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第5班 社会:研究概要

国家の輪郭と越境

本研究の目的は、ディアスポラ、様々なネットワーク、マイノリティなど、国家の輪郭を超え、またそれに挑戦する様々な共同体のあり方を通して、地域大国像を照射することにある。国家の枠組みを超越することが、かえって国家を際立たせ、国家像の本質に迫ることができると考えられるからである。そこで本研究班は、ネイションと宗教の相関関係やその変容、ディアスポラとネットワーク、あるいは国家内におけるマイノリティの問題に見られる国民統合の問題などを研究テーマに設定する。これは、国家の存立を決定付ける諸要因を再考する作業になり、ロシア、インド、中国というユーラシアの地域大国の形成だけではなく、これらの諸国が、中央アジア、コーカサス、バルト海世界など、周辺地域の国家形成過程に対して、どのような影響力を維持しているのかを明らかにすることになる。

本研究は、ユーラシアの地域大国について、さまざまな地域・ディシプリンの研究者の交錯によって推進される。しかも、国内で引き起こされる問題(国民統合、マイノリティ問題)と、国外から国内に対する働きかけ(ディアスポラ、ネットワーク)を同時に検討することは、ユーラシア各地で発生している民族問題、紛争などについて新たな知見を提供するものと考える。