スラブ研究センターニュース 季刊 2010 年夏号 No.122 index

学界短信


2015 年ICCEES 世界大会は幕張で開催

7 月29 日にストックホルムでおこなわれた ICCEES 評議会で、2015 年のICCEES 世界大会 を千葉・幕張でおこなうことが、挙手採決の結 果、満票で可決されました。すでにこの1 年前、 ICCEES 執行委員会は幕張を候補地として提案す ることを決めていましたが、評議員から対案は提 出されず、むしろ、もともとは(グラスゴー開催 を掲げて)ライバルだったBASEES の幕張支持 発言を受けて採決がなされるという、まるで共産 党中央委員会総会のような美しい展開でした。

全体セッション「『東からの視点』などあ
るのか?」のようす
全体セッション「『東からの視点』などあ るのか?」のようす

ストックホルム世界大会そのものも、5 年前の ベルリン大会での日本人のペーパー数が15 本程 度、韓国や中国からの参加皆無に近かったのが、日本人のペーパー数が53 本、韓国人・中国 人が31 本、そのほかインドから相当数の参加があるなど、ICCEES の様変わりを実感させる 大会でした。東からの参加を増やすため、スウェーデンの実行委員会が様々な特例(?)措置 をとってくれたことも、ここで感謝をこめて明記しないわけにはいきません。

なお、評議会が開催された翌日の夜6 時から、「『東からの視点』などあるのか?東アジア におけるスラブ・ユーラシア研究」と題する全体セッションがおこなわれました。これは大 会組織委員会の求めに応じて松里が組織したもので、日本から宇山、田畑、北京から劉文飛(ロ シア文学会事務局長)、上海からフェン紹雷(華東師範大学国際関係地域研究学院長)、韓国・ 漢陽大学からリー・ムンヨンらのオールスターが報告しました(池田 嘉郎氏のエッセイ参照 )。ウプサラ大学のヘト ランド教授をはじめ聴衆から非常に賞賛された企画でしたが、いかんせん金曜日の夜だった ので聴衆の数自体は少なかったです。大会実行委員が「しまった。こんなにいい企画なら大 会の最初にすればよかった」と言っていましたが後の祭り。いずれにせよ、アジアのスラブ・ ユーラシア研究の存在感を示す世界大会となりました。

なお、ストックホルム世界大会に先立つ7 月9 日、JCREES 幹事会は、「ICCEES 本部が主 導すること、松里ICCEES 日本代表が中心となって資金面及びスタッフ人材面での責任を取 ること」を条件として、幕張世界大会に対して「モラル・サポートをおこない、各学会は内 容面、特にパネルなどでサポートする」という決定を下しています。国内外の意思決定がな されましたので、幕張世界大会実行委員会の旗揚げ、HP の立ち上げなどをおこなう初期準 備期間に入りました。

[松里]

世界組織らしく見えるようになったICCEES 評議会
(7 月29 日)
世界組織らしく見えるようになったICCEES 評議会 (7 月29 日)

<ITP メンバーの参加>

なお大会では長期派遣フェ ロー経験者6 名を含むITP メン バー21 名が研究発表をおこな いました。多くが個人発表のか たちでしたが、杉浦史和、左近 幸村、高橋沙奈美の3 名はパネ ルも組織しました。ITP プログ ラム英語合宿での「原稿を読ま ない」発表スタイルの特訓や英 語論文執筆講習会での勉強の効 果もあったようです。国際学会 で英語を使って発表することが 若手研究者の間で根付いてきた ことが感じられます。

[越野]

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