スラブ研究センターニュース 季刊 2008 年春号 No.113 index
いまも昔も、日本の文系学問を国際化する上での最大の障害が、英語表現力の乏しさであ ることには変わりはないでしょう。現地語に熟達したのと反比例するかのように、若い世代 の英語力は年配世代と比べてももっと落ちたようにさえ感じられます。ITP を開始する企画、 また21 世紀COE を締めくくる企画としてふさわしいのは、まさにこの問題を直視するもの ではなかろうか―という趣旨で、年度末も押し迫った3 月に真駒内セミナーハウスを2 週間 借り、全国からポスドク研究者や有望大学院生を18 名招聘して英語キャンプをおこないまし た。ウルフ教授の人脈で第一級の英語トレーナーを組織することができ、また、いつもなが ら青島研究員の組織力には驚かされました。しかし、このような企画が忽然と現れて大成功 してしまうのは、何よりもまず、若手研究者が英語表現力の向上を渇望しているということ の反映でしょう。
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少数精鋭、タイトなスケジュールの授業でも、ときおり
余裕の笑みを浮かべる受講者たち
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参加者は、2 週間、私的な会話で も英語以外の言語は自発的に放棄 しました。報告にあたっては準備 した原稿を読み上げ、質疑応答が 始まると全く返答できない日本人 の典型的な国際学会マナーが排除 され、「読まずに話す」訓練が積ま れました。報告や発言はビデオに とられ、参加者は自ら批判的にそ れを観察し、見栄えの悪い癖は克 服するよう指導されました。参加 者の感想のいくつかをここで紹介 しましょう。