スラブ研究センターニュース 季刊 2011 年夏号No.126 index

図書室だより

 附属図書館改修工事の進行と資料再配置

 北海道大学附属図書館本館の「再生事業」については、昨年夏の122 号ですでにお知らせしましたが、2009 年度から4 ヵ年という当初計画は、補正予算等の関係から若干前倒しで進行中です。予定では2011 年度末に竣工、その後に設備関係工事、資料の移動と再配置等の作業があり、全面開館は2012 年秋と見込まれます。
 その間、一時的に利用できなくなる資料が多数あり、個人コレクションや学位論文など、資料によってはその期間が1 ~ 2 年にわたるため、利用者のみなさまにはご不便をかけておりますが、よろしくお願いいたします。
 また、今回の改修を機に、これまで「本館・スラブコレクション」として配置されてきた資料の収蔵場所が変更される予定です。
 「本館・スラブコレクション」のうち、製本雑誌は欧文・露文とも、この7 月に開館した「南館」の自動化書庫に、本館の他の製本雑誌類と一緒に収蔵されます。また、来年の「再生事業」完了後、欧文図書は、本館の他の洋図書ととも に本館4 階に混排で収蔵されることになりました。なお、露文図書については、引き続き本館1 階に別排架される予定です。

[兎内]

図書室だより

モスクビチャニン誌(マイクロフィルム)の購入

 『モスクビチャニン』は、19 世紀の中葉、1841 年から1856 年まで、モスクワでミハイル・ポゴージン(1800-1875) が出版していた雑誌です。ポゴージンは、モスクワ大学で歴史学を講じていましたが、1841 年に教授職を辞し、史料の編纂と出版の仕事は続けながら、主な活動の舞台を言論界に移しました。
 『モスクビチャニン』には、発行者ポゴージン自身の他、イワン・ベリャーエフ(1810-1873)、コンスタンチン・アクサーコフ(1817- 1860)、アファナシー・フェート(1820-1892)、アレクセイ・ホミャコフ(1804-1860)、イワン・キレーフスキー(1806- 1856)、ピョートル・ヴャゼムスキー(1792-1878) ら、主としてスラブ派的傾向の多くの作家や思想家たちが寄稿しましたが、1840年代末には購読者が落ち込み、危機的な状況に陥りました。そこで、アレク サンドル・オストロフスキー(1823-1886) など、若手の編集者を招いて立て直しを図りましたが、その後彼らとポゴージンは対立するようになり、雑誌は1857 年に廃刊となりました。
 本センターでは、昨年度、この雑誌のマイクロフィルムの1841-1852年分を、ナウカ・ジャパン社より購入しました。また、残りの分についても、遠 くない時期に整備したいと考えています。
[兎内]

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