公開講座
2021年度公開講座は終了しました。
センターでは1986年以降、札幌市教育委員会との共催で、
札幌地域の社会人を対象にした公開講座を毎年1回、初夏に開催しています。
今年度は以下により実施致します。
2021年度 公開講座 「メロドラマするロシア:アジアとの比較から考える大衆文化の想像力」 |
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勧善懲悪劇から恋愛映画まで、これまであまり知られてこなかったロシアのメロドラマの多様で豊かな世界に親しむとともに、アジアとの比較を通じて、大衆社会を生きる人々の想像力の歴史を学ぶ。
期間 2021年10月4日(月)~10月22日(金)
主催 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター(SRC) 後援 札幌市教育委員会、地域研究コンソーシアム、日本ロシア文学会、科学研究費基盤研究 (B)「ロシア・旧ソ連文化におけるメロドラマ的想像力の総合的研究」(研究課題番号19H01243)
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メロドラマはもともと19世紀初頭、革命によって神と皇帝を失った混乱期のフランスで、道徳に従って社会を生き抜く姿をブルジョアジーに見せてくれる勧善懲悪劇として人気を博しました。20世紀に入ると時代遅れになりましたが、ピーター・ブルックスは1976年の著作『メロドラマ的想像力』でこの演劇の一ジャンルを改めて取り上げ、真実は必ず明るみに出るという強い信念とそれを押しつける感覚的で派手な手法は19世紀以降の小説に受け継がれたと指摘して、ジャンルや時代を超えた大衆文化の想像力の分析へと道を開きました。それ以後、主にハリウッド映画の分野で研究が進み、メロドラマが同時代のアクチュアルな問題と結びついた実に多様な実践として演じられ、語られ、体験されてきたことが知られるようになりました。
しかし現在では、ブルックスとその後の研究の問題点も指摘されています。その一つに研究が欧米中心に偏ってきたことがあげられます。メロドラマの起源がフランス革命にあると繰り返し強調されてきましたが、20世紀初頭に至るまでロシア正教と強く結びつきながら皇帝による専制体制が維持されたロシアでメロドラマがどのような運命をたどったのか、体系的な研究はまだ存在していません。ロシアにおけるメロドラマを、ジェンダー、階級、個人/家庭/社会の関係、舞台・映画・文学等の芸術やメディアといった論点から学ぶことは、そうしたバランスを修正するだけでなく、社会や文化のさらに多様な姿を明らかにしてくれるでしょう。
この講座のもう一つの特徴は、ロシアと同じように近代化を遅れて体験し、これまでのメロドラマ研究でやはり周縁的な存在とされてきたアジアの中から、日本・中国・インドとの比較を行うことです。もちろん、欧米との違いだけに目を向けて、国や地域独自のメロドラマ的想像力の存在を声高に叫ぶことが目的ではありません。重要なのは、欧米・ロシア・アジアの違いや似ている部分を確認することそのものではなく、差異や同一性を生みだす問題を共有することだと私たちは考えます。メロドラマはさまざまな形を取りながら大衆社会を生きる人々の想像力を提供してきました。この講座では、アジアとの比較を通じてロシアのメロドラマに親しむとともに、メロドラマが世界の経験のしかたをどのように形づくってきたのかという問題を皆さんと共有し、共に学ぶことを目指しています。
安達 大輔(北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター・准教授) |
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2.開講日程 *各講義の要旨及び関連する読書案内(おすすめ図書リスト)はこちらをご覧ください
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