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[スラブ・ユーラシア叢書 16]

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  日本帝国の膨張と縮小
 ――シベリア出兵とサハリン・樺太

 
「スラブ・ユーラシア叢書」第16巻の刊行


編著:原暉之・兎内勇津流・竹野学・池田裕子
2023年3月, 456頁
北海道大学出版会 (出版社のページへ)
ISBN 978-4-8329-6890-5
定価 7,200円+税

目   次


     
序章 日本帝国膨張と縮小のモデルとしての北サハリン占領 原 暉之、兎内勇津流 1
1 はじめに   1
2 サハリン州の再編成とロシア革命   3
3 シベリア出兵とサハリン州   5
4 戦没者統計にみるシベリア出兵の戦局と地域構造   10
5 1920年代サハリン史の研究史 北サハリン占領期を中心に   17
6 本書の構成   26
       
第一部 サハリン州の再構成から尼港事件へ
       
第1章 V字回復の先を模索するニコラエフスク 尼港事件の社会的背景 原 暉之 40
1 はじめに   40
2 転機となった日露戦争   42
3 自己主張する地元水産業界とストルイピン政府の対応   45
4 アムール調査団の派遣と現地公聴会   49
5 おわりに   53
       
第2章 尼港事件はどのようにして起こったか 三月武力衝突とその前後 兎内勇津流 59
1 はじめに   59
2 パルチザン部隊がニコラエフスクを包囲するまで   61
3 コルチャーク政権崩壊後の極東情勢と日本軍の対応   64
4 パルチザン部隊のニコラエフスク入市   67
5 三月武力衝突事件の発生   74
6 おわりに   80
       
第3章 革命・内戦期の北サハリンとイヴァン・スタヘーエフ商会の活動 エドワルド・バールィシェフ 87
1 はじめに 87
2 スタヘーエフ商会のサハリン進出 87
3 バトーリン遣日団と竹内・バトーリン協定 92
4 バトーリンの東京滞在と三菱との予備交渉 95
5 シベリア出兵と北サハリン油田・炭田の調査開始 99
6 コルチャーク政権の成立とサハリン開発問題の政治化 101
7 日露関係の正常化の試みとサハリン開発問題 104
8 保障占領下の北サハリンとスタヘーエフ商会の苦闘 107
9 おわりに 111
     
第4章 革命・内戦・干渉戦期のサハリン州の漁業 神長英輔 121
1 はじめに   121
2 日露戦争後のサハリン州漁業   122
3 尼港事件と漁業   125
4 日本軍占領下の漁業   128
5 おわりに   132
       
第5章 尼港事件と日本の政治・社会 井竿富雄 139
1 はじめに 139
2 事件発生と政治的反響 140
3 社会的な反応 142
4 尼港事件被害者への対応 148
5 おわりに 153
       
第二部 保障占領下北サハリンの政治・経済・社会
       
第6章 保障占領のポリティクス 帝国日本の統治とサハリン島民 天野尚樹 162
1 はじめに 162
2 収束する帝国 北サハリン領有の挫折 163
3 資源と占領 時限性の制約 165
4 防共と国境 南北縦貫道の機能と意味 168
5 北サハリンの「革命」と「内戦」 ニコラエフスクとアレクサンドロフスク 170
6 待望された占領 現地協力者と日本軍 172
7 おわりに 176
       
第7章 サハリン軍事占領と司法 「裁判の公平」「司法権の独立」をめぐって 井澗 裕 181
1 はじめに 181
2 薩哈嗹軍政部の施政方針と実際の施政状況 182
3 民事訴訟「薩法院民第122号事件」にみる法廷闘争 187
4 当該民事訴訟の判決とその意義 193
5 おわりに 198
       
第8章 北サハリンに進出した日本人商工業者の活動と引揚げ 竹野 学 205
1 はじめに 205
2 居留民の産業構成 207
3 「在留日本人依存型」商工業者 212
4 「在地経済関連型」商工業者 214
5 芸妓・酌婦の憲兵隊管理 217
6 1925年の引揚者と残留者 219
7 おわりに 223
       
第9章 北サハリン占領と島内・外の交通体系 サハリン島の一島支配と輸送 三木理史 231
1 はじめに 樺太の輸送との関係をめぐる論点 231
2 占領期北サハリンの移動・流通 233
3 占領期樺太の社会資本整備と港湾利用 240
4 北サハリン占領と樺太庁鉄道の輸送内容 246
5 おわりに 250
       
第10章 北サハリンと〈樺太〉農林資源問題 〈北樺太〉農林資源調査と1930年代の木材輸入を中心に 中山大将 255
1 はじめに 255
2 樺太農林資源開発史研究 256
3 内戦期の北サハリン農林資源調査(1918-19年) 258
4 占領期の北サハリン産業資源調査(1920-25年) 263
5 占領終了後の樺太社会にとっての北サハリン農林資源の価値(1925-41年) 264
6 1930年代の日本企業による北サハリン森林資源へのアクセス(1931-41年) 267
7 おわりに 272
       
第三部 日ソ基本条約とその後のサハリン・樺太
       
第11章 日ソ国交正常化交渉とサハリン問題 北京会議と日ソ基本条約の締結(1924-25年) ヤロスラヴ・シュラトフ 278
1 はじめに 278
2 カラハン・芳沢交渉 第一ラウンド(1924年2-7月) 279
3 サハリンの値段 経済専門家たちの議論(1924年春-夏) 286
4 カラハン・芳沢交渉 第二ラウンド(1924年7-9月) 289
5 立場の確定と協定の調印(1924年10月-1925年1月) 293
6 おわりに 297
       
第12章 1920年代のサハリン先住民族の移動と国境の関係性 樺太庁による「オタスの杜」集住化 田村将人 305
1 はじめに 305
2 先住民族の人口動態と国境の状況 308
3 北サハリン日本軍によるヴィノクーロフの認識 314
4 「トナカイ王」ヴィノクーロフの亡命 317
5 「オタスの杜」成立試論 323
6 おわりに 328
       
第13章 北サハリンから日本へ避難・移住したロシア人 1924-1925年 倉田有佳 337
1 はじめに 337
2 保障占領期のロシア人の暮らし 338
3 保障占領末期に海路で日本へ避難したロシア人の動静 341
4 樺太へ避難・移住したロシア人 346
5 ソ連領北サハリンに「残留」したロシア人 348
6 おわりに 350
       
第14章 1925年の樺太における「国民統合」 皇太子の行啓を中心に 池田裕子 363
1 はじめに 363
2 潜在する国防問題 365
3 記念事業による施設の整備 369
4 行啓を介した「国民統合」の諸相 先住民の可視化 371
5 皇室行事の意義 379
6 おわりに 381
       
終章 共通利益による体制融和構想の破綻 ソ連の計画経済と北サハリン 浅野豊美 389
1 はじめに 389
2 緊張した日米関係とソビエト・ロシア承認問題 390
3 本書に示されたシベリア戦争終結後のサハリン 403
4 日ソ基本条約以後の経済協力関係 408
5 おわりに 414
       
あとがき 424
事項索引 1
人名索引 7
       

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