母島におけるアンケート調査を手がかりとして
第9章 金成浩 オキナワ・パブリック・ディプロマシー
あとがき 「境界研究の拠点形成」にむけて
<詩> 工藤信彦 「国境」「領土」

[岩下]

→続きを読 む
スラブ研究センターニュース No.120 index