スラブ研究センターニュース 季刊 2008 年秋号 No.115 index

研究の最前線


日中韓スラブ学会長の共同声明

センターニュース第113 号で紹介した日中韓3 国の共同シンポジウムに並行して、第1 回 の3 国スラブ学会長サミットが開かれました。日本からは、袴田成樹 JCREES 会長の代理と して宇多文雄副会長が出席しました。そこで合意された事項を2 ヵ月かけて共同声明にまと め、5 月7 日付で3 会長が調印しました。このたび声明を和訳しましたので紹介します。

この共同声明の内容のうち、中国のICCEES 加盟はすでに実現されましたし、第1 回スラブ・ ユーラシア研究東アジア・コンフェレンスも、来年2 月5 ~ 6 日開催に向け、すでにパネル 提案が締め切られたところです。この共同声明は、これからも、東アジア・スラブ研究者コミュ ニティを建設する上での道しるべとなるでしょう。

なお、第113 号で、今年2 月の3 国コンフェレンスを、「第1 回スラブ・ユーラシア研究東 アジア学会」として紹介しましたが、これは私の勇み足で、北大とソウル大の共催シンポを 拡大したに過ぎないものに、このような 名称を許すことは不適切であると韓国側からクレー ムがつきました。これについては私が陳謝し、正式に日中韓3 学会が共催する、来年2 月に 北大で開催されるものが「第1 回」のスラブ・ユーラシア研究東アジア・コンフェレンスと なります。

[ 松里]

韓国スラブ学会(KASS)、東欧・ロシア・中央アジア研究中国学会(CAEERCAS)、

 および日本ロシア・東欧研究連絡協議会(JCREES) の代表者による共同声明

制度化された学術コミュニティの不在こそが、東アジアにおけるスラブ・ユーラシア研究 の発展を妨げている最大の原因であるという共通の認識に基づき、CAEERCAS、JCREES、 およびKASS は以下の点で合意した。

  1. 3 組織はユーラシア・アジア的な視角を打ち出すことにより、世界のスラブ・ユーラシ ア研究の発展に寄与していく。この目的のために共同研究、セミナー、ワークショップ、出版、 研究者・院生の交換等を組織する。
  2. 3 組織はスラブ・ユーラシア研究東アジア・コンフェレンスを年1 回の定例行事として 3 国持ち回りで開催し、それを国際中欧・東欧研究協議会(ICCEES)の地域事業として認証 させることに合意した。また第1 回の東アジア・コンフェレンスを2008 年末~ 2009 年初頭 に札幌で開催することに合意した。
  3.  コンフェレンス組織の円滑化を図るため、3 組織は、それぞれの代表者から成る運営 委員会を設立する。この委員会の主な役割にはコンフェレンスのテーマの設定、パネル・ペー パーの公募、ペーパーの水準管理を含む。
  4. 3 組織はスラブ・ユーラシア研究国際コミュニティへの東アジアの貢献度を増大させて いく。その手始めに3 組織はストックホルムで2010 年7 月26-31 日に開催が予定されている ICCEES 第8 回世界会議において、できる限り多くのパネルを組織することを目指す。
  5. 3 組織は2015 年の第9 回ICCEES 世界会議を東アジアの都市に招致する可能性につい て真剣に検討する。もしこれが実現したなら、東アジアのスラブ研究者共通の名誉であり責 任であるとの認識に基づき、東アジアのスラブ研究コミュニティ全体がホスト組織を援助す るため全力を尽くす。
  6. 3 組織の代表は定期的に執行委員会を開くこととし、次回の委員会は札幌で2008 年 秋までに開催する。そこでは2010 年のストックホルム世界会議への参加について、また ICCEES と地方組織(KASS とCAEERCAS)の関係などについて入念に討議する。

2008 年5 月7 日

パク・スーヒョン
李静杰
袴田茂樹
KASS 代表
 CAEERCAS 代表
JCREES 代表


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