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修了者の声 植松正明(2015年度修士課程修了)
スラブ・ユーラシア研究センターで学んでほしい
植松正明
スラブ・ユーラシア研究センターで過ごした3年の院生生活は私の人生にとってとても内容の濃いものであった。私が学位記をもらった日、札幌で過ごす最後の夜だったが、自分自身の院生生活を達成感とともに思い返していた。私は恵まれた環境で3年も勉強することができたのだと。もし、大学院の進学先を迷っていてこのホームページを読んでおられる人がいたら、進学先としてスラブ・ユーラシア研究センターを薦めたい。私がこの研究センターを勧める理由は2つある。
第一に、大学院生への助成制度が充実していることである。国内外の研究会および学会での報告の助成だけではない。大学院生が国内外で調査をする場合にも助成制度を利用することができる。私も修士課程1年次にこの制度を利用してエストニアで2週間ほど資料を収集することができた。私の専攻は歴史であったため、実際に多くの史料を現地で手に入れることが重要であった。特にエストニアに関する史料は二次文献を含めて日本では多いとは言えなかったため、なおさら現地に行く必要があった。また現地に行ってみることで、エストニア人の先生方、学生と知り合い、多くの貴重な助言を頂くこともできた。本から手に入れる知識も大切だが、自分が研究対象としている地域に足を運んでみることで今までに見えてこなかった視点から研究テーマを見ることができるようになった。当初私は自身の研究テーマを狭い切り口からしか考えられず、そのことに悩んでいたが、エストニアに行ったことで違う方向からも自身の研究を見つめるようになった。この研究センターの助成がなければ、私は修士論文を書き終えることができなかったかもしれない。
第二に、この研究センターは様々な分野の人の話を聞くことができる場だということだ。この研究センターには様々な分野、地域を研究している人たちが属している。研究センターの人だけではなく、年2回のシンポジウムや研究会のために国内外から研究者の方々がスラブ・ユーラシア研究センターに来られる。研究を進める上で自分の研究と近い本ばかり読んでいると、どうしても視野が狭くなってしまうこともあるだろう。そうした時に研究会に出席して自分の研究にとってヒントを得ることがあった。シンポジウムや研究会では外国語で報告されることも少なくないので、外国語で学術的な話を聞くだけでも勉強になった。私はもっと積極的に研究会、シンポジウムに参加しておくべきだったと今では後悔しているくらいだ。同じ場所で様々な地域、分野を研究されている方々の報告を聞ける場所は日本でも多くはないだろう。
最後に改めて院生生活を振り返ってみると、本当に内容の濃い3年間であった。修士論文だけではなく、エストニア滞在や他大学での発表など今までの私の人生で経験することができなかったことに挑戦した。これらのことを成し遂げられたのは、言うまでもなくこの研究センターでの先生方、大学院生との出会いがあったからである。指導教授である長縄宣博先生には何度も私の書いた文章を直していただいた。先生からの叱咤激励とご指導があったからこそ修士論文を書き終えることができた。長縄先生をはじめとするスラブ・ユーラシア研究センターの先生方にはこの場を借りて改めて感謝申し上げたい。勉強は1人でするものなのかもしれないが、それには人との出会いが大切なのだと気付かされた。違う分野を専攻している大学院生とも同じ部屋で勉強したのも貴重な経験であった。これらの経験を活かし、次のステップでも自身の課題に取り組んでいきたい。この文章を読むことが誰かの大学院進学の一助になれば幸いである。
(2016年4月11日)
[修了者の声index]
- 山田愛実(2023年度修士課程修了)
- ベクトゥルスノフ・ミルラン(2022年度博士号取得)
- 生熊源一(2020年度博士課程修了)
- 大武由紀子(2018年度博士号取得)
- 谷原光昭(2018年度修士課程修了)
- 秋月準也(2017年度博士課程単位取得退学)
- 服部倫卓(2017年度博士課程修了)
- 長友謙治(2016年度博士課程修了)
- 植松正明(2015年度修士課程修了)
- 真弓浩明(2015年度修士課程修了)
- 井上岳彦(2014年度博士号取得)
- 斎藤祥平(2014年度博士課程修了)
- 野口健太(2011年度修士課程修了)
- 石黒太祐(2011年度修士課程修了)
- 宮風耕治(2010年度修士課程修了)
- 麻田雅文(2010年度博士課程修了)
- 高橋慎明(2009年度修士課程修了)
- 秋山 徹(2009年度博士課程修了)
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