9. 共同利用
まず、センターは「共同研究員制度」
を通じて、内外のスラ
ブ研究
の文字どおり「センター」として中枢的な地位を獲得してきた、といえよう(参考文献6)。特別、学内、学外と背景を異にしたこれらの幅広い人材が、海外か
らの招聘発表者も交えて、原則として夏期(7月)、冬期(1月)の年2回、それぞれ4日前後の日程で、その都度設定される大テーマを中心に、公開の研究報
告会を重ねてきたことの研究史上の功績は大きい。しかも、それらの日程も、くわしく『スラブ研究センターニュース』でアナウン
スされ、多くの研究者に刺激を
与えて
きた。
この他に、年度によって回数に差はあるが(1997年度は11回、1998年度は5回)、特別研究会が主として外国人スピー
カーを迎えて催されるほか、さ
まざま
の地域やテーマに関連したシンポジウム、講演会などもあり、こうした全体の企画や運営が、この比較的小規模な研究者集団によってよくになわれてきたこと
は、高く評価できる。
さらに、「学術情報」面での共同利用では、研究者名簿、文献目録、センターニュース、そして最近ではデータベース、ホームページと広げており(参
考文献4)、こ
れらの地道な作業に
たずさ
わる人事面の手当はもっと積極的に考慮されるべきではなかろうか。
これらに加え、COEの非常勤研 究員が1995-99 年度9 名、鈴川基金奨励研究員が 1996-98年度17名と、一定期 間づつ 来所している。 実際にこれらに採用された研究者は、その経験を研究上大いに有益であったと評価しており、かつ採用希望者も後をたたず、若手のスラブ研究 者養成に小さからず貢献している。それだけに後者の制度が不況による基金運用益の減少によって苦境に立っていることは残念である。