CONTENTS

[スラブ・ユーラシア叢書 1]

スラブ・ユーラシア叢書の一覧へ戻る

 国境・誰がこの線を引いたのか-日本とユーラシア

 
本書は、2006年5月に開催されたスラブ研究センター公開講座『ユーラシアの国境問題を考える」の講義録である。
2005年は年頭から国境問題をめぐって大荒れとなった。竹島問題(日本と韓国)、尖悶列島問題(日本と中国)がクローズアップされ「反日デモ』もエスカ レートする。竹島の島根県編入から100周年(日露戦争中の1905年に編入)、尖閣の沖縄編入から110周年(日清戦争中の1895年に編入)。日ロの国境を初めて 定めた通好条約からは150周年(1855年締結)。日本が抱える国境問題全てにとって節目となる年であった。
ところで、世間ではあまり知られていないが、実はユーラシア全体のスケールにおいては、国境問題は解決のへの機運が 高まっている(ロシアと中国、中国と中央アジア、中国とベトナムなど) 対照的に、日本が関わる国境問題は全く動かない。
これはユーラシアの「例外」と考えられるのか? それとも一時的な現象に過ぎないのか。本書は、いわば国境をめぐる日本とユーラシアの「対話」の書である。


編著: 岩下明裕

2006 年 6月
北海道大学出版会 (出版社のページへ)
ISBN 4-8329-6661-8 C1031
定価1680円(税込)/A5判・200 頁

目   次






第1章 日本の外で「固有の領土」論は説得力をもつのか:欧州戦後史のなかで考える ...... 林忠行 1

なぜドイツの事例を考えるのか / 2
「固有の領土」をめぐるヨーロッパ人との対話 / 3
「固有の領土」なきドイツ / 4
「住民移動」という新たな課題 / 8
戦後ドイツの課題 / 11
アデナウアー外交-西 / 13ヨーロッパ共同体のなかでの発展
アデナウアー期の国境問題 / 16
ブラント外交の始動 / 18
東方外交の現実主義 / 20
欧州安全保障協力会議とドイツ問題の克服 / 22
国内での闘争 / 24
ブラントをどう評価するか / 26
「北方領土問題」へのメッセージ / 27




第2章 国境と民族:コーカサスの歴史から考える ...... 前田弘毅 31

講義の狙い / 32
コーカサスの地政学的位置 / 35
民族の坩堝 / 37
前近代のコーカサス国境 / 38
国境を越える人々-エジプトのグルジア人 / 40
ミスター5パーセント / 42
コーカサス国境の20世紀 / 44
チェチェンの近代史 / 46
第二次世界大戦期の強制移住 / 48
アブハジア / 50
サムルザカノの謎 / 52
「平和の島」は可能か / 54




第3章 旧ソ連中央アジアの国境:20世紀の歴史と現在 ...... 帯谷知可 57

「国境」を切り口に中央アジアの現代史を振り返る / 58
国境線の変遷-3つの契機 / 58
中央アジア民族別国境画定のダイナミズム / 62
「分割して統治せよ」は妥当か? / 63
民族の政治化 / 64
中央アジア側のイニシアティヴ / 66
「民族」としての主張の時差 / 66
境界線を引く原則の「揺れ」-遊牧民にも都市を! / 68
タシュケントはウズベクのもの?カザフのもの? / 70
現代の国境越えの旅から / 71
ウズベキスタンの飛び地スフへ行く / 72
ウズベキスタン・カザフスタン・クルグズスタン周遊陸路の旅 / 75
国境とバザール(市場) / 77
立ちはだかる国境?-共存の道を求めて / 79




第4章 カシミールと印パ・中印国境問題 ...... 吉田修 81

一つの広がりとしての南アジア / 82
英領インドの分離独立と国境 / 82
イスラーム教徒の国、パキスタンの生まれ方 / 85
インド・パキスタン間に国境問題はあまりない / 87
ヒマラヤで隔てられたインドとカシミール / 89
ヒンドゥー教の国ではないインド / 92
パキスタンと中国 / 94
インドと中国 / 97
中華人民共和国の成立とチベット / 99
中印平和共存五原則とチベットの地位 / 101
中印国境問題 / 103
譲り合いを求める中国と、譲らないインド / 107
現状追認で進展する中印関係 / 108




第5章 竹島問題と日本の課題 ...... 下條正男 111

日本にとっての竹島問題 / 112
日韓における認識の溝 / 114
竹島問題とのかかわり / 116
外交カードとしての李承晩ライン / 119
妄言と先送り / 122
強みは弱み? / 124
韓国による歴史的主張の誤り / 126
安龍福の偽装 / 129
鬱陵島から竹島は見えるか / 132
国際法上の根拠はあるか / 134




第6章 中国と日本・ASEAN間の国境問題:波立つ東シナ海と平穏な南シナ海 ...... 石井明 137

内陸を向いた国-中国 / 138
琉球王国の問題 / 139
尖閣諸島の問題 / 141
尖閣諸島の帰属の棚上げ論 / 142
中国領海法の制定 / 145
中国・ベトナム間の国境問題の由来 / 146
1979年の中越戦争 / 150
中国・ベトナム間の陸上国境問題の解決 / 151
中国・ベトナム間の領海の画定 / 152
南シナ海-南沙・西沙群島領有権問題 /154
共同資源開発は可能か? / 157




第7章 中ロ国境問題はいかに解決されたのか?:「北方領土」への教訓 ...... 岩下明裕 161

国境問題のアドバンテージ / 162
日ロ関係とのかかわり / 164
中ロ国境問題の前史と概観 / 166
交渉決裂から軍事衝突へ / 168
やれるところからやろう / 172
1991年協定への反発と「フィフティ・フィフティ」の誕生 / 174
中ロと日ロの違い / 176
段階方式は適用可能か
「フィフティ・フィフティ」-一発決着の模索 / 178
国境画定後の共同利用 / 180
「四島返還」論の見直し / 184
領土問題が動くとき / 189




執筆者紹介




スラブ・ユーラシア叢書の一覧へ戻る

ページの先頭へ