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【大学院共通授業科目】 (集中講義)

「近現代世界を理解する鍵としての帝国・植民地」

日  時:2016年2月3日(水)〜2月5日(金)
場  所:スラブ・ユーラシア研究センター4階セミナー室1(404)
趣  旨: 近現代の世界史における帝国と植民地にかかわる諸問題について、研究者としての知識と市民としての教養を学び、世界情勢を国家の視点、マイノリティの視点、個人の視点のそれぞれから判断できる能力を身につける。
成績評価: 授業後に提出する短いレポートと、授業への出席率、討論への参加度によって評価する。
問合せ: 宇山智彦(E-mail: uyama<at>slav.hokudai.ac.jp、<at>は@に変換してください)
   
2月3日(水)  
9:30〜10:00  宇山 智彦(スラブ・ユーラシア研究センター)
10:00〜12:30  水谷 智(同志社大学グローバル地域文化学部)
14:00〜16:30  平野 千果子(武蔵大学人文学部)
   
2月4日(木)  
10:00〜12:30  高本 康子(スラブ・ユーラシア研究センター)
14:00〜16:30  菅 英輝(京都外国語大学外国語学部)
   
2月5日(金)  
 10:00〜12:30  小沼 孝博(東北学院大学文学部)
14:00〜16:30  宇山 智彦(スラブ・ユーラシア研究センター)
16:45〜17:45  総合討論

 

 2月3日(水)
 9:30-10:00 宇山智彦
  授業の導入として、比較帝国史・比較植民地史の意義と研究潮流を簡単に述べる。
 10:00〜12:30 水谷智
講義題目: 比較する主体としての近代帝国――インドの「英語教育」をめぐる英・仏・日による植民政策論の歴史展開
要旨: ここ数年、欧米の植民地研究において「比較のポリティクス」をめぐる議論が活発になってきている。自らの統治政策を策定するにあたって、近代の諸帝国が他帝国の植民地経験や植民政策論を取捨選択的に比較研究の対象にしていたことが歴史学的に例証され始めている。本講義では、19世紀英領インドで実施されたいわゆる「英語教育」政策――被支配者たるインド人のエリート層の中から官僚を養成する目的で、支配者の言語(英語)を媒介とする人文高等教育を政府が提供するという政策――が、インド以外の植民地的文脈においていかに比較の対象にされたかを論じる。特に、イギリスによるアフリカ統治(エジプトやナイジェリア)、フランスのインドシナ統治、日本の台湾統治を歴史的事例としてとりあげる。比較が各帝国の統治関係者にとってひとつの重要な思考手段であったことを踏まえ、歴史学がそれを研究対象として前景化し、内在批判的に追究する必要性を示していく。
参考文献: A. L. Stoler, ‘Tense and Tender Ties: The Politics of Comparison in North American History and (Post)Colonial Studies, The Journal of American History, Vol. 88, No. 3 (2001), pp. 829-865
 14:00〜16:30 平野千果子(フランス植民地主義と歴史認識)
講義題目: 植民地支配の過去と歴史認識――フランスの事例から考える
要旨: 日本では、植民地支配の過去をめぐる歴史認識が折に触れて議論になるが、ヨーロッパ諸国の場合はどうなのだろうか。この講義では比較史の観点から、フランスにおける歴史認識に焦点を当てる。フランスの場合、植民地支配の過去を「負」の歴史と捉える姿勢が希薄であるだけではなく、旧植民地からのその種の要請もあまり見られない。何がこのような事態を生みだしているのか、支配の歴史を概観し、現代社会の具体的な事例に即してそれを検証し、今後の展望について考察する。
参考文献: 平野千果子『フランス植民地主義の歴史』人文書院、2002年。  
平野千果子『フランス植民地主義と歴史認識』岩波書店、2014年。

 

 2月4日(木)
 10:00〜12:30 高本康子
講義題目: 「帝国」日本の大陸進出と仏教
要旨: 日本と「大陸」との関係は、通常「近代」と称される明治以降第二次世界大戦終戦までの時期において、「大東亜共栄圏」という、一つの先鋭化の形式を持ったと言えるだろう。世界観としての「大東亜共栄圏」が、大陸現地においての実情とかみ合わせられるにあたって、ツールとして使われたものの一つが仏教であった。本講義では、実際の政策において仏教がどのような役目を担ったのか、そしてその背後にある日本人の認識がどのように変化していたのか、その2点を中心に、「帝国」の持つ拡大性と宗教の関係について論を進める。
参考文献: 高本康子『近代日本におけるチベット像の形成と展開』芙蓉書房出版、2010年。
 14:00〜16:30 菅英輝
講義題目: アメリカの国際秩序形成とアジア諸国
要旨: アメリカは「非公式帝国」、「軽い帝国」といわれるように、植民地や領土獲得を伴わず、現地エリートの間にコラボレーターを育成し、彼らの協力を得ることでその帝国的権力を行使してきた。帝国的権力はどのような場合に効果を発揮するのか、支配と被支配の関係はどのような条件下で安定的に推移するのか、コラボレーター政権には服従や協力以外にどのような選択肢があるのか。また、戦後のアメリカは、冷戦、植民地主義、脱植民地化ナショナリズムが交錯する中で、これらの力学とどう向き合い帝国的秩序を構築しようとしたのか、その結果アメリカが目指したリベラルな秩序形成はどう変容したのか。アメリカの北東アジア、インドシナ、南アジアとの関わりを検討する中で、帝国権力とコラボレーターとの関係にみられる地域的特性について考えてみたい。
参考文献: ロイド・C・ガードナー、マリリン・B・ヤング編著『アメリカ帝国とは何か』ミネルヴァ書房、2008年、およびその解説。  
菅英輝「アメリカのヘゲモニーとアジアの秩序形成、1945〜1965」渡辺昭一編『帝国の終焉とアメリカ』山川出版社、2006年、196〜225頁。

 

 2月5日(金)
 10:00〜12:30 小沼孝博
講義題目: 清帝国と内陸アジア世界
要旨: 17世紀に勃興した満洲人政権に由来する清(1636-1912)は、その後の領域拡大の過程で多様な地域・集団を取り込み、多元的な帝国へと成長していく。とくにモンゴル・チベット・新疆(中央アジア東部)などの内陸アジア世界との関係は、清の帝国構造の理解のみならず、近代以降のユーラシア東部の政治情勢を読み解く上でも有用な視点を提供してくれる。本講義では、清の新疆統治や中央アジア諸集団との諸関係を具体的に明らかにしていくなかで、この視点の妥当性について検証していく。
参考文献: 小沼孝博『清と中央アジア草原』東京大学出版会、2014年。
 14:00〜16:30 宇山智彦
講義題目: ロシア帝国論から比較帝国論へ――大国・小国関係の見方
要旨: 近年のロシア帝国史研究は、ロシアの帝国権力が、国内の民族的・宗教的・地域的多様性をどのように理解し操作したか、現地社会の人々は帝国権力にどのように協力ないし抵抗したか、また辺境統治と対外政策がどう関係していたかを明らかにしてきた。これらの論点は、ロシアをイギリスや清など他の帝国と比較するためにも使うことができる。さらには、権力と社会、大国と小国の非対称な相互作用という帝国論の観点は、最近のロシア、中国などの大国と周辺諸国・国際社会との関係の分析にも応用できる。
参考文献: 宇山智彦編『ユーラシア近代帝国と現代世界(シリーズ・ユーラシア地域大国論4)』ミネルヴァ書房、近刊、序章・第5章・終章。  
宇山智彦「ロシア帝国論」ロシア史研究会編『ロシア史研究案内』彩流社、2012年、165〜179頁。
 16:45〜17:45 受講者による総合討論
 

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