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修了者の声 谷原光昭(2018年度修士課程修了)

私の大学院生活を振り返って

谷原光昭

私は優秀な学生ではなかった。入学当初は博士課程への進学を考えていたものの、その後自身の実力不足を痛感しそれを断念することとなった。また、修士論文を執筆する上でも大きな苦労を強いられ、結果として十分な成果を出すには至らなかった。そのため修士課程を修了した今、達成感を得ることは必ずしもできていない。それでも、スラブ・ユーラシア研究センターで過ごしたこの2年は自分自身にとって大いに意義深いものであったと感じている。それは一つに、様々な分野、地域を研究している人たちと交流を持つことができたからである。

大学院生活で特に印象に残っているのは、毎期金曜2限に開講されているスラブ社会文化論総合特別演習の時間である。これは毎回2名の院生、または助教や研究員の方々が自身の研究成果を報告し、参加者が質問やコメントをするという形式で行われているものであるが、ここでは、自身と専門が異なるため普段はあまり関わることのない人からも興味深い話を聞くことができた。

また、センターでは各種研究会や年2回の国際シンポジウムが行われ、このために国内外から多くの研究者が集まる。こうした方々とは交流を図るとまでは至らないことも多かったが、それでも直接本人の口から研究発表を聞くことによって、書物を読むよりも多くのことを学び、感じ取ることができたように思う。

思い返せば、私は自身の研究者としての資質についてあまり考えることなく、ただ何か面白いことを知りたい、面白い話が聞きたいという軽い気持ちで大学院修士課程への進学を決めてしまった(本大学院への入学のきっかけは、指導教官としてお世話になった宇山智彦先生が『現代思想』42巻10号(2014)に発表されたウクライナ危機についての御論考を読んで受けた感動であった。国際情勢を独自の視点で分析するその論評に、「こんな見方があるのか」と大いに舌を巻いたことを覚えている)。その意味で、こうしていくつもの「面白い世界」を垣間見ることができたことは私自身にとって大きな収穫であったのだが、無論、研究に携わる者であれば、そういったものを単純に楽しめば良いというわけではなく自らの研究を客観的に捉え直す機会としても活用することが求められる。今にして思えば、私はこうした経験を自分の研究に生かそうとする努力が不十分であったのかもしれない。

さて、取り留めのない話が続いたが、言いたかったことは、私はこのスラブ・ユーラシア研究センターで実に有意義な時間を過ごすことができたということである。膨大な蔵書数を誇る図書館や充実した大学院生助成制度、そして学術界の第一線で活躍する先生方の存在も含め、これほど環境に恵まれた場所は日本でもそれほど多くはないだろう。

スラブ・ユーラシア地域に関心を持ち、大学院への進学を考えておられる方々には、当センターを心からお勧めしたい。

(2019年4月7日)

元指導教員より:谷原さんは謙遜していますが、彼の修士論文は、未承認国家アブハジアの問題と、北コーカサスおよびトルコにおけるチェルケス民族運動の関係という未開拓なテーマを、多くの文献と理論を使って研究した、優れた論文でした。[宇山]


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