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台頭する中産階級とその政治的・社会的 インパクト:中印露比較研究

園田茂人(研究代表者)

所属機関  東京大学大学院情報学環/東洋文化研究所
専門分野 比較社会学、現代中国研究
役割分担 総括、中国とインドの中産階級比較

林裕明(連携研究者)

所属機関  島根県立大学総合政策学部
専門分野  ソ連・ロシア社会論、比較経済体制論
役割分担 ロシアの中産階級研究及び中印との比較研究

研究概要

本研究では、ユーラシアの地域大国である中国、インド、ロシアの中産階級を対象に、その台頭がもたらす政治的・社会的インパクトを明 らかにする。
従来、中産階級研究を担ってきた政治学や社会学は、これらの国での研究に特化する傾向があり、リサーチ・クエスチョンも各地でバラバラだった。たとえ ば、中国における中産階級の台頭は、共産党の一党体制への挑戦に繋がるか、従来不平等を認めてこなかった社会主義イデオロギーとどのような関係をもつか、 といった点から論じられてきたが、インドでは旧来のカースト制度との関連性や、世俗化(宗教行為にどれだけ熱心か)、支持政党(会議派支持かどうか)など との関連性が議論され、両者に共通する問いが意識されることは少なかった。それどころか3カ国以上の比較研究は皆無であり、この点の欠落はきわめて大き い。
他方で、世界価値観調査やアジアバロメータなど、これら3つの地域の中産階級を比較することが可能なデータが集まりつつある。比較のフレームワークが整 備されないままデータ収集が進んでいるのだが、本研究は、こうした「歪み」を是正することも念頭に置いている。
中産階級研究に、ほぼ英語だけでアクセスできるインドを除き、中国語文献に詳しく社会学を専門にしている園田とロシア語文献に通じている経済学者の林が 共同研究を進めることで、ユーラシアの地域大国で中産階級が台頭する政治的・社会的帰結を、その格差観、秩序観、政治意識、対外認識などから明らかにした い。