ITP International Training Program



ITP英語合宿の三つの魅力

saito斎藤 祥平

(北海道大学大学院文学研究科博士後期課程)


(1)講師グレゴリー・コズロフスキー

私はまだ顔も見たことの無い彼のことを恐れていた。なぜなら事前に彼から送られてきた複数のメールには極め細やかな指示と大量の課題が記されていて、私は勝手にスパルタ外国人教師のイメージを抱いていた。きっと地獄のような一週間が始まるのだろう、途中で帰りたくなるのだろうと思っていた。しかし、合宿所に着き、会議室のドアを開けると、グレッグは屈託の無い笑顔で私達を迎えてくれた。当初の否定的な想像とのギャップからか、すぐに不安が吹き飛んだことを覚えている。正直言って、この一週間の合宿は本当に楽しく、時間が経つのが早く感じた。ホテル住まいも快適だし、できればもっといたかった。しかし、私見では、その要因の大半は講師グレゴリー・コズロフスキーによるところが大きい。彼の愉快な人柄によって、私達グループの雰囲気は一週間を通して良好な状態を維持した。授業では彼は非常にプロフェッショナルであった。彼の専門はコンピューター・サイエンスだが、豊富な教養を生かし、ディシップリンも地域も多様な我々のペーパーの大意を理解してくれた。休憩を惜しんで個別指導をしてくれた彼は、毎日夜になるとクタクタになっていた。



(2)プレゼンテーション・スタイルの模索

とは言っても、最終日の模擬学会まで五日間程度しかないのはスケジュール的には少しハードだった。毎日のセッションではわずかな準備ですぐに人前でしゃべる、という訓練が課された。私のような国際学会での発表経験が無いものは自分のスタイルが確立していない。そのため、私は毎回のセッションでの出来や発表の仕方はバラバラであった。しかし、試行錯誤できること自体がとても貴重な機会だというのを感じた。毎日朝から夜まで発表経験豊富な諸先輩方のやり方を観察したり、講師のアドバイスを聞いたりできるというのはとても恵まれたことである。私の場合は、思想史が専門なので、引用訳をどう扱うのかが課題であったが、その問題も多分解決した。またグレッグ講師の言うとおり、ペーパーを読まない方が意外と上手くいくことも分かった。最終日まで試行錯誤し、前日は諦めて何もしなかったが、結果的に収穫は多かった。


(3)英語漬けの生活

合宿中は、休憩中も食事中もメンバー間の会話は英語によって行われる。コンビニに行く時も、風呂場でも、電話も、合宿中二回行われた飲み会(※費用はもちろん自己負担)でも、会話は全て英語であった。きっと、青年会館の他の利用者や宿泊客からは変な集団だと思われたに違いない。普段、大学では日本語でやりとりしているメンバーと英語でしゃべるのは変な感じがしたし、疲れてくるとロシア語が自然と出てくるすごい人たちもいたが、それはそれでとても楽しかった。英語だと、駆け引きなしに、自然と本音がストレートに出てくるので、普段見られない意外な一面を見ることが出来、とにかく日本語よりも円滑にコミュニケーションが図れ、時間と共にメンバー間の親睦や団結が強まったことも合宿の重要な成果だろう。



最後に、グレッグ先生、合宿開始二日前にもかかわらず私をメンバーに加えてくださった越野助教、このような素晴らしい機会を与えてくださった松里教授、藤森助教ら先生方、飛び入り参加の私の旅費を手配してくれた会計担当の佐藤さんらスタッフの皆様、毎日部屋の備品を取り替えてくださったり、プリンターや洗濯機を貸してくださったり、美味しいご飯やとても寝心地の良い枕を提供してくれた北海道青少年会館の皆様、本当にありがとうございました。


[Update 11.04.15]

[戻る] ▲Page Top▲




Copyright ©2008-2011 Slavic Research Center   |  e-mail: src@slav.hokudai.ac.jp