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共同利用・共同研究の公募

2025年度 「スラブ・ユーラシア地域(旧ソ連・東欧)を中心とした総合的研究」に関する公募

 

 

概要:

スラブ・ユーラシア研究センターは、かつての全国共同利用施設のステータスを拡充した共同利用・共同研究拠点として認定されています(2022~2027年度)。これにかかわる公募を実施します。本事業は、センターに蓄積されてきた資料等を活用しながら、スラブ・ユーラシア地域を中心とする諸分野における共同研究および共同利用を、センター内外の研究者の協力により発展させることを目的とし、国公私立大学等に所属する研究者に幅広い参加を呼びかけます。

2025年度は (1) 「プロジェクト型」の共同研究、(2) 「共同研究班」の班員、(3) 「共同利用型」の個人による研究、の3種類を公募します。(1)はグループで行う共同研究課題の公募、(2)はセンターが設定した課題による共同研究班の班員の公募、(3)はセンターの施設・所蔵資料等を利用して実施する個人研究の公募です。いずれも、学外委員が過半数を占める審査委員会による審議を通じて決定します。 なお、(1)と(2)の研究費については、2025年度予算概算の決定内容により変更する場合があります。

(1) 「プロジェクト型」の共同研究

対象:

スラブ・ユーラシア地域研究の枠内に入るすべての研究。
特に将来本格的に発展する可能性のある先駆的な研究、あるいは従来の研究アプローチで十分にカバーできなかったものなどが期待される。基本的に人文・社会科学にかかわるテーマを対象とするが、人文・社会科学と融合した理系の研究者による申請も可能である。

応募資格:

大学の教員および研究員、または大学には属さないが、それと同等の能力を有すると認められる者を代表とし、複数の研究者でグループを組んで申請する。グループには、異なる研究機関に属する者が含まれることが望ましい。なお、大学院生(博士後期課程)は計画の構成員にはなれるが、申請者にはなれない。
グループには、センターの教員(教授、准教授、助教。情報資料部の教員を除く)がアドヴァイザーとして参加する。アドヴァイザーは申請時に指名することも、採択後に相談して決めることも可能である。

件数:

3~4件程度の採用を予定。

研究期間:

2025年5月1日より2026年3月31日まで。

研究費の使途と支給額:

1研究テーマにつき、100万円まで(審査により減額することがありうる)。研究費の使途は、主として国内・海外旅費、会議費とする。他の使途で応募する場合は、あらかじめ相談のこと。

申請書の送付と締切:

申請は、センターのホームページ(https://src-h.slav.hokudai.ac.jp/)からダウンロードした申請書(プロジェクト型)(WORD形式)による。
*経費申請の頁の書き込み事例:こちらの様式を参照のこと。(PDF形式)
送付先のアドレスは以下の通り。
koubo@slav.hokudai.ac.jp
申請書提出の締切は、2025年 1月7日(火)日本時間午前8時とする
質問などは、上記アドレスまで。

審査の基準:

  • テーマと計画の適合性
  • 期間内に求められる研究成果をあげる可能性
  • 研究の独創性・先駆性
  • 研究内容の学際性と研究計画の国際性

選考結果の通知:

2025年2月半ばを予定。

成果報告など:

研究期間内に研究会・ワークショップ等を企画してスラブ・ユーラシア研究センターで開催する(そのための予算を申請に組み込んでおくこと)。その他の機会にもセンターから報告を要請する場合がありうる。また、研究期間終了後1か月以内に2000字以上の研究成果報告書を提出する(報告書はセンターのウェブサイトで公開される)。研究の成果を学術論文として発表する場合は、論文中に本事業を利用したスラブ・ユーラシア研究センターでの研究活動によるものであることを明記し、別刷りまたはコピー1部をセンター宛に送付すること。
なお、採択された研究の研究代表者には、1年間、スラブ・ユーラシア研究センターの共同研究員になっていただく。

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(2) 「共同研究班」の班員

対象:

 スラブ・ユーラシア研究センターは、2022年度から「生存戦略研究」という共通の課題を設定して、専任研究員との共同研究を促進する。当センターは、19世紀末の帝国主義の時代に遡る欧米中心の世界秩序が現在、未曾有の岐路にあり、いま生成されている新秩序が弱肉強食とならないための羅針盤を設定する必要があるとの認識から、広域秩序の崩壊と再生を繰り返してきたスラブ・ユーラシアの多様な人間集団の経験と教訓を参照しようとするものである。
 スラブ・ユーラシアは20世紀の世界秩序の周辺にあったものの、冷戦をはじめ、欧米との相互作用は世界の動態に多大な影響を及ぼしてきた。そして現在ロシアは、2014年のクリミア併合、2015年のシリア介入、2016年のアメリカ大統領選への介入、2022年のウクライナ侵攻など、欧米中心の世界秩序を揺るがし、今後の世界秩序・無秩序を左右する存在になっている。また中東欧諸国は、1990年代にはソ連の勢力圏から離脱しヨーロッパへの統合を切望していたものの、今やEUの秩序を内側から揺さぶる存在になっている。中央アジア諸国は、盟主でありたいロシア、台頭する中国、影響力を確保したい欧米・日韓の間で巧みに立ち回り、中小国の生存戦略の例を提供している。翻って、これまで欧米に依存し20世紀的な経済発展で成功した日本は、欧米自身が自分たちの作り上げた秩序を維持できなくなっている今、どのような立場を取るべきか。当センターは日本で唯一、ロシアとその周辺というユーラシア大陸の広域秩序の変動を研究し続けてきた立場から、この難題に取り組む。
 以下には、この「生存戦略研究」で当センターとして重視したい共同研究のテーマを挙げている。これまで当センターの活動にあまり関わってこなかった方、スラブ・ユーラシア地域との関係・比較に関心のある他地域の研究者の応募も歓迎する。

  1. ①スラブ・ユーラシア地域と国際関係・地政治(担当:岩下明裕) 一部訂正いたしました。(2024.12.2)
     本公募は、生存戦略研究の一環として、スラブ・ユーラシア地域と世界との相関及び比較を国際関係及び地政治の観点から考える。今年度に関しては、外交及び地政治言説に関わるテキストマイニング及び空間分析におけるGISなどを用いた研究について募集する。スラブ・ユーラシア地域を必ずしも研究対象としないデジタルサイエンス研究者による当該テーマに関わる共同研究の提案も歓迎する(例えば、担当者とのコラボによる、ウクライナ戦争のテキストマイニング分析など)。研究成果は公開(動画も含む)とし、国内外でのセミナーなどの組織も期待される。

     

    ②スラブ・ユーラシア地域と世界経済(担当:服部倫卓)
     本公募は、スラブ・ユーラシア地域と世界経済との関係性から生存戦略研究を目指す。ロシアがウクライナに侵攻を開始したことで、 スラブ・ユーラシア地域の経済もパラダイムが根本的に変化し、新たな生存戦略の構築を迫られている。そこで、 スラブ・ユーラシア地域の通商関係、産業の実態、地域開発、とりわけ極東および北極域の動きにつき、新たな観点を提供できる研究者の応募を歓迎する。これらについて共同研究し、研究会を共同で企画する。

     

    ③国家の生存戦略に関する共同研究(担当:宇山智彦)
     世界秩序の変動の中では国家の運営にもしばしば困難が生じる。小国の場合が特にそうだが、大国でさえ崩壊しうることはロシア帝国・ソ連の歴史が示す通りである。また、世界秩序の変動期に独立や自治を宣言した国が独立国として長期的に生存できるか、消滅するか、非承認国家になるかについても、第一次・第二次世界大戦後やソ連解体後の時期などに多様な事例がある。この班では、スラブ・ユーラシアや中東など世界諸地域における国家の生存戦略を、対外戦略と国内の統治体制を中心に、文化や経済の視点も交えながら、歴史と現在にまたがって研究する。具体的な活動は、英語または日本語での研究会の共同企画が中心となる。


  2. ④スラブ・ユーラシア地域の文化・言語(担当:安達大輔、野町素己)
     本公募は、生存戦略研究をスラブ・ユーラシア地域と文化・言語の観点から考える。<文化>は安達、<言語>は野町が担当し、それぞれ個別に共同研究を組織するが、両者にまたがる研究も可能である。スラブ・ユーラシア地域間や他地域との比較研究も歓迎される。具体的な活動は研究会の共同企画が中心となるが、将来的に国際共同研究に発展する可能性のあるものが望ましい。<文化>では、スラブ・ユーラシア地域における文化の大衆化と規範形成の関係、そのプロセスにおけるマジョリティとマイノリティそれぞれの生存戦略の解明を目指す。<言語>のテーマは、スラブ語圏における書記体・標準語形成の歴史を生存戦略から考え直すことである。特に大国のマイノリティ言語政策に対するマイノリティ側の生き残り戦略を取りあげ、理論構築を行う。以上のほか、生存戦略研究の枠内であれば独自の研究テーマの提案も受け付ける。

     

  3. ⑤スラブ・ユーラシア地域と外部との比較(担当:仙石学)
     本公募では、生存戦略研究の一つのあり方として、主に政治・経済系の社会科学研究を軸に、スラブ・ユーラシア地域の政治経済のあり方と他の地域(特に東アジアやラテンアメリカなど、いわゆる「新興地域研究」との比較が歓迎されるが、それに限定されるものではない)との「比較研究」による、スラブ・ユーラシア研究の新たな方向性を提示する共同研究を実施したいと考えている。活動としては、可能な限り何らかの形での海外との共同研究(特にスラブ・ユーラシア以外の研究者との共同)に関心のある方の応募を期待したい。

     

応募資格:

日本の大学の教員および研究員、または大学には属さないが、それと同等の能力を有すると認められる者。

人数:

若干名。

研究期間:

2025年5月1日より2026年3月31日まで。

研究費の使途と支給額:

研究費の支給対象になりうるのは、研究会参加や短期間の調査のための旅費、成果発表の経費などだが、具体的には研究代表者との相談により決定するため、申請書に詳細を書く必要はない。参加人数に応じた配分を想定している。

申請書の送付と締切:

申請は、当センターのホームページ(https://src-h.slav.hokudai.ac.jp/)からダウンロードした申請書(共同研究班)(WORD 形式)による。
送付先のアドレスは以下の通り。
koubo@slav.hokudai.ac.jp
申請書提出の締切は、2025年 1月7日(火)日本時間午前8時とする
質問などは、上記アドレスまで。

選考結果の通知:

2025年2月半ばを予定

成果報告など:

研究代表者の指示による。なお、採用者には、1年間、スラブ・ユーラシア研究センターの共同研究員になっていただく。

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(3) 「共同利用型」の個人による研究

対象:

スラブ・ユーラシア地域研究の枠内に入る研究で、特に、スラブ・ユーラシア研究センターの所蔵する資料の活用を計画に含むもの。

応募資格:

日本の大学の教員および研究員、または大学には属さないが、それと同等の能力を有すると認められる者。

件数:

10件程度(申請状況により採択件数の増減の可能性がある)。

研究期間:

2025年5月1日より2026年3月31日まで。

研究費の使途と支給額:

研究費の費目は、原則として国内旅費のみ。用務先は北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターに限り、旅費申請は1研究課題につき合計2回を上限とする。旅費として支給されるのは、往復の交通運賃(実費。できるだけ安価な航空券を利用する)と1回の旅行につき1万円の滞在費のみ(航空券と宿泊のパック旅行の場合は、本学規定の往復運賃に1万円を加えた金額を限度とする)。

共同利用に供される施設等:

本事業を利用してスラブ・ユーラシア研究センターに研究滞在する間、北海道大学所蔵の図書資料を利用することができる。また、共同利用のための研究室や複写機など、センターに付属する設備を、滞在期間中に一定の範囲内で利用することが可能。

申請書の送付と締めきり:

申請は、当センターのホームページ(https://src-h.slav.hokudai.ac.jp/)からダウンロードした申請書(共同利用型)(WORD 形式)による。
送付先のアドレスは以下の通り。
koubo@slav.hokudai.ac.jp
申請書提出の締めきりは、2025年 1月7日(火)日本時間午前8時とする
質問などは、上記アドレスまで。

選考結果の通知:

2025年2月半ばを予定。

成果報告など:

研究期間終了後1か月以内に1000字程度の研究成果報告書を提出する(報告書はセンターのウェブサイトで公開される)。研究の成果を学術論文として発表する場合は、論文中に本事業を利用したスラブ・ユーラシア研究センターでの研究活動によるものであることを明記し、別刷りまたはコピー1部をセンター宛に送付すること。

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