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2015.06.22

稚内・サハリン国境観光モニターツアー大盛況

稚内・サハリン国境観光モニターツアー大盛況

 本ユニットも協力する国境観光(ボーダーツーリズム)のモニターツアー第3弾が、稚内とサハリンを舞台に実施されました。熊本、京都、神奈川などから35名が参加し、2015年6月15日から19日まで国境を越えて旅をしました。初日は宗谷岬、宗谷丘陵などを周り、サハリンとの近さや歴史を稚内市職員のアテンドで体感して頂いた後、開基百年記念塔の北方記念館で学芸員から熱のこもった解説を聞く一日となりました。翌日は5時間半かけたフェリーでの国境越え。道中、ボーダーツーリズムについての説明、日本の境界地域ネットワークの解決、そして入港するコルサコフ(大泊)の歴史紹介のセミナーが開催され、参加者の自己紹介とともにツアーは佳境に入っていきました。

 3日目は旧日本軍上陸記念碑やコルサコフ展望台、ユジノサハリンスクでは郷土博物館などをめぐりましたが、とくに博物館ではスラブ・ユーラシア研究センターの井澗裕研究員による詳細かつ楽しい展示解説に一同が聞き入りました。添乗した北都観光の担当者からも、ここまで詳しく解説が聞けるツアーは他にはないと太鼓判を頂きました。

 4日目はオプションや自由行動を参加者がそれぞれに楽しみ、5日目の6月19日、無事全員が稚内に戻りました。連日好天に恵まれ、ほぼトラブルがなかった本ツアーでしたが、下船時の多くの参加者の表情は楽しそうでした。モニターツアーで回収したアンケート結果の分析は、7月24日に予定されている札幌のシンポジウムで披露されます。

 今回のツアーの特色は、国境越えで異なる空間を味わうことにありましたが、両者と繋ぐものとしてエコ・ツーリズムにも焦点をあて、稚内では風力や太陽光発電施設、サハリンではLNG施設の見学も日程に組み込まれました。なにをテーマにどのようなストーリーづくりを行うかは、ボーダーツーリズムの課題でもありますが、逆に組み込めるコンテンツの広がりこそが、ボーダーを楽しむ企画の可能性をみせてくれた旅ともいえます。

 北海道初のボーダーツーリズム・ツアーということもあり、多くのメディア関係者も参加しました。ツアー初日にはNHKがローカルで早速とりあげ、4日目にはサハリン初日の模様が北海道新聞の国際面に掲載されました。今後も、続々とこのツアーがメディアで取り上げられる予定です。9月にはMOツーリストの主催でサハリン国境北緯50度線をめぐるツアー、10月にはビッグホリデーの主催で道東から道北へオホーツクを横断する「国境を越えない」ボーダーツアーなども企画されています。みなさまもどうぞご参加ください。

(文責:岩下 明裕

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