< !-- Google Tag Manager (noscript) --> [書評論文]山村理人『ロシアの土地改革:1989〜1996年』*を読む

Copyright (c) 1999 by the Slavic Research Center. All rights reserved.


*山村理人『ロシアの土地改革:1989〜1996』多賀出版、1997年。
  1. いくつかの例をあげれば、十月革命から戦時共産主義期の農村の実態と権力との関係を分析した梶川伸一『飢餓の革命』(名古屋大学出版会、1997年)・『ボリシェヴィキ権力と農民』(ミネルヴァ書房、1998年)、 「ウラル・シベリア方式」という著者の年来の論点を「政策形成過程」という視角から光をあてた渓内謙「『ウラル・シベリア方式』の政策形成過程」『国家学会雑誌』(第111巻第5.6号、1998年)、 モスクワの中央アルヒーフはもちろんのことサマーラ・オレンブルグ等の地方アルヒーフをも駆使し、集団化のリアルな過程を描き出した奥田央『ヴォルカの革命ムスターリン統治下の農業』(東京大学出版会、1996年)等である。また、フルシチョフ時代に関しても、 松戸清裕の「ソ連邦における地区の農業機関と党機関1962-1965」『スラヴ研究』(第45号、1998年)がある。
  2. フィールド・ワークとは性格が異なるが、農村実態把握のための資料として、シベリア抑留の記録は、極めて貴重である。例えば、各務春雄『ソ連機械化農業の実態ムシベリア抑留生活覚え書きム』(宇都宮大学、1979年)は、1945〜1947年の1年半にわたる「パルチザン」ソフホーズにおける生活を記したものであり、当時の耕起作業や収穫作業の実際的手順と問題点、機械利用方法等が詳細に観察・記録されている(なお、著者は、同ソフホーズにおいてトラクター手の講習を受けている)。これらの記録は、歴史的資料として、より注目されるべきである。
  3. 塩川伸明「富田武著『スターリズムの統治構造』を読む」『スラヴ研究』第45号、1998年、333頁。
  4. 丸毛忍「コルホーズ農家およびコルホーズ商業について」『農業総合研究』第12巻第2号、1958年、170-171頁 。
  5. Серова Е. Предпосылки и сущность современной аграрной реформы в России // Вопросы экономики. 1. 1995. С.33.
  6. Российская газета. 19 июля 1995. С.2.
  7. 量を減らせば質が向上するといった同様の「健全な」発想は、世界復興開発銀行が作成した旧ソ連諸国の向けの「食料・農業セクターにおける改革戦略」の中でもみいだすことができる。それは、畜産部門に対して、家畜頭数を1991年のそれから15〜20%削減し、赤字コルホーズの家畜を私的セクターに移譲することを提起していた(Российская газета. 19 июля 1995. С.2.)。その後、家畜頭数の減少および私的セクターへの家畜の移動は「戦略」で提言された以上のテンポで進んだが、生産性の向上がみられることはなかった。
  8. 言うまでもなく、本書で問題としているのは、単なる交易条件の「悪化」ではなく、その「極端な悪化」ないしは「急激な悪化」である。なぜなら、交易条件が悪化しない状態とは、すなわちソヴィエト期の価格関係が維持されている状態に他ならないからである。
  9. Есиркепов Т. Земля и люди (о некоторых проблемах приватизации на селе) // Казахстан:экономика и жизнь. 3. 1996. С.18; Сельская Новь. 1. 1998. С.1.
  10. 例えば、『経済学論集』(東京大学経済学会、第63巻第3号、1997年)には、中山弘正氏による書評が掲載されている。


本文へ