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2022.7.27|受賞

ウルフ教授がフンボルト賞を受賞

 センターのウルフ教授がフンボルト賞を北海道大学で初めて受賞しました。同賞は、ドイツ政府が全額出資するアレクサンダー・フォン・フンボルト財団が創設したドイツで最も栄誉ある学術賞です。同賞は、基礎的な発見、新しい理論あるいは発見が、当該研究領域を超えて永続的な影響を及ぼし、さらに、将来も優れた研究を生み続けることが期待される研究者に与えられます。同賞はこれまで日本人では、小柴昌俊、村山斉、小林俊行、野水克己ら自然科学の研究者が受賞しています。

  受賞はウルフ教授の30年間にわたる、20世紀ロシアのアジアにおける活動の歴史についての研究に対するものです。同教授のハルビンに関する著作(To the Harbin Station、Stanford、1999/ 邦訳『ハルビン駅へ』講談社、2014年)は、新しい帝国論の基礎的なテキストであると見なされており、従来は機密文書とされていた文書館史料による覇権主義の慣行についての、より広範で、きめの細かい分析に基づくものでした。同教授が編集あるいは共同編集された書籍や雑誌の特集号では、30人以上の日本人歴史家によるエッセイや論考を含む、多くの北東アジア研究の成果が英語圏の読者に紹介されました。ウルフ教授は、4つの大きなプロジェクトを進めている最中で、これまでの研究よりもさらに影響力のある研究成果を出す可能性があると見られています。

  この10年間、ウルフ教授は,本学とルートヴィヒ・マクシミリアン大学(ミュンヘン)の間の学術協定に基づいて、アジアにおけるロシア研究のために新たに設けられた教授ポストと緊密に協力してきました。これは、ロシア東方研究のためのヨーロッパで唯一の学術ポストであり、現在,ロシア医学史の著名な専門家であるアンドレアス・レンナー氏がこの教授になっています。ウルフ教授は、同大学で講義を行い、同大学にスラブ・ユーラシア研究センターの2人のポスドクを派遣したことに加えて、同大学の高等研究所を訪問し、北太平洋のイニシアティヴというテーマでモスクワのドイツ歴史研究所との間で研究協力を行い、ハイデルベルク大学の北太平洋に関する叢書の編集顧問を務めました。このようなドイツとの密接な研究協力も高く評価されました。

  授賞式は、2023年6月にベルリンで開催されるドイツ大統領主催の晩餐会で行われる予定です。

 北海道大学プレスリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220727_pr.pdf