1998年度夏期国際シンポジウム・プログラム

地域:スラブ・ユーラシア世界を映す鏡

 

1998年7月22日(水)

16:00〜17:30 記念講演 I.M. クリャムキン(社会学分析研究所/ロシア)(ロシア語)

7月23日(木)

 9:30〜12:00 第1セッション 地方史への文明論的アプローチ
・N.M. ヤコヴェンコ(キエヴォ-モヒリャ・アカデミー/ウクライナ)「ユーラシアと西欧の狭間の初期近世ウクライナ:幻想と現実」(ロシア語)
・V.I. シシキン(ロシア科学アカデミーシベリア支部歴史研究所)「シベリアの国家機構:20世紀前半」(ロシア語)
・宇山智彦(北大)「文明の地理学:19世紀半ばから20世紀初めのカザフ知識人の活動の空間論的分析」(英語)  司会:左近毅(大阪市大) 討論:小松久男(東大)、中井和夫(東大)

 13:15〜15:15 第2セッション 地域と社会学 (423号室)
・M.D. ケネディ(ミシガン大/米国)「アイデンティティと社会問題の空間的表現:エストニア、ウクライナ、ウズベキスタンにおけるフォーカス・グループ調査」(英語)
・園田茂人(中央大)「スロバキアにおける“ソフトな”地域アイデンティティー?:中国との対比にみる印象論的エッセイ」(英語)

 司会:家田修(北大) 討論:石川晃弘(中央大)、南塚信吾(千葉大)

 15:30〜18:00 第3セッション ロシア経済の地域化 ・P. ラトランド(ウェスレイヤン大/米国)「ロシアのリージョナリズムの政治経済学」(英語)
・A. ポノマレンコ(ロシア連邦統計国家委員会)「ロシアの地域GDP:計算の方法と初めての計算結果」(英語)
・S. ローズフィールド(ノースカロライナ大/米国)「北東アジアの潜在成長力の解き放し:ロシアのパラドックス」(英語)

 司会:上垣彰(西南学院大) 討論:久保庭真彰(一橋大)、大津定美(神戸大)


 18:30〜20:30 レセプション

7月24日(金)

9:30〜12:00 第4セッション 地域学の基礎ディシプリン ・A.V. ポストニコフ(ロシア科学アカデミーロシア科学技術史研究所)「ロシアにおける地図作成の一般的趨勢:17〜19世紀」(英語)
・原暉之(北大)「日本人のシベリア観の変遷」(英語)
・帯谷知可(民博地域研究センター)「アジア・ロシア概念の地平」(英語)
 司会:井上紘一(北大) 討論:J. シェーベルレイン*ハーヴァード大/米国)  13:30〜16:00 第5セッション リージョン政治学の最前線
・S. スピーゲレア(西欧同盟戦略研究所)「ガリバーを繋ぐ糸:ロシアのリージョンと世界」(英語)
・J.F. ヤング(北ブリティッシュコロンビア大/カナダ)「中央とは何か、辺境とは何か?:サハ-ヤクーチヤとロシアの政府間関係」(英語)
・松里公孝(北大)「進歩的な北、保守的な南?:ロシア投票行動の謎を解く鍵としてのリージョン・エリート」(英語)
 司会:宇多文雄(上智大) 討論:皆川修吾(北大)、下斗米伸夫(法政大)

 16:15〜18:15 第6セッション 文化の視点から見た地域 ・H.A. ヤナシェク-イワニチコヴァー(シレジア大/ポーランド)「文学に見る中欧の民族的・地域的アイデンティティー」(英語)
・S.I. ルイジェンコフ(国際人文政治研究所/ロシア)「リージョン史の『黄金時代』:行政府による神話創出とその効用」(ロシア語)
 司会:伊東孝之(早大) 討論:沼野充義(東大)、S. ラメー(立命館大)


7月25日(土)

10:00〜17:00 エクスカーション(小樽方面)

 


研 究 の 最 前 線

◆ 1998年度夏期国際シンポジウムの開催 ◆

 本年度の夏期国際シンポジウムは、「地域」をキー概念として、人文社会科学を横断するものとして開催されます。上記のプログラムに示されるように、北米、西欧、東欧、ロシア、ウクライナ、中央アジアの第一線の研究者がここに結集します。 1989年以降のスラブ世界の変動は、スラブ学における地域実証研究の地位を不動のものとしたといえましょう。一方では、主権国家の枠組みを通じてこのエリアを見るのでは不十分だということが示され、他方では、地方の古文書・現地調査などに立脚した研究が現に可能になったからです。過去数年間、人文社会科学の諸領域においてスラブ圏の地域を対象とした調査が蓄積され、研究の現状は、個別事例研究から地域間比較、一般理論構築への飛躍が求められている段階だと言えましょう。 スラブ「地域学」は学際性を必要としています。たとえば、地域の歴史的アイデンティティーと住民の投票行動の間の相関関係などは、東欧でもロシアでもウクライナでも注目されているのに、従来、分野別の学会しか開催されず、歴史学者と政治学者の間の対話の場がなかったため、こうした問題を検討する場がありませんでした。旧ソ連や北米における過度に専門分化したスラブ学の現状に鑑みても、北大スラブ研究センター以外にこうした学際的シンポジウムを開催しうる機関が世界に存在するとは考えられません。本シンポジウムは、スラブ「地域学」の世界的な飛躍の場となるでしょう。[松里]

◆ 「移行期の中央アジア」セミナーの開催 ◆

 センター夏期国際シンポジウムに先行して7月22日(水)13:00〜15:30に、現在日本滞在中の中央アジアの研究者を招いて「移行期の中央アジア」というテーマでセミナーをおこないます。会場はセンター内です。皆様の参加をお待ちします。[宇山]

A. ショマノフ(カザフスタン発展研究所)「カザフスタンにおけるロビイズムと圧力団体:歴史と現在」(ロシア語)
N. バディコヴァ(国立統計・予測研究所/トルクメニスタン)「カスピ海周辺地域のガス開発問題」(ロシア語)
K. オムルザコフ(クルグズ共和国国会顧問)「クルグズスタンの経済:最近の発展と政策について」(英語)

◆ 1999年度外国人研究員候補決まる ◆

 7月2日(木)開催の協議委員会において、1999年度の外国人研究員招聘に関する審議がおこなわれ、正候補3名、副候補2名が正式に決まりました。正候補として選ばれたのは以下の方々です。
 ・ウィタカー・シンシア・H.(ニューヨーク市立大学大学院歴史学教授)
 ・リュー・クイリ〈劉魁立〉(中国社会科学院少数民族文学研究所主任研究員)
 ・ニコヴァ・エカテリナ・L.(ブルガリア科学アカデミーバルカン問題研究所上級研究員)

 1999年度の応募者は51名で、昨年に比べて減少しております。その理由として、昨今、研究者、とくに優秀な人材になればそれだけ忙しくて10ヵ月も留守にできないことや、センターが3〜6ヵ月の短期COE外国人研究員の公募を開始したことが指摘できましょう。
  ウィタカー教授は、数多くの著書・論文を執筆しており、とくに1984年に北イリノイ大学で出版された著書The Origins of Modern Russian Education: An Intellectual Biography of Count Sergei Uvarovは1984年のピューリツァー賞伝記部門にノミネートされたことがあります。教授は18〜19世紀のロシアの政治・文化史が専門ですが、近年は18世紀専制政治のなかで統治者達や政治エリート、ジャーナリスト、歴史家などの上層階級が果たした役割について研究しています。センターでは18世紀の専制政治と進歩の問題を扱うことになっています。滞在予定は1999年6月1日から2000年2月29日までの9ヵ月間です。
 リュー教授は少々年輩ですが、中国国内でも著名な民族学者であり、中国国内のフォークロアの研究業績も多くあります。同時に、モスクワ大学を卒業しており、旧ソ連で知的経験を積んだこともあって、ロシアのフォークロアの研究でもすぐれた著作を発表しております。現在の所属は中国社会科学院少数民族文学研究所の主任研究員であり、同時に雑誌『国民文学研究』の編集長でもあります。センターではロシア北部のフォークロアの伝統について研究することになっています。滞在予定は1999年6月1日から2000年3月31日までの10ヵ月間です。
 ニコヴァ研究員はブルガリア科学アカデミーのバルカン問題研究所に勤めています。センターがバルカンから研究者を招聘するのは久しぶりのことです。例年、ブルガリアからは少なからず応募者がありましたが、これまでなかなか採用されませんでした。ニコヴァ研究員の専門は20世紀バルカン史で、最近では20世紀後半のとらえどころのないバルカン人を研究対象にしています。滞在予定は1999年6月15日から2000年3月15日までの9ヵ月間です。[村上]

◆ COE外国人研究員の公募開始 ◆

 センターでは、通常の外国人研究員プログラムとは別に、1995年度に1名、1996年度からは毎年3名の外国人がCOEの外国人研究員経費により、3〜6ヵ月程度滞在しています。ニュース前号でもお伝えしましたように、来年度からはこの募集を公募という形でおこなうことになり、次の要領で公募が開始されています。
 滞在期間:1999年6月から2000年3月までの間の3ヵ月から5ヵ月の期間
 応募締切:1998年9月30日
 採用通知:1999年3月中旬
 給与等の条件は、通常の外国人研究員プロジェクトに準じています。応募のお問い合わせは、センター大須賀まで。応募要領は、センターのホームページでもご覧になれます。[田畑]

◆ 1998年度鈴川基金奨励研究員決まる ◆

 限りなくゼロに近い金利のなかで、本年度も鈴川基金を何とか維持しようと、スタッフ一同財政面での知恵を絞りながら選考をおこないました。今年は前年を上回る25名の応募があり、将来の研究者育成のことを考えれば財政のことばかり考えてもいられず、以下の6名をお迎えすることになりました。最近の傾向としては、女性の進出がめざましいことと人文科学系が多いことです。鈴川基金で来られる研究生は滞在が短いにもかかわらず、充実した札幌生活を過ごしているようで、招待して良かったと安堵するような感動的なお礼状をいただくのも鈴川ならではかもしれません。[村上]

氏 名
所 属
滞在期間
ホスト教官
研究テーマ
森永 貴子 一橋大・院
博士課程
98.7.22〜7.31 原 暉之 イルクーツク及びシベリア諸都市(特にトムスク)の市会活動における商人の役割
河本 和子 東大・院
博士課程
98.7.21〜8.3 皆川修吾 社会集団としての法律家の政治的・社会的位置づけおよびソ連における法(実定・判例)の意味
上野 理恵 早大・院
博士課程
98.7.21〜8.4 村上 隆 ヴルーベリの創作をめぐる言説について。シンボリストが作り上げたヴルーベリの神話の形成の考察
半谷 史郎 東大・院
博士課程
98.7.21〜8.7 宇山智彦 帝政時代のドイツ人およびヴォルガ・ドイツ人自治共和国に関する資料収集
畠山 禎 名大・院
博士課程
98.7.21〜8.10 家田修 19世紀後半ロシアにおける建設労働者の日常生活:ペテルブルグを中心に
光吉 淑江 アルバータ大
Ph.D.コース
99.1.18〜2.1 松里公孝 第二次大戦後に強制移住れた極東のウクライナ人について

◆ 本年度文部省科研費プロジェクト ◆

 1998年度のセンター教官が代表を務める文部省科学研究費補助金による研究プロジェクトは次の通りです。[野村]

国際学術研究
 村上隆 「サハリン大陸棚石油・天然ガスの〈開発と環境〉に関する学際的研究」
 田畑伸一郎 「ロシアの地域間の資金循環」

基盤研究
 村上隆 「サハリン大陸棚石油・天然ガス開発にともなう〈開発と環境〉に関する学際的研究」
 望月哲男 「90年代ロシアにおけるポストモダニズム文芸の総合的研究」
 田畑伸一郎 「ロシアの地域間資金循環の分析」
 松里公孝 「ロシア連邦ヴォルガ中流域6民族共和国エリートの比較研究(バシコルトスタン、マリ・エル、モルドワ、タタルスタン、ウドムルチヤ、チュワシ)」

◆ 北海道スラブ研究会総会開催 ◆
 北海道スラブ研究会1998年度総会は4月23日に開催されました。
 97年度の活動報告、会計報告がなされ、出席者の了承をえました。それに続き98年度の新役員は97年度の役員1名を除き継続して選出されました。新世話役代表は林前センター長から井上新センター長にバトンタッチされました。会計係も継続して松田潤氏が選出されましたが、所属がセンターから札幌大学に移られました。
  98年度役員名簿 (北大経済)
 世話役代表: 井上紘一(センター)
 世話役: 大西郁夫(北大文)、匹田豪(小樽商大)、田口晃(北大法)、高岡健次郎(札幌学院大)、所伸一(北大教育)、徳永彰作(札幌大)、杉浦秀一(北大言語文化)、吉野悦雄(北大経済)
 会計係: 松田潤(札幌大)
 会計監査: 吉田文和
 連絡係: 皆川修吾(センター)

 続いてセンターの松里公孝助教授から「ウクライナ:文明と民族の交差点(14-20世紀)」について経験談を交えた興味深い報告があり、活発な質疑応答がなされました。報告の後には恒例のビア・パ−ティが催され、和やかな歓談の一時をもちました。[皆川]

◆ 専任研究員セミナー ◆

 年度始めということもあり、また、重点領域研究の疲れが貯まっていたせいか、4月から5月にかけては専任研究員セミナーはたったの1件でした。
 5月11日 松里公孝 「ロシアのサブリージョナル・ポリティックス」
討論者:神原勝(北大法)
 松里氏の報告はロシアの郡・市レベルの政治を、国家建設、エリート再編、地方選挙という三つの視点から分析したものでした。この課題を学究的に取り上げて、本格的に現地調査した者は日本では皆無であり、国際的にもごく少数の研究者がいるにすぎなく、まさに先駆的研究といってよいでしょう。討論者の神原氏は地方自治行政学の権威者であり、スラブ研究とはほとんど縁がないようでしたが、専門家の立場から的確なコメントをされ、報告者にとっては今後の研究に生かされる貴重な助言をえたのではないかと思われます。専任研究員からは恒例のように辛口のコメントも数多くでましたが、彼の現地調査で見せたエネルギッシュな活動と卓越した語学力、それにインタビューした人物の顔が見えるだけでなく心の動きが分かるような、実に人間味あふれる彼の研究態度は、参加者全員が認めるところでした。[皆川]

◆ 研究会活動 ◆

 ニュース73号以降の北海道スラブ研究会とセンター特別研究会の活動は以下の通りです。[大須賀]
 6月 3日  V.E. セリヴョルストフ(ロシア科学アカデミーシベリア支部経済・産業工学研究所)「ロシアの新連邦制・地域政策下におけるシベリアの発展」(特別研究会)

 

センター第13回公開講座

「動き出す日露関係」が終了

 5月11日(月)から6月1日(月)までの毎月曜と木曜、計7回にわたって、センターの公開講座がおこなわれました。

 ペレストロイカ初期の1986年から毎年スラブ・ユーラシア地域の様々な問題をテーマとしておこなわれてきた本講座ですが、13年目にあたる今年は、新しい局面を迎えた日露関係をテーマとして取りあげました。昨年11月と今年4月の日露首脳会談を契機として、両国は国境の確定と共栄をテーマとした新しい関係の樹立に向けて動き出しています。今回の講座ではこうした動きを踏まえながら、両国関係の歴史・現状・将来をできるだけ広い視点から概観できるようなプログラムを組んでみました。
 政治の分野では、現在の両国交渉がもつ可能性と課題、またロシアの政策決定のメカニズムという問題が論じられました。経済分野では、カニ交易を中心とした北海道と極東の経済関係、また環日本海経済圏という規模でみた場合の日露経済関係の特徴や可能性の問題が論じられました。歴史分野では、江戸期から昭和期にかけての様々な事例を取りあげながら、日本人のロシア体験やロシア観の特徴という問題が論じられました。また今後の両国関係にとって大きな意味を持つと思われる市民間交流の一例として、チェルノブイリ原発事故の被害者に対する支援市民団体の活動が紹介されました。講師は上記のテーマ順に、木村汎(国際日本文化研究センター)、皆川修吾(センター)、荒井信雄(北海道地域総合研究所)、村上隆(センター)、外川継男(上智大)、原暉之(センター)、和田あき子の各氏にお願いいたしました。
 様々な意味でロシアへの関心の深い土地柄ということもあって、講座には74人の受講者を迎えることができました。とりわけ国境確定交渉の背景に関する話題や、サハリン沖の油田開発の経済効果と万一の事故の場合の北海道への影響といった話題には、真剣な反応がみられました。また従来の大学の公開講座では取りあげられることの少なかったベラルーシやウクライナの原発事故被害者への支援運動の詳しい実態紹介も、多くの受講生の関心を呼んでいました。センター外部からご協力いただいた講師の方々には、この場を借りて深く御礼申し上げます。
 なおこの講座の講義録は、月刊誌『しゃりばり』(北海道開発問題研究調査会)に連載の予定で、すでに同7月号に木村汎教授の講義が掲載されています。講義録全体の出版も別途計画されています。ご関心のある方はセンター望月までお問い合わせ下さい。[望月]

 

エッセイ

スラブ&ピーテル雑記  久保久子(センター1998年度COE非常勤研究員)

 

学 界 短 信

◆ 第35回野尻湖クリルタイ(日本アルタイ学会)の開催 ◆

 中央ユーラシア研究者の集まりである野尻湖クリルタイが、下記の要領で開かれる(今年はセンターの夏期シンポジウムと時期が重なってしまった)。[宇山]
日  時: 1998年7月21(火)夕〜7月24日(金)[3泊4日]
場  所: 藤屋旅館(〒389-1303 長野県上水内郡信濃町野尻258-5)Tel.: 0262-58-2514
JR信越本線黒姫駅よりバスで野尻湖(終点)下車湖畔に向かって徒歩1分
費  用: 参加費3,000円 1泊(3食付税込み)7,500円
プログラム: (発表順の変更が若干ありえる)

 7月21日(火)
 午後3時頃〜参加登録開始:夕食(6時半頃)前集合 夕食後:プログラム調整ほか
 7月22日(水)
 午前:Schoeberlein, Engel“Parameters of Cultural Diversity in Central Asia”(スライド付);澤井充生「寧夏・甘粛の回族イスラーム宗教組織」;コンフェッション(その1)
 午後:東田範子「『民族文化』と『伝統』の制度化・正当化:カザフの音楽を例に」;吉田世津子「ソ連的経営体の創設とクルグズ定住村落の成立:北クルグズスタン・K村の事例から」;コンフェッション(その2)
 夜:梅村坦「中国西北のイスラーム資料について」(スライド付)
 7月23日(木)
 午前:リズワン・アブリミティ「ウイグル人の漢語教育に対する意識の変化」;真田安「ウイグル・イスラーム信仰の現状」;コンフェッション(その3)
 午後:小谷仲男「シノ・カロシュティー貨幣と『後漢書』西域伝」;シンポジウム(司会:森川哲雄)「野尻湖クリルタイの将来」;コンフェッション(その4)
 夜:林俊雄「1997年度ブリャート・中部モンゴル調査行」(スライド付)
 7月24日(金)朝食後解散
 連絡先:〒113 -0021東京都文京区本駒込2-28-21 東洋文庫清代史研究室 野尻湖クリルタイ事務局。緊急の場合、または7月10日以後の連絡は楠木賢道氏(研究室Tel./Fax.:0298-53-4494、e-mail:kusunoki@histanth.tsukuba.ac.jp)へ。

◆ 日本ロシア文学会 ◆  日本ロシア文学会の1998年度総会・研究発表会は、10月23日(金)、24日(土)の両日、東京大学山上会館(本郷)でおこなわれる。
 研究発表会は文学、語学、その他の3ブロックに分けておこなわれるほか、特定テーマについてのワークショップの枠も設けられている。発表の申し込み締め切りは7月10日まで。照会先は〒162-8664新宿区戸山1-24-1 早稲田大学文学部露文専修室内日本ロシア文学会事務局
 Tel./Fax.: 03-5286-3740。

 日本ロシア文学会北海道支部研究発表会・総会
 1998年度同支部研究発表会・総会が、7月4日(土)14:00〜17:30に北海道大学言語文化部でおこなわれた。[望月]

◆ 中央アジア・セミナーの開催 ◆

 文部省新プログラム方式による「イスラーム地域研究」プロジェクト研究班1と、スラブ研究センターの共催で、中央アジア・セミナー“Reconsidering International Relations in Central Asia”を開催する。
日程: 1998年10月30日(金) 夕刻集合、懇親会
10月31日(土) 午前・午後の各1セッションと総合討論
会場: 北海道大学スラブ研究センター

 詳細は未定だが、趣旨は、中央アジアの国際関係を、現状分析と歴史的パースペクティヴの両面から考えようというものである。日本に滞在中の外国人研究者と、日本人研究者を合わせて、5〜6名の報告を予定している。
 お問い合わせは、東京大学大学院人文社会系研究科の小松久男教授(komatsu@l.u-tokyo.ac.jp)か、センター・宇山(uyama@slav.hokudai.ac.jp)まで。[宇山]

◆ 中央アジア研究メイリングリストの開設 ◆

 「中央アジア地域研究ネットワーク」(小松久男代表、坂井弘紀事務局長)が、Eメールのメイリングリストを開設した。以下はその案内文である。[宇山]
 《このたび「イスラーム地域研究」研究班1の中央アジア地域研究ネットワークの活動の一環として、メイリングリストを立ち上げることとなりました。このメイリングリストは、「イスラーム地域研究」の主旨に基づき、中央アジア研究に関心をもつ人々のための情報交換の場として、中央アジア研究の発展に貢献すべく利用されることを目的としています。中央アジアに関連した研究会・講演会についての案内や中央アジア関連書籍の新刊情報、来日した研究者・専門家の紹介や現地での滞在・調査の報告など、中央アジア研究のための情報を自発的かつ自由に交換してまいりたいと思います。なお、ここでいう中央アジアとは、現在の国と地域名でいえば、おもにタタルスタン・バシコルトスタン・カザフスタン・ウズベキスタン・トルクメニスタン・タジキスタン・クルグズスタン・新疆ウイグル自治区などの領域からなる地域をさしています。
 これらの情報のうち、一定期間、保存するのにふさわしいものは、順次、中央アジア・ネットワークのホームページに掲載していく予定です。
 このメイリングリストに参加したい方は登録をして下さるようお願いします。登録を希望される方は、1.氏名、2.所属、3.Eメールアドレス、4.住所、5.専門分野をi-cas@l.u-tokyo.ac.jpまでお送りください。当メイリングリストの管理・運営はすべてこのアカウントでおこなって参ります。》

◆ ロイ・メドヴェージェフ氏招聘にむけて ◆

 ソ連時代から在野の歴史家として広範な活動を続けてきたロイ・メドヴェージェフ氏を日本に招聘しようという「ロイ・メドヴェージェフ氏を歓迎する会」(石堂清倫代表)が、この企画を実現するための賛同者を募っている。近作「ロシア革命:ボリシェヴィキの勝利と敗北」の邦訳刊行に合わせて、1998年10月に同氏を招き、東京地区ほか関西や北海道でも講演や研究会をおこなおうというもの。連絡先は〒112-0012東京都文京区大塚3-9-6-605 現代思潮社気付Tel./Fax.: 03-3947-0225。[望月]

◆ スラブ研究世界大会のパネル募集 ◆

 世界各国のロシア・東欧研究学会あるいはスラブ研究学会の国際組織であるICCEES(中・東欧研究世界学会)は、これまで5年ごとに計5回の世界大会を開いてきた。第6回大会は、2000年7月29日〜8月3日にタンペレ(フィンランド)で開かれる予定であり、現在そのパネルの募集がおこなわれている。中・東欧と旧ソ連に関する研究がテーマとされ、募集の締切は1999年1月1日とされている。募集に関する詳しい説明は、同学会のニュース・レター第39号あるいはインターネットhttp://www.rusin.fi/icceesに掲載されている。[田畑]

◆ 比較経済体制学会第38回全国大会 ◆  今年度の大会が6月5〜7日に金沢市の北陸大学で予定通り開催された。今年度の共通論題は「移行国における政府の役割とは」で、マクロ経済安定化の領域について田中宏(高知大)、丸山伸郎(愛知大)、産業政策について溝端佐登史(京大)、吉井昌彦(神戸大)、社会・労働問題について山本恒人(大阪経済大)、大津定美(神戸大)が報告した。ロシア、中国、ハンガリー、ポーランドなどにおける政府の役割の比較がおこなわれ、むしろこの問題を扱うことの難しさが明らかにされたように感じられた。
 自由論題の報告では、本学会では極めて稀なことであるが、分科会方式が取られ、岩崎一郎(一橋大・院)、保坂哲郎(高知大)、長谷部勇一(横浜国大)、日向健(山梨学院大)らによる報告がなされた。しかし、全体としての出席者数が例年と比べて少なく、少々閑散としていたのが残念であった。
 来年度の大会は、横浜国立大学で開催される予定である(以上、敬称略)。[田畑]

◆ 学会カレンダー ◆

1998年7月21〜24日 第35回野尻湖クリルタイ(日本アルタイ学会)(記事参照)
7月22日 スラブ研究センターセミナー「移行期の中央アジア」(記事参照)
7月22〜25日 スラブ研究センター夏期国際シンポジウム「地域:スラブ・ユーラシア世界を映す鏡」(記事参照)
7月23日〜8月2日 国際ドストエフスキーシンポジウム1998。於コロンビア大学、ニューヨーク 連絡・照会先:Robert L. Belknap, Slavic Dept. 708 Hamilton Hall, Columbia Univ. New York, NY 10027 USA. Tel. 212-854-3941; Fax. 212-854-5009; E-mail: dm387@columbia.edu
9月10〜12日 European Association for Comparative Economic Studies第5回コンファレンス“Economies in Transition and the Varieties of Capitalism: Features, Changes, Convergence”於バルナ、ブルガリア ペーパー募集中(締め切りは3月1日)連絡・照会先:Prof. Mitko Dimitrov, Institute of Economics, BAS, 3, Aksakov St. BG-1040 Sofia Bulgaria. Fax. 359-288-2108.
9月24〜27日 AAASS(米国スラブ研究促進学会)第30回年次大会 於フロリダ
10月23〜24日 日本ロシア文学会1998年度総会・研究発表会(記事参照)
10月24〜25日 ロシア史研究会1998年度大会 於大阪大学
照会先:成蹊大学法学部 富田武(Tel.: 0422-37-3633; E-mail: tomita@law.seikei.ac.jp
10月30〜31日 中央アジアセミナー(記事参照)
2000年7月29日〜
8月3日 
ICCEES(中・東欧研究世界学会)第6回大会(於タンペレ)(記事参照)

 

図書室だより

◆ 新聞の保存について ◆

図書室では、現在、ロシア東欧地域の新聞を約100紙購読しています。特に、1990年に全国共同利用施設となって以後、大幅なタイトル増をしたわけですが、一方で、資料の収蔵スペースには限界があり、購読紙を製本して保存することは困難になりつつあります。
そこで。本年度より、1997年受入れの新聞で、マイクロフィルムでバックナンバーが得られる分については、マイクロフィルムを別個に購入して保存することとしました。
読みやすい、ページをめくりやすいなど、原紙の長所も承知はしておりますが、以後、順次切り替わりますので、ご了承願います。[兎内]

◆ 18世紀ロシア研究叢書(マイクロフィッシュ)の整理について ◆

 上記のセットは、以前ニュースNo. 67(1996. 10)でご紹介した北大附属図書館で購入した資料で、内容的にはPolnoe sobranie zakonov Rossiiskoi Imperiiなど、18世紀にとどまらない、ロシア史研究の基本資料を多く含んでいます。
 残念ながら、しばらく未整理状態で、利用に不便がありましたが、附属図書館のご努力で、昨年度、全点整理されましたのでお知らせします。
 北大図書館のデータベースで検索できるほか、附属図書館とセンター図書室には冊子の目録も備えました。[兎内]

 

編 集 室 便 り

◆ 『スラヴ研究』 ◆

 スラブ研究センター和文紀要『スラヴ研究』は次号(第46号)の執筆申込みが締め切られました。原稿の締め切りは8月末、来年3月発行の予定で編集作業が進められます。
 また次号47号(2000年3月発行)の執筆申込みを受け付けています。『スラヴ研究』は、日本におけるスラブ・ユーラシア圏研究に貢献することを目的として編集・発行されるレフェリーズ・ジャーナルです。論文、研究ノート、書評論文等の寄稿を受けつけますが、論文については英文もしくは露文のレジメを添付することが要求されます。掲載の可否については、それぞれの原稿につき2名ずつ組織されるレフェリーの講評をふまえて、編集委員会が決定します。[松里・大須賀]

◆ ACTA SLAVICA IAPONICA ◆

スラブ研究センター欧文紀要 Acta Slavica Iaponica 第16号は、秋の刊行を目指して編集・校正の作業をおこなっているところです。レフェリー審査の結果、以下の論文等の掲載を予定しています。


 次の第17号は、1999年9月発行の予定です。執筆希望者はまず係まで御一報ください。執筆計画提出期限は1999年1月末日、原稿提出期限は3月末日です。分量は、A4版用紙(1枚に30行程度)25枚(書評の場合は3枚)を標準とします。原稿はあらかじめネイティヴ・スピーカーの校閲を受けたものでなければなりません。
Acta Slavica Iaponicaは、世界各地の主要研究機関・図書館・研究者に送られている、レフェリー制の雑誌です。積極的な投稿をお持ちしています。[宇山・大須賀]

 

み せ ら ね あ

◆ 山村研究員、農業経済学会賞受賞 ◆


山村理人研究員の著作『ロシアの土地改革:1989〜1996年』(多賀出版、1997年)が1998年度日本農業経済学会学術賞を受賞しました。この賞は、毎年同学会の会員1名に対して与えられる同学会の賞のなかでもっとも権威のあるもので、4月2日に千葉大学で表彰式がおこなわれました。[編集部]

◆ 人 物 往 来 ◆

 ニュース73号以降のセンター訪問者(道内を除く)は以下の通りです。[井上]
5月 11日  木村汎氏(国際日本文化研究センター)
5月 21日  和田あき子氏
5月 25日  外川継男氏(上智大)
5月 29日  M.L.レムニョヴァ(Remneva)氏(モスクワ大/ロシア)、N.A.ソロヴィヨヴァ(Solovieva)氏(同)
6月  3日  V.E. セリヴョルストフ(Seliverstov)氏(ロシア科学アカデミーシベリア支部経済・産業工学研究所)

◆ 研究員消息 ◆

 家田修研究員は、4月26日〜5月2日の間「アブハジア文化平和会議出席」のため、ロシア連邦に出張。
 井上紘一研究員は、4月26日〜5月6日の間「アブハジア文化平和会議出席」のため、ロシア連邦に出張。
 家田修研究員は、6月3日〜7月2日の間「ハンガリーにおける総選挙後の政治事情調査」のため、ハンガリーに研修旅行。
 林忠行研究員は6月7日〜11月8日の間「東中欧諸国政党政治の比較研究」のため、チェコ他に出張。[野村]