スラブ研究センターニュース 季刊 2011 年冬号No.124 index

研究の最前線

ITP の総括としての国際若手ワークショップ始まる

ITP も余すところ2 年間となりました。この事業を総括し、次の段階への飛躍を作るために、 派遣経験者が自ら組織者となってセミナーを組織する試みが始まりました。最初にこの役割 を果たしてくれたのは、第2 期ITP フェローとしてオックスフォード大学に派遣された溝上 宏美さんです。彼女によって、新学術領域の国際シンポジウム「回帰と拡散:地域大国にお ける人間の移動と越境」の前日(12 月10 日)、同じ大阪ブリーゼプラザで第1 回国際若手シ ンポジウム「帝国としての過去と移民:日ロ英の国際比較」が開催されました。その内容は 以下の通りです。

14:10-15:20 セッション1 ユーラシア内の移動: ロシアとソ連、帝国の陰影
ペーパー:
Jeff Sahadeo (カールトン大学、カナダ)「最初の遭遇:戦後のレニングラード
とモスクワにおける非ロシア系『有色人』」

Sebastien Peyrouse(中央アジア・コーカサス研究所、フランス、ジョン・ホプ
キンズ大学)「中央アジアからのロシア系住民の帰国問題:移住の流れと反ロシ
ア感情の問題」
討論者:
Gulnara Mendikulova(世界カザフ協会ディアスポラ研究センター、カザフスタン)


15:40-16:50 セッション2 海を越えた移動: 日本帝国とイギリス帝国における事例
ペーパー:
David Rands (フロストバーグ州立大学、米国)「日本におけるコリアン:植民
地から帝国の中心へ」

溝上宏美(京都大学)「帝国からコモンウェルスへ:ポーランド亡命軍兵士の受
け入れをめぐるイギリス政府の対応」
討論者:
Eileen Kane(コネティカット・カレッジ、米国)

両セッションとも司会は、長縄宣博(センター)でした。

溝上さんは2010 年1 月に派遣先で国際セミナーを組織した際にも、組織者としての裁量で 報告者候補に声をかけるだけではなく、Call for Papers をインターネット上で発表して報告 者を募るという積極的な方法をとっています。今回の企画においても3 人の外国人報告者の うち2 人は、公募による報告者でした。シンポジウムを組織しての溝上さんの感想は、ITP のホームページに掲載さ れています。

[松里]

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