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修了者の声 高橋慎明(2009年度修士課程修了)
スラブ社会文化論専修での研究を振り返って
高橋慎明
私は、スラブ社会文化論専修修士課程でドストエフスキーの研究を行いました。ここでの研究で実感できた本専修の特色(あるいはメリット)として挙げることができるのは、第一に、一人ひとりの教員の知識の広さ、そして研究の質の高さです。私の指導教官であった望月哲男先生がドストエフスキーの専門家であるということは言うまでもなく、先生のロシア文学全般そしてロシア文化に対する知識と関心の広さが、私個人では視野が狭いものとなっていたであろう研究を広げてくれました。また他の先生方からも同様に、研究方法に関するアドヴァイス等を受けることができ、それによってより意識的に「論文を書く」ということを実践できました。さらに重要なことは、先生方の懇切丁寧な指導です。このことは、専門的な事柄だけではなく、「語学」という点でより実感することができました。入学当初ロシア語がほとんどできなかった私にとって、先生方の丁寧な語学指導は、非常に有り難いものでした。外国語で書かれた「読めない文章」、「わからない文章」を恥ずかしがらずに質問することができるということ――これはとりわけ外国文学の研究の根幹である語学力を伸ばし、研究をより良いものにすることに繋がっています。またこのような雰囲気は研究上新たな言語を習得する際にも活かされています。
第二に、本大学図書館並びにスラブ研究センターの蔵書量を挙げることができます。私の研究で必要な資料は、基本的にこの二つの図書館で手に入れることができました。19世紀のロシアの雑誌のマイクロ資料などをはじめ、入手困難な資料を活用できたことは、私の研究に大いに役立ちました。もう一言資料に関して付け加えると、スラブ関係の膨大の蔵書があることは、例えば、文学以外の資料(政治や経済に関するもの)を活用する上で役立ち、そのことが研究をより緻密なものにしてくれます。
第三に、本専修の特色でもある、学際的なアプローチというスタンス、そしてそれを実践した院生による「総合演習」の授業です。それぞれ異なる専門分野を持つ教員・研究員・学生に対して、自分の研究を発表することは、自分の研究をより客観的に捉えることができるばかりではなく、その意義・面白さを提示する必要性が求められるがゆえに、プレゼンテーションの能力を伸ばすことにも繋がります。また、専門の異なる方々からの意見やアドヴァイスは、自分の研究を思わぬ方向へ導くきっかけとなっています。
これらのことは、おそらく私だけでなく、院生全員が感じられるものであり、本専修は研究する上で非常に恵まれた環境であったと言えます。
[修了者の声index]
- 山田愛実(2023年度修士課程修了)
- ベクトゥルスノフ・ミルラン(2022年度博士号取得)
- 生熊源一(2020年度博士課程修了)
- 大武由紀子(2018年度博士号取得)
- 谷原光昭(2018年度修士課程修了)
- 秋月準也(2017年度博士課程単位取得退学)
- 服部倫卓(2017年度博士課程修了)
- 長友謙治(2016年度博士課程修了)
- 植松正明(2015年度修士課程修了)
- 真弓浩明(2015年度修士課程修了)
- 井上岳彦(2014年度博士号取得)
- 斎藤祥平(2014年度博士課程修了)
- 野口健太(2011年度修士課程修了)
- 石黒太祐(2011年度修士課程修了)
- 宮風耕治(2010年度修士課程修了)
- 麻田雅文(2010年度博士課程修了)
- 高橋慎明(2009年度修士課程修了)
- 秋山 徹(2009年度博士課程修了)
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