SRC Home
I.大学院教育の特徴 II.学位 III.大学院の入学試験
修士課程(博士前期課程) 博士課程(博士後期課程)
一般入試 外国人留学生特別入試 社会人特別入試 一般入試 社会人特別入試
大学院ニュース 授業紹介 大学院生助成 在籍者 研究テーマ一覧 学位論文一覧 修了者の声 問い合わせ先

修了者の声 生熊源一(2020年度博士課程修了)

言葉を背にして

生熊源一(日本学術振興会特別研究員PD/早稲田大学)

2021年3月25日付で博士号(学術)を取得した生熊です。私がスラ研の修士課程に進学したのは2013年のことでしたので、数えてみると8年間近く在学したことになります。改めてお世話になったすべての先生方、事務の方々、そして大学院生のみなさまにお礼を申し上げます。

さて、私の大学院生活の記憶を遡っていくと、修士課程の大学院生向けにスラ研が開講している「スラブ・ユーラシア研究の基礎と方法」という科目に行き当たります。これは3名ほどのスラ研の先生が担当する講義で、私が受講した年の担当教員のひとりが望月哲男先生でした。授業後、なにか質問がある人はいますかと聞かれ、「どうやったらいい研究者になれますか?」と質問したところ、望月先生は「仲間というか、他の研究者の論文をよく読むことかな」とお答えになりました(多少違う表現だったかもしれませんが、概ねこのような趣旨だったと思います)。当時はあまり腑に落ちなかったのですが、記憶に残り、折に触れて思い出す言葉になりました。多少なりとも研究の世界に触れてきた今になって、やっと望月先生が言わんとしていたことがわかったような気がします。しっかり実践しているとはなかなか断言しがたいですが、これからもこの言葉を心に留めておこうと思っています。

もちろんそれ以外にも、多くの先生方や先輩方との交流によって、私の大学院生活は支えられていました。長らく指導教官として面倒を見ていただいた越野先生、専門分野の違いにもかかわらず研究生活を見守ってくださった副指導教官の野町先生、第二の指導教官として多大なるアドバイスをくださった安達先生、そしてかつての研究室で先輩としてお手本であり続けてくれた松下さんがいなければ、私の博士論文が完成することはなかったように思えます。人文学は言葉と切り離せない学問ですが、スラ研は研究のため、そしてそれ以外にも活きるような言葉に満ちた空間でした。

以下、これから進学を考えている方向けに、スラ研の研究環境について記しておきたいと思います。まず、他の修了者の方も書かれていますが、スラ研は大学院生のための各種助成が充実しており、学会報告助成、海外調査助成、国内調査助成が存在します。私も修士課程の頃に海外調査助成でモスクワなどを訪れたことがありますが、早い段階で現地調査を行うことができたのは、その後の研究のための足掛かりになりました。

アウトプットの場が豊富にあることも、スラ研で学ぶメリットのひとつだと思います。スラ研は国内外を問わず多くの研究者と共同して研究会やシンポジウムなどを頻繁に開催しており、大学院生に発表の機会が回ってくることもあります。私の場合、ベルギーや韓国の大学との合同シンポジウムに参加させていただいたことがあり、貴重な経験を積むことができました。アウトプットの観点からすれば、半期に一度は皆の前で研究報告をすることになる総合演習の授業も重要な役割を果たしています。総合演習で発表や質疑応答に慣れることで、後の学会発表でも緊張することなく報告をこなすことができるようになります。

中村・鈴川基金奨励研究員制度についても触れておきます。この制度は国内の他大学の大学院生がスラ研に1〜3週間滞在し、調査及び研究を進めるための制度です。他大学の大学院生向けですので、スラ研の大学院生とは無関係に思えるかもしれませんが、そうでもありません。この制度のおかげで札幌にいながらにして得た、年齢や専門分野の近い友人や先輩たちとの知己は、スラ研に進学していなければ得られなかった貴重な財産です。

スラ研で学んだことを活かしつつ、これからも研究活動に邁進し、次の世代への橋渡しをしていきたいと思っています。

(2021年4月6日)


[修了者の声index]

SRC Home